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【実用的IR分析 #46】 "クスリのアオキホールディングス(3549)" のIR情報から、「買うならどのくらい?」を時短で読み解く

この記事は、「いい銘柄を、安いときに買う」ために「増益傾向の中小型銘柄」をピックアップし、知っておくべき「どんな会社で何がいいのか」と、最も知りたい「買うならどのくらいか」をまとめたものです。

これらは上場企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で難解で量も多いので、要点だけを時短で読めるようにしました。ざっと読んで、ピンときた銘柄をストックしておき、安いときがきたら投資を検討することが目的です。私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2024.5期 (2023/5/21~2024/5/20)


Q1 どんな会社?

地域密着型の「かかりつけ薬局」を目指し、石川県を中心にドラッグストアと調剤薬局を展開。「フード&ドラッグ」の形態で食品48.4%が主軸。北信越を拠点とするドミナント戦略で高いシェアを持ち全国展開を推進。医薬品から日用品、食品までワンストップで買える利便性を強みとし、生鮮食品の取り扱い強化で差別化を図る。

Q2 どんな状況?

少子高齢化や医療費抑制政策でセルフメディケーションの需要が拡大するが、異業種の参入や業界再編により競争が激化。調剤薬局併設店舗の拡大や効率的な運営で対応。2026年5月期までに売上高5,000億円を目指す中期経営計画を掲げ、食品部門の強化や既存店改装、地域密度を高める新規出店を計画。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在
有価証券報告書等から作成


Q3 業績と予想は?

2024年5月期実績:増収増益
調剤併設店舗の増加と食品スーパー事業の展開が寄与。調剤部門の売上成長に伴い全体収益が底上げ。効率的な店舗運営とコスト管理により収益性が向上。一方、株式報酬費用が利益迫要因。  

2025年5月期予想:増収増益
「フード&ドラッグ」の利便性向上とともに、ローコストオペレーションの推進で利益率を改善。新規出店70店舗、調剤薬局70薬局を予定。全店舗で青果・精肉・惣菜の取り扱いを完了させる計画。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比+11%は、例年と比較してやや積極的な水準。直近5期の達成率は高く上振れの傾向。会社予想は控えめな傾向があり、信ぴょう性は高いと評価できる。純利益予想の前年比+47%は、例年より非常に積極的な水準。一方で、過去5期の達成率にはばらつきがあり、下振れする年も見られ、信ぴょう性は高いとは言えない。    

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。
達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成

Q5 市場の評価は?

EPSが上昇するとPERも上昇し、逆にEPSが下落するとPERが低下する相関性が見られる。市場は利益成長に対し敏感な傾向。  5期前と比較してEPSは変化が小さいがPERは上昇。利益成長以上に市場評価が先行しており、やや過大評価の傾向。  直近のPERに割安感はなく、高値PERの平均付近に位置するため、市場の期待はやや高まっていると考えられる。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。

Q6 リスクをどう見る?

株価を決める「利益(EPS)×市場評価(PER)」の観点からリスクを想定すると、安定的な売上成長と積極的な市場評価を背景に投資対象としての魅力がある一方で、純利益予想の信ぴょう性や市場期待の先行によるリスクには留意が必要で、全体としては中立的な印象を受ける。ただし業績修正や市場環境の変化などには注意を要する。


ここからは、「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価から相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示します。これにより現在の株価の位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、すべての銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですのでぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

直近5期の安値PERの平均(16.6倍)から高値PERの平均(25.6倍)を概ねの評価レンジとすると、

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