
【IR分析 #156】 パーソルホールディングス(2181)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える
株式投資を考えたときに、銘柄選びと投資タイミングで迷う方は多いと思います。
そこで、「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益傾向などの「いい銘柄」をピックアップし、「どんな会社で何がいいのか」を整理しました。
また、過去の市場評価より低い水準を「安いとき」として「買うならどのくらいか」を見ていきます。
企業が投資家向けに開示する信頼性の高い情報(IR情報※)を基にしていますが、専門的で量も多いので要点だけをまとめました。
客観的な基準で選定した「いい銘柄」の、まず知っておくべきことだけが、2分ほどで読めるので、投資候補探しの時間と労力を大幅に軽減できます。
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2024.3期 (2023/4/1~2024/3/31)
Q1 どんな会社?

人材派遣や人材紹介、BPO、ITエンジニアリング支援を手掛ける総合人材サービス企業である。テンプスタッフを前身とし持株会社化。国内外で事業を展開し、日本の派遣市場ではトップクラスのシェアを持つ。アジア太平洋地域でも存在感を高め、M&Aを通じた成長を加速。AI活用やデジタル技術を駆使したマッチング精度向上や業務効率化を推進し、企業成長と就業者のキャリア支援を強化している。
Q2 どんな状況?
国内の人材サービス市場は、少子高齢化による労働力人口の減少と企業の採用難を背景に、人材ニーズが増加。特にDX推進に伴いIT人材の需要が拡大し、エンジニア派遣やITソリューション事業が成長。一方、賃上げや採用基準の厳格化により、求職者とのマッチングが難しくなる課題もある。海外市場では、アジア太平洋地域の景気回復により人材需要が堅調だが、規制強化が影響する可能性がある。AI・DX分野への対応強化が求められる。
Q3 業績は?

2024年3月期実績:増収増益
BPO SBU(ビジネス・プロセス・アウトソーシング事業)を除くすべてのSBUで増収。特にCareer SBUは転職市場の活性化により大幅成長した。派遣・紹介業務の拡大、エンジニア派遣やITソリューションの需要増によりTechnology SBUが成長し、アジア太平洋地域の事業拡大も寄与した。一方、BPO SBUはCOVID-19関連業務縮小の影響で減収となった。
2025年3月期予想:増収増益
国内の人材不足による人材サービス需要の拡大や、DX推進に伴うエンジニア派遣・ITソリューションの需要増加が挙げられる。特に技術系人材の採用需要が高まり、Technology SBUの成長が期待される。一方、採用基準の厳格化や賃上げの影響で需給調整が必要になる可能性もある。海外ではアジア太平洋地域の景気回復が追い風。
Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比:+7%
過去5期の予想範囲(▲4%~+11%)内であり、現実的な水準といえる。過去5期の達成度の平均は101.4%であり、ほぼ計画通り達成されているため、信ぴょう性は高いと評価できる。一方、達成度の上振れ傾向が見られるため、会社予想はやや控えめな傾向があると考えられる。
純利益予想の前年実績比:+12%
過去5期の予想範囲(▲8%~+29%)の中間に位置し、やや控えめな水準といえる。過去5期の達成度の平均は96.0%で、未達成の年も多くばらつきがあるため、信ぴょう性は低いと評価できる。過去の達成度には上振れと下振れが混在しており、一貫した傾向は見られないが、保守的な年もあることから、会社予想は慎重な傾向があると考えられる。
Q5 市場の評価は?

EPSとPERの相関性
EPSが上昇するとPERが低下する逆相関が見られることから、市場は利益成長を一時的と見て慎重に評価していると考えられる。また、5期前と比較してEPSは大幅に増加したがPERは半減しており、市場が利益成長を過小評価している可能性が考えられる。
直近の市場評価の傾向
直近期末のPERは割安感が強い水準にある。さらに、過去5期の安値PERと高値PERの範囲の中でも下限に近く、市場の成長期待が高まっている兆しは見られない。
Q6 リスクをどう見る?
プラスの要素
利益予想は現実的な水準であり、過去の達成度の高さを踏まえると、上振れの可能性が期待される。また、EPSは大幅に成長しているにもかかわらずPERが低く、市場の評価修正が進めば株価上昇の余地がある。
マイナスの要素
一方で、市場の成長期待は慎重なままで、EPSの伸びがPERに反映されにくい傾向がある。さらに、純利益予想の信ぴょう性にはばらつきがあり、未達リスクも考慮する必要がある。
この続きでは、過去の市場評価をもとに算出した「割安水準の目安」がご覧いただけます。ここまでの分析を踏まえ、この目安を知ることで、投資候補に入れるべきかの判断がしやすくなります。
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Q7 買うならどのくらい?
過去の市場評価の範囲を基に、相対的に低い水準を特定することで、投資を検討する際の有用な目安が得られる。具体的には、直近5期の安値PERの平均から高値PERの平均をこの企業の概ねの評価レンジとし、その中間以下を「概ね安い水準」とみなすと以下のようになる。
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