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【IR分析 #34】買うならどのくらい?を読み解く "BuySell Technologies(7685)" 2023.12期

いい銘柄を、安いときに買う」ために、注目に値する企業のIR情報(※) から、知っておくべきポイントと「買うならどのくらい?」を読み解いて、投資候補をストックすることを目的としています。

IR情報は事実情報という意味で投資に有益ですが、専門的で量も多いので、時短で理解しやすいよう同じ形式で簡潔にまとめていきます。

今回は、「増益予想の中小型銘柄」であることを理由にこの銘柄を取り上げています。

これは私自身が初期的な分析として使う手法ですが、みなさんが興味を持てる企業を見つける一助になれば幸いです。

※IR情報
・有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
・2023.12期 2023/1/1~2023/12/31

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


まず、この企業の利益の背景を理解します。その上で、企業自身が考える今後の見通しを確認します。


Q1 どんな会社?


【概要】着物やブランド品、貴金属などのリユース事業を展開。出張訪問買取サービス「バイセル」で知られる。法人向けオークションや市場での販売が売上の約74%、収益性の高い一般消費者向け販売が約26%を占める。リユース業界最大規模の出張買取事業で、全国規模のネットワークを有する。

【特徴】高齢者層に特化した全国対応の出張訪問買取サービスで、年間26万件以上の訪問買取実績。また、百貨店常設店舗や「Reuse Shop WAKABA」を含む200以上の買取チャネルを展開。データ活用やAI技術を駆使して効率的な査定・販売プロセスを実現し、競争力を高めている。


Q2 どんな状況?


【環境】リユース市場は約2.9兆円規模と推定され、2030年には約4兆円に成長する見通しである。潜在的リユース市場である「かくれ資産」の発掘を戦略としており、この市場規模は約66兆円と推定。消費者の環境意識の高まりや循環型社会への移行により、業界全体の成長が期待されている。

【取組】デジタル技術とリアル店舗の融合を進めている。また、AI技術を活用した査定の効率化やデータドリブン経営を強化している。シニア層の整理ニーズを的確に捉えたサービスを展開。テクノロジーを活用した業務基盤による効率化や、AIを用いた査定時間短縮の取り組みも注目されている。


Q3 業績は?


2023年12月期実績:増収減益
訪問買取事業の継続的な成長と、法人販売の安定的な収益に加え、収益性の高いEC販売の拡大が要因。一方で、競争激化や広告宣伝費の増加により、利益率の維持が課題となった。

2024年12月期予想:増収増益
出張訪問買取件数を前年比9.1%増、1件あたり変動利益を6.8%増が目標。店舗買取では「バイセル」の新規出店や「タイムレス」「WAKABA」の展開強化により、店舗網の拡充を図る。またM&Aを活用した新規事業開発も推進。


次に、「買うならどのくらい?」を考えます。
株価は「利益(EPS)×市場評価(PER)」で決まるため、例年の利益予想と市場評価の傾向を分析し、それぞれの要素について考察します。


Q4 利益予想の傾向は?


【売上予想】前年比+23%は、例年の範囲内で現実的な水準。直近5期の達成率は安定しておりブレが少ない。会社予想は現実的な傾向を持つことから、信ぴょう性は高いと評価できる。

【純利益予想】前年比+30%は、例年の範囲内で現実的な水準。直近5期の達成率には52%から137%とばらつきがあり、上振れと下振れの両方の傾向があるため、信ぴょう性は高いとは言えない。

【考察】売上予想は信ぴょう性が高いが、純利益予想は上下振れが多く信ぴょう性に課題がある。コスト構造の不安定さなどが影響していると考えられ上振れは見込みにくいため、「利益の要素」に関しては中立的な印象を受ける。


Q5 市場評価の傾向は?


【評価の傾向】 EPSが上昇してもPERが低下する傾向があり、市場の成長期待は慎重でEPS変動を短期的と見ている可能性。 5期前と比較してEPSは増加したがPERは低下しており、利益成長が市場評価に反映されず、過小評価の傾向が見られる。

【直近の評価】 直近のPERは20倍を超えておりやや割高感がある。一方で、直近5期の平均範囲内だが高値側に近く、期待は安定化傾向にある。

【考察】市場は成長を慎重に評価し、過小評価の傾向がある。一方、直近期のPERは割高感があるが安定しており、大きな成長期待は見られないため、「市場評価の要素」に関しては中立的な印象を受ける。


最後に、「買うならどのくらい?」を具体的に検討します。

過去の市場評価から相対的に低い水準を算出し、さらに水準を絞るために、リスク選好に応じて3つのシナリオを提示します。また、どのシナリオを選ぶかの参考としてこれまでの分析を整理しています。

これにより、現在の株価がどの位置にあるのかを把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備をしておくことができます。

あくまで初期的な分析ですが、合理的な手法だと考えています。この先は有料ですが、読み放題のメンバーシップでは初月無料でご覧いただけますので、ぜひご活用ください。


Q6 買うならどのくらい?


【概ね安い水準】直近5期の安値PERの平均(18.7倍)〜高値PERの平均(63.4倍)を概ねの評価レンジとすると、その中間の41.0倍以下程度が「概ね安い水準」と想定できる。

【投資シナリオ】この水準に今期予想EPS(130.2円)を当てはめると、株価レンジは2,430円~5,344円の範囲となる。この範囲をさらに絞り込むために、リスク許容度に応じた以下のシナリオがひとつの目安として考えられる。

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