【IR分析 #29】買うならどのくらい?を読み解く "ヨコオ"(6800) 2024.3期
注目企業のIR情報(※)を、同じ観点で分析し、同じ形式でひたすらまとめていきます。IR資料は事実情報として投資に役立ちますが、専門的で難解で量も多いので、要点だけ時短で読めるようにしました。
いい銘柄を安いときに買うために、利益(EPS)と市場評価(PER)から「買うならどのくらい?」を読み解く実用的な内容です。自分自身が初期的な分析に使うものですが、興味を持てる企業を見つける一助になれば幸いです。
Q1 どんな会社?
【概要】車載通信システムや医療用部品など多岐にわたる電子機器のメーカー。主要製品はVCCS(車載通信システム)が売上の過半、CTC(回路検査用コネクタ)、FC(微細コネクタ)、MD(医療機器用部品)が続く。MD事業は成長分野として拡大。
【特徴】高度なアンテナ技術や微細精密加工技術を基盤とした製品開発力が強み。グローバルな生産・販売体制を有し、顧客ニーズに応える製品群を提供。
Q2 どんな状況?
【環境】自動車市場は堅調だが、半導体検査や通信端末市場は需要が低迷。原材料価格の高騰が課題で、事業構造の革新や経営基盤の効率化が必要。新規分野進出や既存事業の収益性向上も重要で、事業構造の再構築や新技術の導入、協業を進めている。
【計画】2028年までに連結売上高1,000億円を達成し、ROEや営業利益率を10%以上とする「ミニマム10」を目標にしている。
Q3 業績は?
2024年3月期実績:減収減益
VCCS事業は大幅成長も、CTC事業とFC・MD事業は苦戦。収益改善にはVCCS事業の成長とコスト構造改革が寄与したが、円安や市場低迷が収益を圧迫。
2025年3月期予想:増収増益
自動車市場の需要回復や生成AI関連の需要拡大が期待されている。VCCS事業の安定収益とCTC事業の需要回復、FC・MD事業の新製品投入が成長の柱に。
Q4 業績予想の傾向は?
【売上予想】前年比+6%は例年と比較しても現実的な水準。過去5期は一貫して100%を達成しており、ブレも少ない。会社予想は現実的な傾向が伺えることから、信ぴょう性は高いと評価できる。
【純利益予想】前年比+65%は例年より積極的な水準。過去の達成率には一貫性がなく、近年では下振れの傾向がある。会社予想は安定感に欠けることから、信ぴょう性は高いとは言えない。外部環境やコストの影響を受けやすい構造があると考えられる。
Q5 市場評価の傾向は?
【市場の期待】EPSが上昇するとPERが低下し、逆にEPSが下落するとPERが上昇する逆相関が見られる。市場は収益悪化を一時的なものと捉え、一定の成長期待を維持していると考えられる。
【直近の評価】5期前と比較してEPSは大幅に減少している一方でPERは上昇。利益成長と市場評価にギャップが生じており、やや過大評価の傾向。直近のPERに割安感はないが高値PERの平均を上回っており、市場の期待が高まりつつある可能性も考えられる。
Q6 買うならどのくらい?
まず、直近5期の安値PERの平均〜高値PERの平均をこの企業の概ねの評価レンジとすると、その中間以下が「概ね安い水準」と想定できる。
次に、「この企業への投資を積極的に検討するか」によってさらに水準を絞り、今期予想EPSを当てはめると、以下が投資検討水準となり得る。
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