【IR分析 #1】買うならどのくらい?を読み解く "小松ウオール工業"(7949) 2024.3期
はじめに
有価証券報告書や決算説明資料など、IR情報を読み解くことが、投資成功への近道だと考えています。重要なポイントはほぼ網羅されているからです。ただ専門的で難解で情報量も多いので、要点だけ簡潔にまとめました。
「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益予想などの銘柄に絞って、投資水準を探ります。株価は「利益(EPS)×市場評価(PER)」で決まるため、それぞれの要素を読み解きます。
多くの銘柄についてざっと読んで、ピンとくる銘柄を効率よく見つけてください。
小松ウオール工業(7949)
「増益予想」であることを根拠に、この企業をざっくり「いい銘柄」として取り上げ、投資水準を探っていきます。この情報は以下のIR情報を基にしています。
Q1 どんな会社?
【概要】間仕切り、トイレブース、ドア製品の製造から施工まで対応。全国に展開する支店と製造拠点で、迅速かつ安定した供給体制を確立。オフィスや商業施設向けで国内シェアを確保。民間向けが78%、官公庁向けが22%。
【特徴】製品開発から施工まで自社一貫対応できる体制。高層ビルやオフィス改装に柔軟対応し、オーダーメイド製品で市場シェアを確保。全国的な営業網と地域密着の営業体制が強み。
Q2 どんな状況?
【経営環境】国内市場は、東京などの再開発やオフィス改装需要で回復基調。少子高齢化や労働力不足、原材料費の上昇、デジタル化の加速が進展。少子高齢化や労働力不足、原材料価格の上昇への対応が課題。
【取組み】原材料調達の多様化や在庫管理強化でコスト増加の影響を軽減。デジタル化推進で製造効率を改善。約150億円で工場建設とショールーム拡充を推進。2028年3月期までに売上高年平均成長率3~6%、営業利益率7~10%、ROE5~8%を目指す。
Q3 業績は?
2024年3月期の実績:増収増益
全品目で増収を達成し、特にオフィス需要の増加が大きく貢献。可売上総利益率の改善で営業利益と経常利益が大幅増。オフィス向け軽量ドアやトイレブースの増収も寄与。
2025年3月期の予想:増収増益
国内都市再開発によるオフィス改修需要が堅調で、病院施設向け軽量ドア需要の回復も期待。物流コストや資材価格の上昇はあるものの、下期の新築ビル需要で増収見込み。
Q4 会社はどう見てる?
【予想の積極性】今期の売上予想は、異例値を除くと直近5期の予想範囲内で安定した水準。純利益予想も例年の予想範囲内で、全体的に保守的な見通し。
【予想の信ぴょう性】売上予想の達成度は過去5期で概ね安定しており、純利益も安定した達成度を示していることから、予想の信ぴょう性は高いと言える。
【予想の傾向】会社は控えめな予想を出す傾向が見られ、特に純利益は上振れする傾向がある。
Q5 市場はどう見てる?
【利益と評価の相関性】EPSの増減に対してPERの反応は鈍く、明確な相関性は見られない。市場は成長に対して慎重な評価をしている。
【評価のギャップ】5期前と比較してPERはやや上昇しているが、EPSの増加は限定的であり、過小評価や過大評価の傾向は見られない。
【直近の水準】直近期のPERに割高感はなく、5期平均の範囲内で推移しているため、市場の期待に大きな変化はないと考えられる。
Q6 買うならどのくらい?
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