【IR分析 #98】 三谷セキサン(5273)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える
Q1 どんな会社?
コンクリート二次製品を中心に製造・販売を展開し、特にコンクリートパイルで国内トップシェアを持つ。全国各地に工場や営業所を配置し、地域需要に応える体制を整備。売上はコンクリート二次製品が82%を占め、業界随一の製品ラインナップや施工能力が強み。独自技術で顧客ニーズに応じた製品を提供し、地中熱を活用する環境技術の開発にも注力。
Q2 どんな状況?
主力のコンクリートパイル事業では需要減少と競争激化に直面し、採算管理や経費抑制、施工管理の効率化が重要となっている。さらに業界全体で「2024年問題」による人手不足や物流問題が課題となっており、迅速な対応が求められている。中期経営計画ではDXを活用した業務効率化や財務体質の強化でROE15%以上の確保を目指す。
Q3 業績は?
2024年3月期実績:減収増益
売上高は減少したが、施工効率の向上や経費削減の効果で純利益は増加。主力のコンクリートパイル部門では需要が減少したものの、価格戦略や施工管理の強化が奏功した。ホテル事業や環境衛生事業の回復も利益率の改善に寄与。
2025年3月期予想:減収減益
業界需要の回復は一部見込まれるが、原材料価格の高止まりや競争激化の影響で減収減益を予想。人手不足や物流の制約が懸念され、効率的なリソース配分や価格戦略のさらなる強化が求められる。環境対応型製品や新技術の開発を継続し、競争力の維持を目指す。
Q4 予想の信ぴょう性は?
売上予想の前年実績比-0%は、過去5期の予想範囲(-15%~-1%)内で例年よりは積極的な水準。過去5期の達成度の平均値は112.4%で、安定的に予想を上回っており、信ぴょう性は非常に高いと評価できる。達成度には一貫した上振れ傾向があるため、会社予想は控えめな傾向があると考えられる。
純利益予想の前年実績比-17%は、過去5期の予想範囲(-34%~-17%)内だが保守的な水準といえる。過去5期の達成度の平均値は154.6%で、安定して予想を大幅に上回っており、信ぴょう性は高いと評価できる。達成度の上振れ傾向が顕著であるため、会社予想は控えめな傾向があると考えられる。
Q5 市場の評価は?
EPSが上昇するとPERが低下する逆相関が見られることから、市場は利益成長を慎重に評価していると考えられる。また、5期前と比較してEPSは大幅に増加したが、PERは15.9倍から12.3倍へ低下しており、市場が利益成長を過小評価している可能性が考えられる。
直近期末のPERは12.3倍で、割安感のある水準にある。さらに、過去5期の安値PERと高値PERの範囲内にあり、市場の成長期待が高まっている兆しは見られない。
Q6 リスクをどう見る?
利益予想は控えめで、過去の高い達成度から予想を上回る実績が期待できる。また、PERが割安水準であることは成長余地を示唆している。
一方、市場は利益成長を十分に評価せず、過小評価が続くリスクがある。さらに、成長期待の低さが市場での評価を抑え、株価の伸び悩みや外部要因の影響を受けやすい点にも注意が必要である。
Q7 買うならどのくらい?
過去の市場評価の範囲を基に、相対的に低い水準を特定すると、投資を検討する際の有用な目安となる。同社の場合、直近5期の安値PERの平均〜高値PERの平均を概ねの評価レンジとすると、
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