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【実用的IR分析 #64】 "アスクル(2678)" のIR情報から、「買うならどのくらい?」を時短で読み解く

この記事は、「いい銘柄を、安いときに買う」ために「増益傾向の中小型銘柄」をピックアップし、知っておくべき「どんな会社で何がいいのか」と、最も知りたい「買うならどのくらいか」をまとめたものです。

これらは上場企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で難解で量も多いので、要点だけを時短で読めるようにしました。ざっと読んで、ピンときた銘柄をストックしておき、安いときがきたら投資を検討することが目的です。私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2024.5期 (2023/5/21~2024/5/20)


Q1 どんな会社?

オフィス用品や生活関連用品、医療材料を販売するeコマース事業を展開し、BtoB事業とBtoC事業「LOHACO」を運営。全国10拠点の物流網で当日・翌日配送を実現し、AI活用のデータドリブン経営で迅速対応を可能にしている。1,408万点以上の商品を扱い、オリジナル商品強化や環境配慮型物流に注力し、競争優位性を高めている。

Q2 どんな状況?

物流費増加や人手不足の課題に直面する一方、拡大するEC市場でオンライン販売需要に対応している。物流効率向上や配送コスト削減を目指し、2026年5月期のASKUL関東DC稼働を予定。データ活用でマーケティングと顧客対応を強化し、M&Aを含む1,000億円規模の成長投資を計画。中期計画で売上高5,000億円、営業利益率3.6%が目標。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在。有価証券報告書等から作成


Q3 業績と予想は?

2024年5月期実績:増収増益
売上高と当期純利益は過去最高を更新し、特にBtoB事業の利益成長が大きく貢献した。また、BtoC事業「LOHACO」の黒字継続や物流効率の向上が増益に寄与している。一方で、固定費の増加や新規投資に伴う負担も利益圧迫要因。

2025年5月期予想:増収増益
物流改革の進展や「LOHACO」の収益改善策が挙げられる。また、データドリブン経営による顧客対応の向上や、新アスクルWebサイトの段階的な移行計画が寄与。2024年5月期に発生したALP首都圏火災関連訴訟の特別利益がなくなることが純利益減少に影響。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比+6%は、過去5期の範囲内で現実的な水準。直近の達成度は98%から105%で、会社予想は控えめながらも信ぴょう性はやや高いと評価できる。純利益予想の-41%は例年の通常範囲を下回る保守的な水準。過去の達成度は102%から186%と上振れ傾向が強く、会社予想は控えめだが信ぴょう性は高い。

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。
達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成


Q5 市場の評価は?

EPSが上昇するとPERが低下する逆相関が見られ、市場は成長を慎重に評価している。5期前と比較してEPSは増加したがPERは大幅に低下しており、利益成長に対する過小評価の傾向が続いている。直近のPERは割安感が顕著で、高値・安値PER平均と比較しても低水準。市場期待が高まっている傾向は見られない。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。


Q6 リスクをどう見る?

ここまでの分析からリスクを想定すると、市場評価が慎重である点がリスクとなる。割安感が長期化し、利益成長に対する市場評価が低いままで株価の値上がりが期待しづらい可能性があるが、下落リスクが大きいという印象は受けない。ただし業績修正や市場環境の変化には注意が必要。

最後に「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価から相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために「リスク許容度に応じた3つのシナリオ」を提示します。これにより現在の株価の位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

異例値を除く直近5期の安値PERの平均(15.2倍)〜高値PERの平均(23.3倍)を概ねの評価レンジとすると、

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