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【実用的IR分析 #49】 "岩谷産業(8088)" のIR情報から、「買うならどのくらい?」を時短で読み解く

この記事は、「いい銘柄を、安いときに買う」ために「増益傾向の中小型銘柄」をピックアップし、知っておくべき「どんな会社で何がいいのか」と、最も知りたい「買うならどのくらいか」をまとめたものです。

これらは上場企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で難解で量も多いので、要点だけを時短で読めるようにしました。ざっと読んで、ピンときた銘柄をストックしておき、安いときがきたら投資を検討することが目的です。私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2024.3期 (2023/4/1~2024/3/31)


Q1 どんな会社?

エネルギー事業を中心に、産業ガスやマテリアル製品を展開。総合エネルギー事業50%、産業ガス・機械事業30%。LPガス事業では国内最大規模の供給網を持ち330万世帯以上に提供。水素事業では液化水素の国内シェア100%を誇り、CO2フリー水素供給チェーンを構築。カセットこんろ事業も国内外で競争力の源泉となっている。

Q2 どんな状況?

エネルギー業界の脱炭素化やデジタル化の進展により、再生可能エネルギーや水素エネルギーの需要が拡大し、同社に成長の機会をもたらしている。一方、競争激化に伴い、コスト削減や効率化、在庫管理、市況変動への対応が重要な課題となっている。中期経営計画では、水素戦略や脱炭素戦略、国内外の市場拡大、物流効率化に注力しており、2027年度までに営業利益650億円を目指している。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在。
有価証券報告書等から作成


Q3 業績と予想は?

2024年3月期実績:減収増益
売上高は減少したものの大幅な増益を達成した。主な増益要因は、LPガス市況の改善や産業ガス事業のコスト削減。また、コスモエネルギーホールディングスを持分法適用会社化したことが、利益拡大に大きく貢献した。

2025年3月期予想:増収増益
全セグメントでの成長が見込まれ、LPガス販売量の増加や水素事業の成長が業績拡大の中心となる見込み。さらに、エネルギー関連機器や環境ソリューション製品の販売が収益向上に寄与する。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年比+6%は、例年と比較して積極的な水準。直近5期の達成率は高水準で信ぴょう性も高い。例年の予想はブレが少なく現実的な傾向が見られる。純利益予想の前年比+14%は、例年の変動幅を超える積極的な水準である。直近5期の達成率は上振れ傾向が顕著。予想は控えめな姿勢で信ぴょう性は高いと評価できる。

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。
達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成


Q5 市場の評価は?

EPSが上昇しているにもかかわらずPERが低下する逆相関が見られる。市場の成長期待は慎重であると考えられる。EPSは5期前より大幅に増加したがPERは低下。利益成長が市場評価に反映されておらず、過小評価の傾向が見られる。直近のPERには割安感があり、過去5期の高値・安値PERの範囲内に収まり、市場の期待に大きな変化は見られない。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。


Q6 リスクをどう見る?

株価を決める「利益(EPS)×市場評価(PER)」の観点から、EPSが堅調に成長し、PERが控えめであるため、過小評価の余地があるが、成長期待は慎重で市場の評価に大きな変化は見られない。予想の信ぴょう性が高いことから、保守的な投資スタンスでの検討が可能だが、成長を狙った積極的な投資には慎重さが必要。全体として中立的な印象を受ける。ただし、業績修正や市場環境の変化には注意が必要である。


ここからは、「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価の相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示します。これにより現在の株価の位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

異例値を除く直近5期の安値PERの平均(8.4倍)〜高値PERの平均(13.2倍)を概ねの評価レンジとすると、

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