【実用的IR分析 #49】 "岩谷産業(8088)" のIR情報から、「買うならどのくらい?」を時短で読み解く
Q1 どんな会社?
エネルギー事業を中心に、産業ガスやマテリアル製品を展開。総合エネルギー事業50%、産業ガス・機械事業30%。LPガス事業では国内最大規模の供給網を持ち330万世帯以上に提供。水素事業では液化水素の国内シェア100%を誇り、CO2フリー水素供給チェーンを構築。カセットこんろ事業も国内外で競争力の源泉となっている。
Q2 どんな状況?
エネルギー業界の脱炭素化やデジタル化の進展により、再生可能エネルギーや水素エネルギーの需要が拡大し、同社に成長の機会をもたらしている。一方、競争激化に伴い、コスト削減や効率化、在庫管理、市況変動への対応が重要な課題となっている。中期経営計画では、水素戦略や脱炭素戦略、国内外の市場拡大、物流効率化に注力しており、2027年度までに営業利益650億円を目指している。
Q3 業績と予想は?
2024年3月期実績:減収増益
売上高は減少したものの大幅な増益を達成した。主な増益要因は、LPガス市況の改善や産業ガス事業のコスト削減。また、コスモエネルギーホールディングスを持分法適用会社化したことが、利益拡大に大きく貢献した。
2025年3月期予想:増収増益
全セグメントでの成長が見込まれ、LPガス販売量の増加や水素事業の成長が業績拡大の中心となる見込み。さらに、エネルギー関連機器や環境ソリューション製品の販売が収益向上に寄与する。
Q4 予想の信ぴょう性は?
売上予想の前年比+6%は、例年と比較して積極的な水準。直近5期の達成率は高水準で信ぴょう性も高い。例年の予想はブレが少なく現実的な傾向が見られる。純利益予想の前年比+14%は、例年の変動幅を超える積極的な水準である。直近5期の達成率は上振れ傾向が顕著。予想は控えめな姿勢で信ぴょう性は高いと評価できる。
Q5 市場の評価は?
EPSが上昇しているにもかかわらずPERが低下する逆相関が見られる。市場の成長期待は慎重であると考えられる。EPSは5期前より大幅に増加したがPERは低下。利益成長が市場評価に反映されておらず、過小評価の傾向が見られる。直近のPERには割安感があり、過去5期の高値・安値PERの範囲内に収まり、市場の期待に大きな変化は見られない。
Q6 リスクをどう見る?
株価を決める「利益(EPS)×市場評価(PER)」の観点から、EPSが堅調に成長し、PERが控えめであるため、過小評価の余地があるが、成長期待は慎重で市場の評価に大きな変化は見られない。予想の信ぴょう性が高いことから、保守的な投資スタンスでの検討が可能だが、成長を狙った積極的な投資には慎重さが必要。全体として中立的な印象を受ける。ただし、業績修正や市場環境の変化には注意が必要である。
Q7 買うならどのくらい?
異例値を除く直近5期の安値PERの平均(8.4倍)〜高値PERの平均(13.2倍)を概ねの評価レンジとすると、
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