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【IR分析 #92】 オプトラン(6235)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える

「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益傾向など、興味を持つに値する企業をピックアップし、「どんな会社で何がいいのか」と、「買うならどのくらいか」を考えます。

これらは企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で量も多いので要点だけまとめました。多くの銘柄を時短で知り、ピンとくる銘柄を見つけて、安い時があれば検討することが目的です。

私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2023.12期 (2023/01/01~2023/12/31)


Q1 どんな会社?

オプトランは、光学薄膜形成装置(レンズなどの表面に薄い膜をコーティングし、光の反射や透過を調整する装置)を開発・製造・販売。スマートフォン、LED、自動車、AR/VR、グリーンエネルギー分野に高精度な成膜技術を提供しており、業界シェアは約30%で日本国内で。顧客ごとに最適な成膜プロセスを提案するソリューション提供型のビジネスモデルが特徴。

Q2 どんな状況?

光学薄膜成膜装置業界は参入が難しい一方、AIスマートフォンの高機能化やEVの自動運転技術進化で需要が拡大。競争激化や顧客依存への対応として、新技術開発や事業拡大を進め、半導体光学融合や電子デバイス分野へ進出。AIスマホやグリーンエネルギー分野を成長領域とし、研究開発や設備投資、M&Aを積極的に推進している。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在。
有価証券報告書等から作成


Q3 業績は?

2023年12月期実績:増収増益
スマートフォンカメラモジュールやLED、自動車向け装置販売が好調に推移。特に、高収益製品であるALD装置の販売拡大が収益を押し上げ、調達コスト削減や作業効率改善といった内部的な努力も寄与した。一方で、為替差損の影響により利益は減少

2024年12月期予想:増収増益
AIスマートフォン関連の需要拡大やカメラモジュールの複眼化が予想の根拠。また、AR/VRや自動車分野での装置需要増加、グリーンエネルギー市場向け装置の新規需要も成長を支える要因。ただし、為替リスクや価格競争激化が、利益は慎重に見積もる要因。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比+1%は、過去5期の予想範囲(+2%~+8%)に入らず、保守的な水準といえる。期末達成度の平均は93.4%で、例年未達傾向が見られるものの、直近2期では達成率が高まり信ぴょう性は標準的と評価できる。一方で、上振れ傾向が限定的なことから、会社予想は控えめと考えられる。

純利益予想の+17%は、過去5期の予想範囲(-10%~+8%)を超える積極的な水準である。達成度の平均は99.4%で、達成実績に大きなばらつきがあるため、信ぴょう性はやや低いと評価できる。上振れと下振れが混在していることから、会社予想は変動要因が大きい。

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。
達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成


Q5 市場の評価は?

EPSとPERに明確な相関性は見られず、市場は利益変動を一時的と捉え、慎重ながら一定の成長期待を持っていると考えられる。また5期前と比較して、EPSが減少している一方、PERがやや上昇している点は、利益成長が鈍化しているにもかかわらず、市場が企業の潜在成長力を重視している可能性を示している。

直近期末のPERは割安感があるものの、過去5期の安値PER平均(11.3倍)から高値PER平均(20.5倍)の範囲内に位置することから、市場の評価は慎重で安定しており、大きな成長期待の高まりは現状では見られない。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。


Q6 リスクをどう見る?

利益予想が積極的であり、成長機会を捉えた上振れの可能性が期待される。また、PERがEPS減少時にも一定水準を維持しており、中長期的な成長期待が市場に見られる。一方でリスクとして、純利益予想の達成度にばらつきがあり信ぴょう性に課題がある点や、市場が短期的な利益減少を過小評価している可能性がある点が懸念される。


最後に「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価から、相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示します。これにより現在の株価位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

過去の市場評価の範囲を基に相対的に低い水準を特定すると、投資を検討する際の有用な目安となる。同社の場合、直近5期の安値PERの平均(11.3倍)〜高値PERの平均(20.5倍)を概ねの評価レンジとすると、

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