【IR分析 #81】 大黒天物産(2791)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考えてみた
Q1 どんな会社?
ディスカウントストア「ディオ」「ラ・ムー」を展開し、食品や日用品を低価格で提供する小売業。岡山県倉敷市で設立され、中国地方を中心に全国へ店舗を拡大。地域最安値を目指す「ESLP」戦略を軸に、消費者から支持を集める。自社物流センターを活用した効率的な供給体制と、低コスト運営で競争力を強化し、PB商品の開発も推進。
Q2 どんな状況?
物価上昇による消費者の節約志向が強まる中、低価格を維持と利益率の確保が課題。人件費の上昇や人材不足にも対応。同社は「魅力ある店づくり6項目」を掲げ、安くて新鮮な商品提供に注力。物流効率化や産地直送でコスト削減と品質維持を実現。中期計画で地域密着型の出店拡大とローコスト経営を推進し、ROE10%以上を目指す。
Q3 業績は?
2024年5月期実績:増収増益
売上増加の要因は、新規出店11店舗と既存店6店舗の改装による活性化。新たに導入した「SFO店舗」で出店・運営コストを削減し、物流効率化により商品供給を改善。PB商品「D-PRICE」の拡販も利益率向上に寄与し、コスト増を吸収して増益を達成した。
2025年5月期予想:増収増益
新規出店を22店舗計画し店舗の多様化を図る。10店舗の既存店改装も予定。業績予想の背景には「ESLP」の徹底による地域最安値の維持があり、消費者の節約志向に応える価格競争力を重視。リスク要因は外部コスト上昇だが、ローコスト運営で対応。
Q4 予想の信ぴょう性は?
売上予想の前年実績比+8%は、過去5期の予想範囲(+0%~+6%)を上回り、積極的な水準といえる。達成度も安定して100%を超えているため、信ぴょう性は高いと評価できる。
一方、純利益予想の+1%は、過去の変動範囲(-27%~+738%)と比較して控えめであるが、過去5期の平均達成度は132.8%と、純利益は予想を上回る上振れ傾向が強い。これを踏まえると、会社の純利益予想は控えめに設定される傾向があり、達成の信ぴょう性は高いと評価できる。
Q5 市場の評価は?
EPSの変動に対しPERは逆相関を示しており、市場は利益減少を一時的と捉え、成長期待を維持している。5期前のEPSは267.5円、PERは15.1倍だったが、直近期はEPSが452.6円に増加し、PERは18.9倍となっている。EPSの上昇に比べPERの伸びは小さく、市場評価に利益成長が十分反映されておらず、過小評価の可能性がある。
直近期のPERは18.9倍で、過去5期の高値PER平均22.22倍、安値PER平均11.38倍の範囲内にある。現状に割高感はないが、市場の成長期待に大きな変化の兆しは見られない。
Q6 リスクをどう見る?
純利益予想は控えめの傾向があり、実績が上振れする可能性も考えられる。また、売上予想は積極的で、新規出店計画による事業拡大が見込まれる。さらに、低価格戦略の徹底によって、需要を取り込み競争力を維持できる期待もある。
一方で、純利益の達成度にはばらつきがあり、業績が下振れするリスクも存在する。また、エネルギー価格や物流費の上昇が利益を圧迫する要因になる可能性がある。さらに、成長戦略はすでに市場評価に反映されている可能性があり、想定を上回る成長が示せなければ、株価上昇が限定的になるリスクも考えられる。
Q7 買うならどのくらい?
過去の市場評価の範囲から、相対的に低い水準を特定すると、投資を検討する際の目安として有効と考えられる。同社の場合、直近5期の安値PERの平均(11.4倍)〜高値PERの平均(22.2倍)を概ねの評価レンジとすると、
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