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【IR分析 #81】 大黒天物産(2791)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考えてみた

「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益傾向など、興味を持つに値する企業をピックアップし、「どんな会社で何がいいのか」と、「買うならどのくらいか」を考えます。

これらは企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で量も多いので要点だけまとめました。多くの銘柄を時短で知り、ピンとくる銘柄を見つけて、安い時があれば検討することが目的です。

私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2024.5期 (2023/6/1~2024/5/31)


Q1 どんな会社?

ディスカウントストア「ディオ」「ラ・ムー」を展開し、食品や日用品を低価格で提供する小売業。岡山県倉敷市で設立され、中国地方を中心に全国へ店舗を拡大。地域最安値を目指す「ESLP」戦略を軸に、消費者から支持を集める。自社物流センターを活用した効率的な供給体制と、低コスト運営で競争力を強化し、PB商品の開発も推進。

Q2 どんな状況?

物価上昇による消費者の節約志向が強まる中、低価格を維持と利益率の確保が課題。人件費の上昇や人材不足にも対応。同社は「魅力ある店づくり6項目」を掲げ、安くて新鮮な商品提供に注力。物流効率化や産地直送でコスト削減と品質維持を実現。中期計画で地域密着型の出店拡大とローコスト経営を推進し、ROE10%以上を目指す。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在。有価証券報告書等から作成


Q3 業績は?

2024年5月期実績:増収増益
売上増加の要因は、新規出店11店舗と既存店6店舗の改装による活性化。新たに導入した「SFO店舗」で出店・運営コストを削減し、物流効率化により商品供給を改善。PB商品「D-PRICE」の拡販も利益率向上に寄与し、コスト増を吸収して増益を達成した。

2025年5月期予想:増収増益
新規出店を22店舗計画し店舗の多様化を図る。10店舗の既存店改装も予定。業績予想の背景には「ESLP」の徹底による地域最安値の維持があり、消費者の節約志向に応える価格競争力を重視。リスク要因は外部コスト上昇だが、ローコスト運営で対応。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比+8%は、過去5期の予想範囲(+0%~+6%)を上回り、積極的な水準といえる。達成度も安定して100%を超えているため、信ぴょう性は高いと評価できる。

一方、純利益予想の+1%は、過去の変動範囲(-27%~+738%)と比較して控えめであるが、過去5期の平均達成度は132.8%と、純利益は予想を上回る上振れ傾向が強い。これを踏まえると、会社の純利益予想は控えめに設定される傾向があり、達成の信ぴょう性は高いと評価できる。

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。
達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成


Q5 市場の評価は?

EPSの変動に対しPERは逆相関を示しており、市場は利益減少を一時的と捉え、成長期待を維持している。5期前のEPSは267.5円、PERは15.1倍だったが、直近期はEPSが452.6円に増加し、PERは18.9倍となっている。EPSの上昇に比べPERの伸びは小さく、市場評価に利益成長が十分反映されておらず、過小評価の可能性がある。

直近期のPERは18.9倍で、過去5期の高値PER平均22.22倍、安値PER平均11.38倍の範囲内にある。現状に割高感はないが、市場の成長期待に大きな変化の兆しは見られない。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。


Q6 リスクをどう見る?

純利益予想は控えめの傾向があり、実績が上振れする可能性も考えられる。また、売上予想は積極的で、新規出店計画による事業拡大が見込まれる。さらに、低価格戦略の徹底によって、需要を取り込み競争力を維持できる期待もある。

一方で、純利益の達成度にはばらつきがあり、業績が下振れするリスクも存在する。また、エネルギー価格や物流費の上昇が利益を圧迫する要因になる可能性がある。さらに、成長戦略はすでに市場評価に反映されている可能性があり、想定を上回る成長が示せなければ、株価上昇が限定的になるリスクも考えられる。


最後に「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価から、相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示します。これにより現在の株価位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

過去の市場評価の範囲から、相対的に低い水準を特定すると、投資を検討する際の目安として有効と考えられる。同社の場合、直近5期の安値PERの平均(11.4倍)〜高値PERの平均(22.2倍)を概ねの評価レンジとすると、

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