
【IR分析 #99】 グンゼ(3002)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える
「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益傾向など、興味を持つに値する企業をピックアップし、「どんな会社で何がいいのか」と、「買うならどのくらいか」を考えます。
これらは企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で量も多いので要点だけまとめました。多くの銘柄を時短で知り、ピンとくる銘柄を見つけて、安い時があれば検討することが目的です。
私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。
2024.3期 (2023/4/1~2024/3/31)
Q1 どんな会社?
アパレル、プラスチックフィルム、医療機器、不動産関連事業を展開。繊維加工や樹脂加工技術を活かし、肌着や環境対応型フィルム、生体吸収性医療機器などを提供している。国内外で高いシェアを持ち、アジア市場でも拡大を目指している。特徴は独自の技術融合による製品開発力で、吸汗速乾性や機能性に優れた商品「アセドロン」などを展開。
Q2 どんな状況?
アパレル業界での消費行動変化や環境対応型製品需要の高まり、メディカル分野での市場拡大に対応。新規事業の創出や資本効率改善、環境対応型経営に注力し、アパレル事業ではDtoCチャネル拡大、メディカル事業では新工場建設、プラスチック分野ではサーキュラーファクトリーの活用を進めている。売上高1400億円、営業利益90億円が目標。

有価証券報告書等から作成
Q3 業績は?
2024年3月期実績:減収増益
売上は電子部品フィルム事業の譲渡や不動産開発プロジェクト終了の影響で減少したが、アパレル事業の収益改善が利益増加に寄与。特に、製品の高付加価値化や価格改定が利益率向上につながった。
2025年3月期予想:増収増益
アパレル事業でのDtoCチャネルの拡大やメディカル事業での市場拡大が期待されている。プラスチック分野では環境対応型製品の展開により収益基盤を強化し、事業ポートフォリオの見直しによって効率化を進めている。

Q4 予想の信ぴょう性は?
売上予想の前年実績比+5%は、過去5期の予想範囲(-7%~+9%)内であり、現実的な水準といえる。過去5期の達成度は平均95.2%で、未達傾向は見られるが比較的安定しており、信ぴょう性は高いと評価できる。達成度の上振れ傾向は見られないため、会社予想は現実的な傾向があると考えられる。
純利益予想の+47%は、過去5期の予想範囲(-52%~+161%)内で、上位に位置する積極的な水準といえる。過去5期の達成度は平均96.8%であり、全体として信ぴょう性は中程度と評価できる。達成度には上振れ傾向が見られるため、会社予想は控えめな傾向があると考えられる。

達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成
Q5 市場の評価は?
EPSが上昇するとPERが低下する逆相関が見られることから、市場は利益成長を慎重に評価していると考えられる。また、5期前と比較してEPSは245.0から301.1へ増加したが、PERは14.8から18.3へやや上昇しており、市場が利益成長を控えめに評価している可能性がある。
直近期末のPERは18.3で、20倍を基準にすると割安感がある水準にある。さらに、過去5期の安値PERと高値PERの範囲内にあり、市場の成長期待が大きく変化している兆しは見られない。

平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。
Q6 リスクをどう見る?
利益予想は積極的で、特に純利益の大幅成長が見込まれる点に期待が持てる。また、売上予想の信ぴょう性が高く、計画達成が期待される一方、直近期のPERが割安であることは投資妙味を示唆する。
ただし、市場の評価は慎重で、成長が十分反映されない過小評価のリスクがある。さらに、予想未達や外部要因による影響で株価が上昇しにくい可能性にも注意が必要である。
最後に「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。
過去の市場評価から、相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示します。これにより現在の株価位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。
この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。
Q7 買うならどのくらい?
過去の市場評価の範囲を基に、相対的に低い水準を特定すると、投資を検討する際の有用な目安となる。同社の場合、直近5期の安値PERの平均〜高値PERの平均を概ねの評価レンジとすると、
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