【IR分析 #97】 MCJ(6670)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える
Q1 どんな会社?
パソコンやモニタの製造・販売の「マウスコンピューター」を基盤とし、エンターテインメントやフィットネス事業も展開する企業。パソコン関連事業が主力で、国内生産による高品質な製品提供を実現。企画から販売、サポートまで一貫体制を採用し、迅速な市場対応が可能。BTO(Build To Order)の柔軟性を活かし、顧客ニーズに応える体制を強みとしている。
Q2 どんな状況?
生成AIやクラウド化の進展でハードウェア市場が多様化する一方、国内PC市場では需要回復が見込まれる。課題は原材料価格の変動や人材確保、競争激化の中での収益性維持。中期経営計画では、既存事業の収益性強化と新規事業への投資を重視し、営業利益率7%以上、ROE15%以上を目標に掲げる。M&Aやアライアンスで事業ポートフォリオの多様化を図る。
Q3 業績は?
2024年3月期実績:増収増益
経営成績の要因は、国内パソコン事業が厳しい市場環境の影響を受けたものの、海外事業や総合エンターテインメント事業が好調であったことにある。特に、海外における事業展開が利益率向上に貢献した。さらに、コスト管理の徹底と柔軟な市場対応により、利益率が過去最高を記録した。
2025年3月期予想:増収増益
業績予想の根拠は、国内市場における需要回復が見込まれる点にある。Windows 10サポート終了に伴う買い替え需要や、ハイスペックPCの成長が売上を押し上げる要因とされている。利益面では、原材料価格の上昇リスクを売上拡大によって吸収する計画。
Q4 予想の信ぴょう性は?
売上予想の前年実績比+5%は、過去5期の予想範囲(-3%~+6%)内であり、積極的な水準といえる。過去5期の達成度は平均104.6%で信ぴょう性は高いと評価できる。最近2期では未達成が見られるが、過去の達成度にはやや上振れ傾向があるため、会社予想は控えめな傾向があると考えられる。
純利益予想の前年実績比+4%は、過去5期の予想範囲(-0%~+28%)内であり、保守的な水準といえる。過去5期の達成度は平均104.4%で、全体的に達成されていることから信ぴょう性は高い。過去の達成度では上振れ傾向が見られるため、会社予想は控えめな傾向があると考えられる。
Q5 市場の評価は?
EPSが上昇するとPERも上昇する正相関が見られることから、市場は利益成長を積極的に評価していると考えられる。5期前と比較すると、EPSは76.7から124.2へ大幅に増加しているが、PERは7.8倍から11.0倍と緩やかで、市場は利益成長を過小評価している可能性があるが、評価ギャップは縮小しつつあると考えられる。
直近期末のPERは11.0倍で、20倍を基準とすれば割安感が強い水準にある。また、過去5期の安値PER平均と高値PER平均の範囲内に位置しており、市場の成長期待は安定的で、明確に高まっているとまでは言えない。
Q6 リスクをどう見る?
これまでの分析を整理すると、利益予想は積極性があり、過去の高い達成度から計画以上の実績が期待される。PERの割安感も成長余地を示し、市場が一定の評価を維持している点は好材料。
一方、成長期待が完全に反映されておらず、利益の過小評価が継続するリスクがある。さらに、市場期待の伸び悩みが株価の大幅な上昇を阻む可能性にも注意が必要。
Q7 買うならどのくらい?
過去の市場評価の範囲を基に、相対的に低い水準を特定すると、投資を検討する際の有用な目安となる。同社の場合、直近5期の安値PERの平均〜高値PERの平均を概ねの評価レンジとすると、
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