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【IR分析 #97】 MCJ(6670)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える

「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益傾向など、興味を持つに値する企業をピックアップし、「どんな会社で何がいいのか」と、「買うならどのくらいか」を考えます。

これらは企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で量も多いので要点だけまとめました。多くの銘柄を時短で知り、ピンとくる銘柄を見つけて、安い時があれば検討することが目的です。

私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2024.3期 (2023/4/1~2024/3/31)


Q1 どんな会社?

パソコンやモニタの製造・販売の「マウスコンピューター」を基盤とし、エンターテインメントやフィットネス事業も展開する企業。パソコン関連事業が主力で、国内生産による高品質な製品提供を実現。企画から販売、サポートまで一貫体制を採用し、迅速な市場対応が可能。BTO(Build To Order)の柔軟性を活かし、顧客ニーズに応える体制を強みとしている。

Q2 どんな状況?

生成AIやクラウド化の進展でハードウェア市場が多様化する一方、国内PC市場では需要回復が見込まれる。課題は原材料価格の変動や人材確保、競争激化の中での収益性維持。中期経営計画では、既存事業の収益性強化と新規事業への投資を重視し、営業利益率7%以上、ROE15%以上を目標に掲げる。M&Aやアライアンスで事業ポートフォリオの多様化を図る。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在。
有価証券報告書等から作成


Q3 業績は?

2024年3月期実績:増収増益
経営成績の要因は、国内パソコン事業が厳しい市場環境の影響を受けたものの、海外事業や総合エンターテインメント事業が好調であったことにある。特に、海外における事業展開が利益率向上に貢献した。さらに、コスト管理の徹底と柔軟な市場対応により、利益率が過去最高を記録した。

2025年3月期予想:増収増益
業績予想の根拠は、国内市場における需要回復が見込まれる点にある。Windows 10サポート終了に伴う買い替え需要や、ハイスペックPCの成長が売上を押し上げる要因とされている。利益面では、原材料価格の上昇リスクを売上拡大によって吸収する計画。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比+5%は、過去5期の予想範囲(-3%~+6%)内であり、積極的な水準といえる。過去5期の達成度は平均104.6%で信ぴょう性は高いと評価できる。最近2期では未達成が見られるが、過去の達成度にはやや上振れ傾向があるため、会社予想は控えめな傾向があると考えられる。

純利益予想の前年実績比+4%は、過去5期の予想範囲(-0%~+28%)内であり、保守的な水準といえる。過去5期の達成度は平均104.4%で、全体的に達成されていることから信ぴょう性は高い。過去の達成度では上振れ傾向が見られるため、会社予想は控えめな傾向があると考えられる。

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。
達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成


Q5 市場の評価は?

EPSが上昇するとPERも上昇する正相関が見られることから、市場は利益成長を積極的に評価していると考えられる。5期前と比較すると、EPSは76.7から124.2へ大幅に増加しているが、PERは7.8倍から11.0倍と緩やかで、市場は利益成長を過小評価している可能性があるが、評価ギャップは縮小しつつあると考えられる。

直近期末のPERは11.0倍で、20倍を基準とすれば割安感が強い水準にある。また、過去5期の安値PER平均と高値PER平均の範囲内に位置しており、市場の成長期待は安定的で、明確に高まっているとまでは言えない。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。


Q6 リスクをどう見る?

これまでの分析を整理すると、利益予想は積極性があり、過去の高い達成度から計画以上の実績が期待される。PERの割安感も成長余地を示し、市場が一定の評価を維持している点は好材料。

一方、成長期待が完全に反映されておらず、利益の過小評価が継続するリスクがある。さらに、市場期待の伸び悩みが株価の大幅な上昇を阻む可能性にも注意が必要。


最後に「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価から、相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示します。これにより現在の株価位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

過去の市場評価の範囲を基に、相対的に低い水準を特定すると、投資を検討する際の有用な目安となる。同社の場合、直近5期の安値PERの平均〜高値PERの平均を概ねの評価レンジとすると、

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