見出し画像

【実用的IR分析 #59】 "TOTO(5332)" のIR情報から、「買うならどのくらい?」を時短で読み解く

この記事は、「いい銘柄を、安いときに買う」ために「増益傾向の中小型銘柄」をピックアップし、知っておくべき「どんな会社で何がいいのか」と、最も知りたい「買うならどのくらいか」をまとめたものです。

これらは上場企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で難解で量も多いので、要点だけを時短で読めるようにしました。ざっと読んで、ピンときた銘柄をストックしておき、安いときがきたら投資を検討することが目的です。私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2024.3期 (2023/4/1~2024/3/31)


Q1 どんな会社?

衛生陶器や「ウォシュレット」、バス・キッチンなどの住宅設備を手掛ける日本を代表するメーカーで、創業100年以上の歴史を持つ。「ウォシュレット」で圧倒的な市場占有率を誇り、快適性や環境性能で差別化を図る。国内外で事業を展開し、技術を応用して半導体製造装置向けセラミック商品など新分野にも進出している。

Q2 どんな状況?

国内市場では新築住宅需要が減少する一方、リフォーム需要が好調で、高齢化に伴うバリアフリー製品や高機能住宅設備の需要が増加している。海外では新興国で住宅需要が拡大するが、中国では不動産市況の低迷が課題。グローバル市場でのシェア拡大と収益性確保が重要な経営課題であり、為替変動や各国政策も事業環境に影響する。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在。
有価証券報告書等から作成


Q3 業績と予想は?

2024年3月期実績:増収減益
国内ではリフォーム需要が好調で新商品と価格改定の効果が見られた。海外では米州事業で「ウォシュレット」や節水型トイレの販売が堅調に推移。一方で、中国やアジア市場では市況悪化が影響したが、全体として売上増加と純利益は改善。

2025年3月期予想:増収増益
国内では引き続きリモデル事業の成長が見込まれ、海外市場では米州事業の中高級市場向け商品の販売拡大と台湾・ベトナム市場の回復が寄与する見通し。価格改定や効率的な生産体制の効果が利益を押し上げる。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比+7%は、例年の変動範囲内で現実的な水準。達成率は過去5期で安定しており、会社予想は控えめな傾向があるものの、信ぴょう性は高いと評価できる。純利益予想の+1%は、例年と比較して保守的な水準。達成率は71%~154%とばらつきがあるが、直近2期では95%と安定。信ぴょう性は比較的高いと評価できる。

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。
達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成


Q5 市場の評価は?

EPSが上昇するとPERも上昇する相関があり、市場は成長に対してやや積極的な評価をしている。一方で、5期前と比較してEPSは大幅に増加しているものの、PERは低下しており、市場評価は過小気味といえる。直近期のPERは割高感がなく、直近5期の安値PERの下限付近で推移しており、期待が特段高まっている状況ではない。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。


Q6 リスクをどう見る?

ここまでの分析からリスクを想定すると、市場が利益成長を過小評価している傾向があり、株価が十分に伸びにくいリスクがある。また、控えめな業績予想により市場期待が限定的となり、株価が抑えられる可能性がある。業績は安定しているため、投資対象としてのリスクは比較的控えめな印象を受けるが、業績修正や市場環境の変化には注意が必要。

最後に「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価から相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために「リスク許容度に応じた3つのシナリオ」を提示します。これにより現在の株価の位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

異例値を除く直近5期の安値PERの平均(19.1倍)〜高値PERの平均(31.1倍)を概ねの評価レンジとすると、

ここから先は

488字 / 1画像
この記事のみ ¥ 200
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?