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【IR分析 #91】 インテージホールディングス(4326)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える

「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益傾向など、興味を持つに値する企業をピックアップし、「どんな会社で何がいいのか」と、「買うならどのくらいか」を考えます。

これらは企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で量も多いので要点だけまとめました。多くの銘柄を時短で知り、ピンとくる銘柄を見つけて、安い時があれば検討することが目的です。

私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2024.6期 (2023/7/1~2024/6/30)


Q1 どんな会社?

データとテクノロジーを活用してマーケティングリサーチ、ヘルスケア支援、ビジネスインテリジェンスを提供。国内最大級の53,600人の消費者パネルを基盤にデータ収集から施策立案まで一貫支援を行い、国内業界No.1の地位を確立。NTTドコモとの資本業務提携により、データドリブンなマーケティング支援や広告・販促・CRMを包括的に提供。

Q2 どんな状況?

デジタル化やAI普及が新たな機会を生む中、業界全体で内製化や予算の海外移行が進み、迅速な対応力と顧客基盤拡大が重要となっている。ヘルスケア分野ではリアルワールドデータ活用やCRO事業の効率化が成長を支える。データとテクノロジーを融合し、NTTドコモとの提携による統合型マーケティング支援を推進。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在。
有価証券報告書等から作成


Q3 業績は?

2024年6月期実績:増収減益
売上高は堅調に増加したものの、人件費や投資費用の増加に加え、NTTドコモとの資本業務提携関連費用が利益を圧迫した。また、カスタムリサーチやヘルスケア分野の一部事業が計画未達に終わったことも減益の要因。

2025年6月期予想:増収増益
売上高の増加は既存事業の堅調な伸びと値上げ効果が主因。NTTドコモとのシナジーを活用した新事業展開やデータ活用の強化が利益成長に寄与すると見込まれる。特に、ヘルスケア事業のリサーチ分野では、復調基調が期待されており、全体の利益を押し上げる要因となる見通し。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比+7%は、過去5期の期初予想の範囲内にあり、やや積極的ながら現実的な水準といえる。期末達成度は平均102%だが、直近2期では未達傾向が見られるため、信ぴょう性は標準的と評価できる。

一方、純利益予想+51%は、非常に積極的な水準でありながら、過去の未達成の傾向と範囲のばらつきから、信ぴょう性は低いと考えられる。

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。
達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成


Q5 市場の評価は?

EPSが上昇するとPERが低下する逆相関が見られることから、市場は利益変動を一時的と見て慎重に評価していると考えられる。また5期前と比較してEPSは増加したがPERは低下しており、利益成長を過小評価している可能性が考えられる。

直近期末のPERに割安感はないが、過去5期の安値PER平均(15.6倍)と高値PER平均(28.3倍)の範囲内にあることから、市場の成長期待が高まっている兆しは見られない。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。


Q6 リスクをどう見る?

これまでの分析を整理すると、利益予想は非常に積極的で、新規事業展開や既存事業の成長による上振れの可能性が期待される。一方で、純利益予想の実現性にばらつきがあり、過去の未達成例がリスク要因となる。また、直近期のPERが割高なため、市場期待が先行しすぎている可能性にも注意が必要と考えられる。


最後に「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価から、相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示します。これにより現在の株価位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

過去の市場評価の範囲を基に、相対的に低い水準を特定すると、投資を検討する際の有用な目安となる。同社の場合、直近5期の安値PERの平均(15.1倍)〜高値PERの平均(24.5倍)を概ねの市場評価の範囲とすると、

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