【IR分析 #107】 SGホールディングス(9143)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える
Q1 どんな会社?
佐川急便を中心に、国内外で物流サービスを展開し、デリバリー事業が売上の約8割を占める。宅配便ネットワークを基盤に法人向け物流ソリューションを提供し、国際輸送も手がける。広範な物流ネットワークとTMSや3PLなどの付加価値サービスが特徴で、環境対応車両や物流施設の自動化、AI搭載荷積みロボット導入による技術革新に注力。
Q2 どんな状況?
国内では労働人口減少や人件費上昇が課題だが、EC市場拡大により物流需要が増加。海外では地政学リスクやインフレの影響でサプライチェーン再構築が求められる。同社は「2024年問題」への対応として宅配便ネットワーク効率化や脱炭素化、AI・IoT技術活用を推進。中期計画で物流ソリューション高度化や国際事業強化を図る。
Q3 業績は?
2024年3月期実績:減収減益
経営成績の要因として、宅配便の取扱個数減少や、燃料費と人件費の上昇が挙げられる。一方で、適正運賃収受の取り組みが進み、平均単価は上昇している。ロジスティクス事業では、海上・航空貨物の取扱量減少が影響し、不動産事業では売却規模の変動が収益に影響を与えた。
2025年3月期予想:増収増益
業績予想の根拠として、宅配便の需要回復や適正運賃収受の取り組みの継続がある。また、国際輸送取扱量の増加や、エクスポランカ社の業績改善も見込まれている。さらに、TMSや3PLの成長が収益基盤を強化し、物流ネットワークの効率化がコスト削減につながると期待。
Q4 予想の信ぴょう性は?
売上予想の前年実績比:+5%
過去5期の予想範囲(+1%~+4%)をやや上回る水準であり、積極的と評価できる。過去5期の達成度は平均102.4%で信ぴょう性は高い。ただし、直近2期では未達成の傾向が見られる。過去の達成度では上振れ傾向が強く見られるため、会社予想は概ね楽観的な傾向があると考えられる。
純利益予想の前年実績比:+11%
過去5期の予想範囲(-10%~+3%)を大きく上回る水準であり、非常に積極的といえる。達成度の平均値は123.4%と高いが、直近では達成率が低下しているため、信ぴょう性はやや低いと評価される。過去の達成度では上振れが顕著であり、会社予想は全体的に楽観的な傾向があると判断される。
Q5 市場の評価は?
EPSが上昇するとPERが低下する逆相関が見られることから、市場は利益成長を慎重に評価していると考えられる。5期前と比較すると、EPSは74.5から93.0へ増加し、PERは17.3から20.5へ上昇している。この動きから、市場の利益成長に対する評価に過小評価や過大評価の傾向は見られないと考えられる。
直近期末のPERは20.5で、20倍を基準にするとほぼ適正な水準といえる。また、過去5期の安値PERと高値PERの範囲内に位置しているが、直近期は市場の成長期待がやや高まっているようにも見える。
Q6 リスクをどう見る?
利益予想は積極的で、過去の上振れ傾向から予想を超える成果が期待される。また、PERの水準は市場の成長期待が高まりつつあることを示し、成長の可能性が感じられる。
一方、予想達成度が近年低下しており、達成リスクが懸念される。さらに、市場が利益成長を慎重に評価する傾向があり、期待が株価に反映されにくい点や評価の変動幅が大きい点もリスクとして挙げられる。
Q7 買うならどのくらい?
過去の市場評価の範囲を基に、相対的に低い水準を特定すると、投資を検討する際の有用な目安となる。同社の場合、直近5期の安値PERの平均〜高値PERの平均を概ねの評価レンジとすると、
ここから先は
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?