【IR分析 #83】 ロイヤルホールディングス(8179)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える
Q1 どんな会社?
外食、ホテル、食品を展開し「食」と「ホスピタリティ」を提供する企業。全国に「ロイヤルホスト」「天丼てんや」などを展開し、空港や高速道路の店舗運営も行う。ホテル事業では「リッチモンドホテル」を展開し、食品事業では冷凍食品「ロイヤルデリ」の販路拡大に注力。外食事業が売上の約44.5%を占め、各事業の相互補完が強み。
Q2 どんな状況?
個人消費は回復傾向にあるが、原材料費の高騰や労働力不足が課題。一方、観光需要の回復やインバウンド需要の増加が追い風となり、外食産業は高付加価値商品や新業態開発が進んでいる。中期経営計画で既存事業の収益向上と新事業創出を目指し、外食の新規出店、冷凍食品「ロイヤルデリ」の販路拡大、ホテルの改装などで成長を図る。
Q3 業績は?
2023年12月期実績:増収増益
増益は既存店の増収や収益性改善、新規事業の貢献による。コントラクト事業は連結子会社化で117億円の増収効果があり、ホテル事業も観光需要の回復で堅調に推移した。原材料費高騰の影響を受けたが、高付加価値商品の提供で増益を確保した。
2024年12月期予想:増収増益
外食、コントラクト、ホテル事業すべてで売上増が見込まれる。観光需要の増加が追い風となり、ホテル事業は引き続き好調に推移する見込み。原材料費の高騰が続く中、高付加価値商品の提供と販売価格の適正化で収益性改善を図る。
Q4 予想の信ぴょう性は?
売上予想の+6%は、過去5期の変動範囲(-2%~+26%)内に収まり、達成度の中央値は100%である。直近2期は予想を上回る実績を記録しており、売上予想は現実的かつ信ぴょう性が高いと評価できる。
一方、純利益予想の+7%は、過去の範囲(-114%~+7%)の上限に位置し、積極的な予想といえる。達成度の中央値は64%とばらつきがあるが、直近は上振れ傾向にあるため、信ぴょう性はやや改善していると考えられる。
Q5 市場の評価は?
EPSとPERには弱い正の相関が見られ、利益成長に対して市場も適度に評価を反映している。特に2022年以降、EPSが大きく成長する中で、PERも安定して推移しており、市場の評価は現実的といえる。5期前はPERが異常に高い状態だったが、直近では利益成長に見合った正常な評価が定着しているため、少なくとも過小評価の傾向はない。
直近期のPERは33倍で、相対的にはやや割高だが、過去2期のPER範囲内に収まっている。市場の期待は大きな変化は見られず、利益成長を堅実に評価し続ける動きが続く可能性が考えられる。
Q6 リスクをどう見る?
これまでの分析を整理すると、売上予想は現実的で、純利益予想も上振れ傾向が見られることから、今後の業績拡大が期待される。また、近年ではEPSの成長に対してPERが安定して推移しており、市場評価も利益成長を適切に反映しつつある。
一方で、純利益予想の達成度にはばらつきがあり、過去には予想を大きく下回るケースもあったため、信ぴょう性には注意が必要である。直近のPERはやや割高感があるため、業績が期待に届かない場合の下落リスクも懸念される。また、純利益予想の変動が大きいことから、安定成長を見込むには慎重な姿勢が求められる。
Q7 買うならどのくらい?
過去の市場評価の範囲から、相対的に低い水準を特定すると、投資を検討する際の目安として有効と考えられる。同社の場合、直近5期の安値PERの平均(30.7倍)から高値PERの平均(42.9倍)を概ねの評価レンジとすると、
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