見出し画像

【IR分析 #83】 ロイヤルホールディングス(8179)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える

「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益傾向など、興味を持つに値する企業をピックアップし、「どんな会社で何がいいのか」と、「買うならどのくらいか」を考えます。

これらは企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で量も多いので要点だけまとめました。多くの銘柄を時短で知り、ピンとくる銘柄を見つけて、安い時があれば検討することが目的です。

私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2023.12期 (2023/01/01~2023/12/31)


Q1 どんな会社?

外食、ホテル、食品を展開し「食」と「ホスピタリティ」を提供する企業。全国に「ロイヤルホスト」「天丼てんや」などを展開し、空港や高速道路の店舗運営も行う。ホテル事業では「リッチモンドホテル」を展開し、食品事業では冷凍食品「ロイヤルデリ」の販路拡大に注力。外食事業が売上の約44.5%を占め、各事業の相互補完が強み。

Q2 どんな状況?

個人消費は回復傾向にあるが、原材料費の高騰や労働力不足が課題。一方、観光需要の回復やインバウンド需要の増加が追い風となり、外食産業は高付加価値商品や新業態開発が進んでいる。中期経営計画で既存事業の収益向上と新事業創出を目指し、外食の新規出店、冷凍食品「ロイヤルデリ」の販路拡大、ホテルの改装などで成長を図る。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在。
有価証券報告書等から作成


Q3 業績は?

2023年12月期実績:増収増益
増益は既存店の増収や収益性改善、新規事業の貢献による。コントラクト事業は連結子会社化で117億円の増収効果があり、ホテル事業も観光需要の回復で堅調に推移した。原材料費高騰の影響を受けたが、高付加価値商品の提供で増益を確保した。

2024年12月期予想:増収増益
外食、コントラクト、ホテル事業すべてで売上増が見込まれる。観光需要の増加が追い風となり、ホテル事業は引き続き好調に推移する見込み。原材料費の高騰が続く中、高付加価値商品の提供と販売価格の適正化で収益性改善を図る。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の+6%は、過去5期の変動範囲(-2%~+26%)内に収まり、達成度の中央値は100%である。直近2期は予想を上回る実績を記録しており、売上予想は現実的かつ信ぴょう性が高いと評価できる。

一方、純利益予想の+7%は、過去の範囲(-114%~+7%)の上限に位置し、積極的な予想といえる。達成度の中央値は64%とばらつきがあるが、直近は上振れ傾向にあるため、信ぴょう性はやや改善していると考えられる。

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。
達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成


Q5 市場の評価は?

EPSとPERには弱い正の相関が見られ、利益成長に対して市場も適度に評価を反映している。特に2022年以降、EPSが大きく成長する中で、PERも安定して推移しており、市場の評価は現実的といえる。5期前はPERが異常に高い状態だったが、直近では利益成長に見合った正常な評価が定着しているため、少なくとも過小評価の傾向はない。

直近期のPERは33倍で、相対的にはやや割高だが、過去2期のPER範囲内に収まっている。市場の期待は大きな変化は見られず、利益成長を堅実に評価し続ける動きが続く可能性が考えられる。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。


Q6 リスクをどう見る?

これまでの分析を整理すると、売上予想は現実的で、純利益予想も上振れ傾向が見られることから、今後の業績拡大が期待される。また、近年ではEPSの成長に対してPERが安定して推移しており、市場評価も利益成長を適切に反映しつつある。

一方で、純利益予想の達成度にはばらつきがあり、過去には予想を大きく下回るケースもあったため、信ぴょう性には注意が必要である。直近のPERはやや割高感があるため、業績が期待に届かない場合の下落リスクも懸念される。また、純利益予想の変動が大きいことから、安定成長を見込むには慎重な姿勢が求められる。


最後に「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価から、相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示します。これにより現在の株価位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

過去の市場評価の範囲から、相対的に低い水準を特定すると、投資を検討する際の目安として有効と考えられる。同社の場合、直近5期の安値PERの平均(30.7倍)から高値PERの平均(42.9倍)を概ねの評価レンジとすると、

ここから先は

481字 / 1画像
この記事のみ ¥ 200
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?