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【IR分析 #70】 日本ペイントホールディングス(4612)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考えてみた

「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益傾向など興味を持つに値する企業をピックアップし、「どんな会社で何がいいのか」と、「買うならどのくらいか」を考えます。

これらは企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で量も多いので要点だけまとめました。多くの銘柄を時短で知り、ピンとくる銘柄を見つけて、安い時があれば検討することが目的です。

私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2023.12期 (2023/01/01~2023/12/31)


Q1 どんな会社?

建築用塗料や自動車用塗料などを製造・販売し、アジア、オセアニア、米州を中心に展開。自律・分散型経営により、現地法人が各地域の市場ニーズに応じた商品を提供。特に中国市場での成長が著しく、建築用塗料のTUC分野で約25%のトップシェアを確立。海外売上は全体の約88%を占め、M&Aを通じてさらなる事業拡大を図る。

Q2 どんな状況?

世界の塗料市場は人口増加や都市化により成長が続き、特にアフリカ、インド、アジア地域で需要が拡大。一方、原材料高騰や環境規制強化などの課題に対応するため、環境配慮型商品の開発とグローバルなサプライチェーン構築を進めている。中期経営計画で中国やインド市場の成長加速と収益力強化を図っている。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在。
有価証券報告書等から作成


Q3 業績と予想は?

2023年12月期実績:増収増益
売上収益は前年同期比で10.2%増加し、営業利益も大幅に増加。特に、中国市場における経済活動の正常化が寄与し、販売数量の増加と製品値上げの効果が反映された。

2024年12月期予想:増収増益
主力市場である中国やアジア地域での経済活動の正常化が続き、製品値上げの浸透で売上と利益の増加を見込む。また、自動車生産台数の回復が期待されることから、自動車用塗料の需要も拡大する見通し。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の+11%は、過去5期の変動範囲内に収まり、現実的な水準。達成度は平均107.8%と安定しており、予想は控えめな傾向で、信ぴょう性は高いと判断できる。純利益予想の+5%は例年の変動幅と比較して保守的な水準。過去の達成度は平均118.0%で上振れ傾向が見られることから、予想は控えめで、信ぴょう性は高いと評価できる。

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。
達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成


Q5 市場の評価は?

EPSの上昇に対してPERが低下する逆相関が見られ、市場は成長を慎重に評価している。5期前と比較してEPSは増加したが、PERは大きく低下しており、市場には過小評価の傾向がある。直近期のPERは直近5期の安値PER平均と比較しても低く、割高感は小さい。市場評価は安定しているが、期待が大きく高まる様子は見られない。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。


Q6 リスクをどう見る?

保守的な利益予想が市場評価を抑え、株価上昇が限定的になるリスクがあると考えられる。また、EPSの成長に対してPERが低下する逆相関が見られ、市場の成長期待が慎重なままである点がリスクとなる。両者を総括すると、利益成長が市場で過小評価される可能性があり、株価に反映されるまで時間を要するリスクが考えられる。

最後に「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価から相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示します。これにより現在の株価の位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

異例値を除く直近5期の安値PERの平均(28.6倍)〜高値PERの平均(59.7倍)を概ねの評価レンジとすると、

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