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【IR分析 #9】買うならどのくらい?を読み解く "サイゼリヤ"(7581) 2023.8期

はじめに


有価証券報告書や決算説明資料など、IR情報を読み解くことが、投資成功への近道だと考えています。重要なポイントはほぼ網羅されているからです。ただ専門的で難解で情報量も多いので、要点だけ簡潔にまとめました。

いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益予想などの銘柄に絞って、投資水準を探ります。株価は「利益(EPS)×市場評価(PER)」で決まるため、それぞれの要素を読み解きます。

多くの銘柄についてざっと読んで、ピンとくる銘柄を効率よく見つけてください。





サイゼリヤ(7581)


「増益予想」であることを根拠に、この企業をざっくり「いい銘柄」として取り上げ、投資水準を探っていきます。この情報は以下のIR情報を基にしています。

2023.8期 2022/9/1~2023/8/31
・有価証券報告書 決算短信 決算説明資料

期中の業績修正等は反映されておらず、リアルタイムの情報ではありません。また、あくまで客観的な参考情報であり投資判断や銘柄推奨ではありません。投資は自己責任で行ってください。内容には十分な注意を払っていますが、誤りが含まれる可能性があり、予告なく変更されることがあります。


Q1 どんな会社?


【概要】低価格でイタリア料理を提供するファミリーレストランチェーンを全国展開。日本国内に加え、オーストラリアやアジアにも進出し、現地法人が独自の戦略で事業を展開する。日本市場での売上が全体の約65.7%、アジア市場が約34.2%を占める構成。

【特徴】強みは「低価格」と「品質の一貫性」。自社での製造から運営までの体制により、コストと品質を徹底管理する。アジア市場での展開を強化し、消費者ニーズに応じたメニュー開発を推進する。


Q2 どんな状況?


【経営環境】慢性的な人手不足、資源価格の高騰、円安の影響。外食産業全体は回復傾向だが、不透明な景気の中で競争が激化する。今後の課題は、利益体質の強化、アジア市場でのビジネスモデル確立、国内での新事業開発。

【取組】環境負荷低減を目指し、食材の計画生産やリサイクル活動を推進。人材多様性の確保と働きやすい環境整備。国内外で店舗数を拡大し、マネジメント水準とメニュー開発の強化に注力。


Q3 業績は?


(単位:億円) 有価証券報告書、決算短信等から作成

2023年8月期実績:増収減益
新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和による客数回復が寄与し、特に日本およびアジア市場で売上高が増加。一方、円安や資源価格の高騰によるコスト増もあり、収益構造のさらなる改善が課題。

2024年8月期予想:増収増益
外食業界が食材および資源価格の高騰や人手不足による人件費の上昇など厳しい状況にある一方で、個人消費の回復が期待され、デジタル化の加速により経営環境が変化すると見込まれる。


Q4 会社はどう見てる?


予想は期初予想の前年実績比 達成度は期初予想の達成率決算短信等から作成

【予想の積極性】今期の売上予想は、例年の予想水準の範囲内。純利益予想は異例値を除くと例年より積極的で、利益成長への期待が見られる。

【予想の信ぴょう性】売上予想は概ね安定して達成しているが、純利益は達成度のばらつきが見られ、予想の信ぴょう性は高いとは言えない

【予想の傾向】会社は売上予想については比較的正確な数値を示す傾向があるが、純利益予想には下振れの傾向が見られる。


Q5 市場はどう見てる?


高値・安値のPERは、各期の高値・安値÷EPSで計算有価証券報告書等から作成

【利益と評価の相関性】EPSが増減してもPERの反応は一定でなく、明確な相関性は見られない。市場は利益成長に対して慎重な評価をしている。

【評価のギャップ】5期前と比較してEPSは概ね変わっていないが、PERには上昇傾向が見られる。市場は利益成長に対して過大評価の傾向がある。

【直近の水準】直近期のPER水準は割高感があるが、5期平均PERの範囲内で、市場の期待が高まっているとは言えない


最後に「買うならどのくらいか」を、ここまでの分析を基に想定します。多くの銘柄を同じ形式で見ていきますので、初期的な分析や投資候補探しに役立ちます。

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Q6 買うならどのくらい?


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