見出し画像

【IR分析 #13】買うならどのくらい?を読み解く "パルグループホールディングス"(2726) 2024.2期

はじめに


有価証券報告書や決算説明資料など、IR情報を読み解くことが、投資成功への近道だと考えています。重要なポイントはほぼ網羅されているからです。ただ専門的で難解で情報量も多いので、要点だけ簡潔にまとめました。

いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益予想などの銘柄に絞って、投資水準を探ります。株価は「利益(EPS)×市場評価(PER)」で決まるため、それぞれの要素を読み解きます。

多くの銘柄についてざっと読んで、ピンとくる銘柄を効率よく見つけてください。





パルグループホールディングス(2726)


「増益予想」であることを根拠に、この企業をざっくり「いい銘柄」として取り上げ、投資水準を探っていきます。この情報は以下のIR情報を基にしています。

2024.2期 2023/3/1~2024/2/29
・有価証券報告書 決算短信 決算説明資料

期中の業績修正等は反映されておらず、リアルタイムの情報ではありません。また、あくまで客観的な参考情報であり投資判断や銘柄推奨ではありません。投資は自己責任で行ってください。内容には十分な注意を払っていますが、誤りが含まれる可能性があり、予告なく変更されることがあります。


Q1 どんな会社?


【概要】 衣料と雑貨の販売を中心とした事業を展開する企業。1973年に株式会社スコッチ洋服店から分離独立し、関連会社設立や吸収合併を経て2016年から現商号。主力の衣料事業と成長著しい雑貨事業を中心に、国内外でブランド展開を続けており、特に「3COINS」や「CIAOPANIC」などのブランドで販売チャネルの拡大を図る。売上構成は、衣料事業が約62.2%、雑貨事業が37.8%で、雑貨部門も急成長。

【特徴】 強みは、ファッショントレンドを迅速に捉え魅力的な商品を消費者に提供する点。また、SNSを活用したプロモーションやEC販売の強化に力を入れ、約1,500万人のフォロワーを持つSNS戦略を通じて、ブランドの認知度を高めている。これにより、実店舗とECの相乗効果を引き出し、ブランド価値を高めている。


Q2 どんな状況?


【環境】 エネルギー価格の高騰や急激な円安の影響で、不透明な状況が続いている。原材料価格の上昇がコストに大きな影響を与えており、安定供給の確保が求めらる。また、気候変動や環境負荷への対応の重要性が増しており、サステナビリティの観点からもさらなる取り組みが期待されている。

【取組】 オンライン販売の強化とSNSを活用したプロモーションを通じて売上を伸ばしている。店舗の大型化や4週間MD(商品計画)サイクルの導入などの効率化施策により、商品ロスを抑えながら粗利率の向上を目指す。中期経営計画ではブランドの独自性を強化する方針で、数値目標としてROE12%の安定達成を掲げる。


Q3 業績は?


(単位:億円) 有価証券報告書、決算短信等から作成

2024年2月期実績:増収増益
衣料と雑貨事業の売上が急回復し、過去最高の売上高を達成。特に衣料事業ではプロパー販売の増加により、利益面でも過去最高を記録している。しかし、円安やコスト高が雑貨事業の利益に影響を与え、下期には厳しい状況が続いた。

2025年2月期予想:増収増益
エネルギーや原材料価格の高騰、円安が引き続き物価上昇に影響を与えているが、インスタグラムをはじめとするSNSでの宣伝活動を強化し、生産ロットの集約や店舗の大型化により、コスト低減とブランド知名度の向上を図る。4週間MDを導入し、予測精度の向上と余剰在庫削減にも注力する。


Q4 会社はどう見てる?


予想は期初予想の前年実績比 達成度は期初予想の達成率決算短信等から作成

【予想の積極性】売上予想+6%、純利益予想+1%は、過去5期の平均と比較すると控えめな水準。特に純利益は慎重な予測であり、外部環境を考慮した保守的な姿勢がうかがえる。

【予想の信ぴょう性】売上予想は直近5期の達成度から信ぴょう性が高いと判断できる。純利益予想も近年の上振れ傾向を踏まえれば、達成の信ぴょう性は高いと考えられる。

【予想の傾向】売上は控えめな予測を設定し、実績で上振れする傾向。純利益も予想は総じて慎重ながら、上振れ傾向が強い


Q5 市場はどう見てる?


高値・安値のPERは、各期の高値・安値÷EPSで計算有価証券報告書等から作成

【評価の傾向】EPSの増加に伴いPERが緩やかに調整されており、一定の相関が見られる。市場は成長合わせて慎重に期待を反映している。

【評価のギャップ】5期前と比較するとEPSは大幅に増加しているが、PERは比較的控えめにとどまっている。市場の評価はやや過小評価から適切な水準に移行しつつある。

【直近の評価】直近のPER15.4に割高感はない。5期平均と比較するとやや高めで、成長に対する市場の期待が穏やかに高まっている


最後に「買うならどのくらいか」を、ここまでの分析を基に想定します。多くの銘柄を同じ形式で見ていきますので、初期的な分析や投資候補探しに役立ちます。

ここから先は有料ですが、低コスト(1記事200円)でご提供しています。読み放題のメンバーシップ(月590円)の初月無料でまずお試し下さい


Q6 買うならどのくらい?


ここから先は

595字
この記事のみ ¥ 200

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?