
【IR分析 #128】 大東建託(1878)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える
本記事は、株式投資で成功するために「いい銘柄を、安いときに買う」ことを目的としたものです。
増益傾向など、興味を持つに値する企業を「いい銘柄」としてピックアップし、IR情報(※)から、「どんな会社で何がいいのか」、「買うならどのくらいか」を読み解きます。IR情報は、企業自身が投資家向けに開示する事実情報として有益ですが、専門的で量も多いので、要点だけ簡潔にまとめました。
無料部分だけでも投資候補探しに役立ちますが、有料部分では割安と判断する目安がわかるので、「安いときに買う」準備ができます。また読み放題のメンバーシップなら、同じ形式で多くの銘柄を時短でチェックできて、情報収集の手間と負担を軽減できます。まずは初月無料でお試しください。
私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。
2024.3期 (2023/4/1~2024/3/31)
Q1 どんな会社?

賃貸住宅の建設・管理を一貫して行い、日本トップクラスの管理戸数を誇る。賃貸経営受託システムにより、土地オーナーの収益を安定化し、空室リスクを軽減。売上の約90%を不動産事業が占め、一括借上が主軸。建設・金融事業も展開し、BIM技術や省エネ賃貸住宅の開発を推進。DXを活用し、業務効率化や新規事業の拡大を進める。
Q2 どんな状況?
金融政策の変化や資材高騰、人手不足が課題。新設住宅着工戸数は減少し、賃貸市場の供給過多が競争を激化。環境規制の強化や人口減少も業界の成長を鈍化させる要因。大東建託はコスト抑制や新規事業の開発、環境対応住宅の普及を推進。BtoB強化やDX活用、金融・エネルギー事業の拡大を通じ、収益基盤を強化する方針。
Q3 業績は?

2024年3月期実績:増収増益
賃貸管理事業の安定成長が利益を支え、建設事業の受注増が業績を押し上げた。不動産仲介や家賃保証事業の収益も拡大し、全体としてバランスの取れた成長が見られた。一方で、建設資材の高騰や人件費の増加によるコスト上昇が課題。
2025年3月期予想:増収増益
賃貸管理事業の安定成長と建設事業の受注増加が業績を押し上げる見込み。不動産事業では一括借上の拡大により家賃収入が増え、収益の安定性が確保される。業務効率化や環境対応型賃貸住宅の開発も成長を支える要因となる。一方、建設資材の価格変動や人手不足が課題。
ここから先は、「株価は利益(EPS)×市場評価(PER)で決まる」という前提に基づいて、各要素を分析します。
Q4では、会社の利益予想の積極性と信ぴょう性を検証し、利益の要素を分析します。
Q5では、市場が会社予想をどう評価しているかを分析し、市場評価の妥当性を判断します。
Q6では、2つの要素の分析から、投資を検討する際の期待とリスクを整理します。
Q7では、過去の市場評価から割安な水準を特定し、「買うならどのくらい?」を考えます。
Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比:+5%
異例値を除く過去5期の予想範囲(+3%~+5%)の上限に位置し、やや積極的な水準といえる。過去5期の達成度は平均100.2%で、信ぴょう性は高いと評価できる。一方、達成度は安定して100%以上で推移しており、若干の上振れ傾向が見られるため、会社予想は現実的だがやや控えめな傾向があると考えられる。
純利益予想の前年実績比:+2%
異例値を除く過去5期の予想範囲(+0%~+4%)の中央値に位置し、現実的な水準といえる。達成度の平均値は104.2%で、信ぴょう性は高いと評価できる。過去の達成度では上振れ傾向が継続しているため、会社予想はやや控えめな傾向があると考えられる。
Q5 市場の評価は?

EPSとPERの相関性
EPSが変動してもPERが必ずしも連動していないことから、明確な相関性は見られない。市場が利益の一時的な落ち込みを織り込んで先行的に評価している可能性がある。また、5期前と比較してEPSは減少したがPERは上昇しており、市場が利益成長をやや過大評価している可能性が考えられる。
直近の市場評価の傾向
直近期末のPERは15.7倍で明確な割高感はない。ただし、過去5期の高値PERの範囲の上限に近づいていることから、市場の成長期待が徐々に高まっている可能性が考えられる。
Q6 リスクをどう見る?
期待される要素
利益予想の達成度が安定しており、上振れの可能性が期待できる。また、直近のPERは過去の高値水準に近づいており、市場の成長期待が高まっている。さらに、業績の安定性から市場評価が継続的に向上する可能性がある。
リスクとなる要素
一方で、EPSの伸びに対してPERが上昇しており、市場が利益成長を過大評価している可能性がある。さらに、外部環境の影響が業績を圧迫するリスクがあり、市場の期待が調整される可能性にも注意が必要である。
最後に「買うならどのくらい?」を検討します。
過去の市場評価から、相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示します。
これにより現在の株価位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。
この先は有料で、この記事単品でも低価格でお求めいただけますが、せっかくご興味をお持ちいただけたなら、この記事を含むすべての分析記事が読み放題のメンバーシップ(初月無料)が断然お得です。
メンバーシップに加入すると、
・多くの銘柄を同じ形式で比較し、
・時短で効率的に情報収集ができて、
・銘柄探しの手間と調べる負担を軽減
できます。記事は高頻度で投稿予定で、今後は銘柄選定のヒントとなるメンバー限定記事もご提供していきます。
月額590円(1日約20円)で、3記事以上読むならメンバーシップがお得です。
まずは初月無料でお試しいただき、合理的な分析と効率的な投資候補探しをご体感ください。
Q7 買うならどのくらい?
過去の市場評価の範囲を基に、相対的に低い水準を特定することで、投資を検討する際の有用な目安が得られる。具体的には、直近5期の安値PERの平均から高値PERの平均をこの企業の概ねの評価レンジとし、その中間以下を「概ね安い水準」とみなすと以下のようになる。
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?