Weeds短編 〜ワラビ採り〜(2)
「ワラビ採り!いいですね!私達も行っていいですか?」
「もちろんでぇす。お手伝いお願いしますねぇ。」
私と菊子さんのトントン拍子な会話についていけてなかった葵ちゃんが
「あ、えっと...?」
戸惑いを隠せない声を出したところに
「ついでに図鑑のページ作りやるよ!葵ちゃんはそっちの準備お願い!」
と声をかけると、葵ちゃんもやっと立ち上がってくれた。私達3人はそれぞれ準備に取り掛かり、「weeds」はにわかに慌ただしい雰囲気に包まれた。
菊子さんの案内で、ワラビが生える場所に向かう道すがら。菊子さんは私達(特に山菜採りが初めての葵ちゃん)に注意事項を教えてくれる。
「あそこは急斜面でぇす。そこまで高さはないですがぁ、一応落ちないように気をつけてくださぁい。あとぉ、軍手は絶対に外さないでくださいねぇ。」
菊子さんはいきなりおどけて気味の悪い表情を作って見せた 。そして、怪談話をする時みたいに声を低くする。
「こんな話がありまぁす。ある女の子がワラビ採りをしていましたぁ。女の子がワラビの茎を素手で折っているとぉ、いつからか濡れたような感触がぁ。ふと自分の手を見てみるとぉ、血がべったり付いていてぇ、今まで採ったワラビの茎が血まみれにぃ......!」
「ひっ!」
悲鳴を上げる葵ちゃんに、私は菊子さんと顔を見合わせて苦笑い。
「その子はきっと、いつの間にか草で手を切ってたんだね。私も小さい頃にそうやって脚を怪我したことがあるよ。」
「こんなことにならないようにぃ、軍手は絶対に外さないでくださいねぇ。」
「わかったわ。」
葵ちゃんは素直に返事をした。
「見えてきましたぁ。あそこでぇす。」