Weeds
第十話
出会い(ドクダミ) 後編
女の人はあのキョーレツなにおいを出すモノを片付けると、エプロン・マスク・ゴーグルを外して私と葵ちゃんを迎え入れてくれる。3人とも、店のイスに腰を落ち着けた。
「改めましてぇ、いらっしゃいませぇ。ようこそぉ、野草の野草のみせウィーズへぇ。わたしはぁ、店主の東菊子でぇす。」
ほんわかした笑顔、のんびりとした喋り方。一緒にいるだけで癒やされる感じの人だ。白いブラウスに藤色のロングスカートという上品な服装がよく似合っている。ただし、ブラウスはくたくた、スカートはしわくちゃ。店はあまり稼ぎになっていなさそうだし、アイロンを買うお金がないのかも。この店もそう。とにかく変わってて、ギャップがすごくて...不思議な人だ。
「...さっきのは何だったんですか。」
不機嫌そうな顔で、葵ちゃんが聞いた。
「あぁ、さっきはぁ、ドクダミの煎じ薬を作っていたんでぇす。」
いやいや!
「ドクダミなのはわかりましたが、どうやったらあんなにキョーレツなにおいになるんですか!?」
私のセリフに、葵ちゃんもコクコク頷く。
「ふふっ、わたしのお薬はぁ、においはちょぉっときついですけどぉ、とぉってもよく効くんですよぉ。」
菊子さんはほわほわと笑うけど、全然答えになってない!!
「ちょっとって。店の外にまでひどいにおいが充満してましたよ。近所迷惑です!」
葵ちゃんが呆れたように声を尖らす。すると、菊子さんは急にがっかりとした表情になった。
「あぁ...あなた達もぉ............ですかぁ...」
「え?」
「いいえぇ。何でもありませぇん。」
そう言って、寂しそうに笑ったんだ。