Weeds
第九話
出会い(ドクダミ) 前編
うぅ。一歩進むたびに悪臭が濃くなっていく気がする。お腹の底がゾワゾワするよぉ!なにこれぇ!?何度引き返そうかと思ったけど、重い足を引きずってなんとか店の前に立つ。店と言っても、粗末なアパートの一室を間借りしただけという印象の、小さな店だ。「野草のみせ weeds」という看板がかかっているけど(たぶん)英語の店名と質素な外装が釣り合ってない。ドアには「open」のプレートがさがっているけど、開店している時にこんな悪臭を垂れ流すなんて、おかしいでしょ!?とりあえず、ドアにすがりついて開け放つ。その途端、今までより更に濃密な悪臭がむわっと溢れ出てきた。
「ぐ、うえっ。ぐほ」
もう、本当に何なの!?むせながらも店に一歩踏み込み、
「すみませぇん!」
叫んだ拍子に息を思いっきり吸い込んでしまい、今度こそ意識が飛びそうになる。それでもぐっとこらえて立っていると、
「はぁい、いらっしゃいませぇ。」
くぐもった声とともに生成色のエプロンを着けてマスクとゴーグルで完全防備の女の人が出てきた。