Weeds
第十五話
戻った日常
数日後。今日も私達は、「野草のみせweeds」で図鑑作りを進めている。
「ドクダミの写真、どれを使おうかしら。」
「う〜ん、そうだねえ。これがいいんじゃないかなっ?」
「わかったわ。それにしましょ。それにしても、これの撮影は大変だったわ。菊子さんの薬ほどではないけど、ドクダミって本当に嫌な香りがするのね。服に移らないかひやひやしたわよ。もう二度とあんなことはしたくないわ。」
「ふふっ、お疲れ様!」
「蓬ちゃぁん、ごきげんですねぇ。」
「うふふ、わかります?今日東さんが、体育のペア、私と組んでくれたんですよ。いつも私のペアの人は、余り者同士しぶしぶといった感じだったので、嬉しくて。」
「ふ〜ん。」
「よかったですねぇ。わたしのめいっ子と仲良くしてくれてぇ、ありがとうございまぁす。」
「お礼を言うのは私の方ですよ。菊子さんに出会えて本当に良かったです。私と東さんを結びつけてくれて、ありがとうございます。」
「わたしは何もしてませんよぉ。ふふふ。でも、照れちゃいますねぇ。お礼を言うのはしょっちゅうですけどぉ、言われるのは久しぶりでぇす。ほらぁ、葵ちゃんもぉ。蓬ちゃんに新しいお友達ができたことを喜んであげてくださぁい。」
「イヤよ。」
「やきもちですかぁ。かわいいですねぇ。...あぁ、そうでしたぁ。ドクダミのお薬を取ってきまぁす。」
葵ちゃんに睨まれた菊子さんが、そそくさと店の奥に引っ込んで行く。それを見送り、私は居ずまいを正した。
「葵ちゃんも。この前はありがとう、守ってくれて。嬉しかった。」
「守ったって。大げさね。友達だから当然でしょ。」
葵ちゃんは横を向いて顔を隠すけど、耳が赤く染まってる。照れてるのがバレバレだ。面白くなってその耳たぶをちょんちょんつつくと、
「ひゃあっ!やめなさいよ!」
葵ちゃんは慌てた声を出した。ふふっ!友達とじゃれ合うのって、新鮮で楽しいな。
「本当にかっこよかったよ。特に、東さんにお説教したところ。私じゃ言えないことを全部言ってくれたから。本当にありがとう!」
「そう思ってくれたなら良かったわ。初対面の人にお説教なんて、とんでもないことだもの。むしろ、あんなところを見せて悪かったわね。」
「そんなことないよ。」
「私はただイラついただけ。周りの圧力に負けて正しいことをできない人とか、他人に必要以上にへりくだる人とかが、大嫌いなの。まあ、そんな人にあなたが傷つけられてるのが許せなかったということもあるけど...」
葵ちゃんはぼそぼそと早口で喋ってる。その時。