主治医の顔色が気になるのは、恋と似ている?!
今回の外来診察、主治医はいつになく余裕がなさそうな様子だった。病棟で急患でも出たのか首元に汗をびっしょりかいて、早口で…。
主治医は病棟と外来の両方を担当していて、呼吸器内科でも責任ある立場にいる。人間だから、調子のいい時も悪い時もあるだろう。
私自身医療職の端くれでもあったので、勤務医がどれだけ過酷な業務をこなしているかは理解しているつもりだ。
今までも風邪だ何だと色んな医者に診てもらってきたが、どの科でも「〇〇先生でなくちゃ」的なこだわりはなかった。
どの医者でもそれなりの薬を出してもらえればいいや、という期待値の低さもあったのだと思う。
だが、今は違う。
主治医とのやり取り(もちろん各種検査結果も考慮されるが)は治療方針を決めていく重要なプロセスであるし、治療内容によって私の生活も左右される。
もっと端的に言うと私があとどれくらい生きられるかが掛かっている。
私はがんが判明した時点で頚椎と腰椎に転移があった。当初から治療目標は『治癒』ではなく『延命』だ。
『延命』はどれくらい望めるのか、はたまたがんが消えてる‼️なんてミラクルは起こり得るのか?
診察室に入った瞬間、主治医の表情や雰囲気に神経を研ぎ澄ましてしまう。
私の職業柄もあるかもしれないが…。
この緊張感、中高生の時に部活の先輩にときめいていた気分にも似ている。
先輩(主治医)の一挙手一投足に集中。笑顔だったら、順調なんだな、って嬉しくなるし、冴えない表情なら、あれ?この先どうなるかな、と心配になる。
患者の心のうちはなかなか忙しい。
医者をはじめとした医療者は、医療というサービスの提供者という側面はあるものの、患者との関係は『闘病を登山に例えるとシェルパと登山者みたいな関係』。
これは主治医が言ってくれたことの受け売りであるが、言い得て妙だなぁと。
医療者は水先案内人にはなれるけど、山登りを続けるか諦めるか、決めるのは私。
長く登山を続けていくためにはシェルパにもいいコンディションでいてもらわなくちゃ。
と思ったら、夫が病院あてにお世辞にも上手とは言えない字で礼状を書いていた。
「妻(私のこと)の病気がわかった時は、何を食べても味がしなかったが、ようやく一年、何とか迎えることができました。病院の皆様のおかげです」と。
ナイス夫‼️
♪叩くよりたたえ合おう〜、というACジャパンのコマーシャルがあったが、お互いのリスペクトって絶対に必要だし、それを伝え合うことでよりチカラが出る、はずだ。