うちのヤギさん②水君(その1)
2024年、今年の夏は殊の外暑く、人間にとってもヤギ達にとっても大変な夏でした。ヤギーズ、暑さでぐったりしてしまうのでは、と毎日とても心配でしたが。意外なことに結構元気だったのです。
春に、小屋を大きく新設してもらったのですが、その小屋が大変風通しがよく心地よい。私もお昼休みは暑いながらもヤギ達と一緒に小屋で過ごしました。ヤギ小屋がある位置は、ちょうど北からの風が山を通って吹いてくれます。おかげで熱風が来ることはなく、なんとかやり過ごせたのかなと思っています。
今日は水君の事を。
水君は2016年生まれ。何月何日に生まれたかは不明です。お誕生日を祝ってやれないのが少し寂しいのですが、今年で8歳。ヤギさんの老化が表れてくる年齢に差し掛かりました。
水君は、海と凪のママの山ちゃんと兄弟。海と凪にとってはおじさんにあたります。そのせいか、海も凪も水君の傍にいるのが大好き。
山ちゃんと同じような匂いがしたりするのかな。
水君はとても大きい。
きっと立ち上がったら2メートル位あるんじゃないかな。体重も多分80キロ以上ありそう。とても大きいけれど、とても優しくて賢い。
いつも穏やかさんで、眠っているときの顔なんて仏さんのようなんです。
そんな水君が、海も凪も、私も大好き。
そんな穏やかな水君ですが、2年前の秋位から左目の下に小さな黒い痕跡が見れるようになりました。日がたつと少しずつ大きくなり、最初はメバチコかな?と気にしていませんでした。
月に一度の予防注射に来ていただくようになったのもこの頃で、お医者様にも軽い気持ちで話し、お医者様もそんなに大したことでは無いだろうと仰っていました。
ところが、その黒い痕跡は少しずつ大きくなり、イチゴ大の瘡蓋のようになってきたのです。水君にとっても左の視界を遮られることが不快だったのか、後ろ足で掻いてしまいその瘡蓋が取れて流血、驚くこともが繰り返されるようになりました。
※実際の画像があります。苦手な方はすみません。
これはおかしい、とお医者様にも相談し、抗生物質の入った目薬を受け取り点眼する…ところが…点眼…
させてくれない
ヤギの視野の広さに驚かされると共に、点眼することに水君が恐怖を感じるようになってしまいました。先端恐怖症というものが人間にもありますが、きっと動物も同じなのでしょう。
なので、コップに生理食塩水に溶かしたホウ酸水を作ってバシャっと目に掛ける、や、スポイトで垂らす、や、注射器で飛ばして命中させる(命中率低し)あらゆる方法で点眼を試みてみましたが…
動物の勘の良さと身体能力にかなうはずもなく、ましてや巨体の水君を押さえつけるなんて誰にもできなくて…
水君が私たちを怖がって甘えたくても甘えられない、というストレスも持っているようなジレンマに陥っていました。
これはかえって水君にとって良くないのでは?
そう思い、一度点眼を辞めることにしました。
そして、その瘡蓋を外科手術で取って頂く事にしました。
切除して投薬すれば、もう再発することはないのではと考えたからです。
※この手術に関してもヤギさんの特性に関して後述したい事がたくさんあるのでまた改めたいと思います。
今年の4月15日、水君の手術は実施されました。
大きな身体に麻酔を打って、数秒後にはふらふらと崩れ落ちるように横たわった水君の体の大きさに改めて驚きました。そして、こんなこと2度としたくないなと思いました。
けれど、出来た瘡蓋はイチゴ位の大きさになり、目ヤニもたくさん出ていたのでかなり視野を塞いでいたと思います。その様子がかわいそうに思えたのですが、お医者様は「動物は眼だけで物を見ているわけじゃないからね」と仰って下さって…人間よりはるかに五感を働かせているのだと実感し、ほっとした気持ちにもなりました。
水君の眼に電気メスが入れられ、大きく瘡蓋を切除して頂きました。
麻酔が切れた時に独りぼっちでは不安だろうと、カメラを設置していつでもそばに行けるよう待機していました。お医者様が仰っていた通り、6時間で麻酔が切れ、ふらふらと不安げに立ち上がっていました。
車で数分の所にいたので、すぐに駆け付け声をかけ、チモシーを傍に持って行くと元気に食べてくれました。
人間と同じで、気分が悪くなっていたりすると吐いたりするのではという心配をしましたが、思った以上に元気で1時間もするとしっかり歩けるようになっていました。
切除の傷のある目元は痛々しくて。でも、水君の元の優しいお顔に戻してあげられたらと(これは人間の勝手な願いです)願って…
術後、2,3日は他のヤギ達と室内で隔離して下さいとの指示だったので通路を挟んで他のヤギ達と隔離しました。念のため、切除した部位の組織検査をして頂く事にしました。
数日後、出てきた検査結果は、悪性の「扁平上皮癌」でした。
…ショックで言葉が見つからなかった。
(その2へ続きます)