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好きのおすそ分けが、日常を少し豊かにしてくれた

初めて自宅でハンドドリップの珈琲を淹れたよ。
柔らかくて、ほんのり甘くて、想像よりずっと美味しかった。


ハンドドリップに興味がありながらも、器具とか高そうだしな~カフェで働いたこともないしな~と、「興味はあるけど、敷居の高いものリスト」にそっと置き続けていた。

そんな私が、ジュリと出会って話をしたのをきっかけに、自宅でハンドドリップをする日を迎えることができたのだ。


ジュリは、珈琲が好きで、自分で焙煎まで始めて、コルクラボ内で「喫茶部」という部活を立ち上げて、去年のコルクラボ文化祭では、初めて自分で焙煎した豆を使った珈琲を振る舞った人。

私はふと、焙煎まで始めちゃうほど珈琲にのめり込んだジュリと話してみたくなって、去年の年末、喫茶店トークを申し込んだ。

”珈琲が好きな人はこだわりのくせが強い”というイメージを勝手にいだいていたのだけど、ジュリはちょっと違った。

豆の煎り具合とか豆の種類とか、淹れ方とかについて、あれこれあるのかと思っていたけど、

新宿の喫茶店でジュリは、ただ、珈琲を飲んでいた。

ジュリは、焙煎を始めてまだ一年もたっていないし、珈琲を飲むことも数年前から好きになったくらいだから、全然語れるほどではないと言う。

だからなのか、珈琲のことを話していても距離が近くて、珈琲を楽しむって奥も深いけど、難しく考えなくていいんだなって思えた。


珈琲にこだわっているお店はたくさんある。
美味しい珈琲を知るには、そうしたお店に行ってみるのがいいのだけど、
”自分のこだわりを知ってほしい”という圧の強さを感じることがあって、居心地が良いお店ばかりでもない。

味の違いの的確な表現はできないけど、美味しいと言われるお店で飲んでみたいくらいの珈琲好きには、強い圧は落ち着かない。
(珈琲一杯4桁になると、圧が増す気がする…)

圧を想像すると、いつもの気軽なカフェでいつも珈琲を…となってしまうこともある。

そんなことを考えていたら、
ジュリは、いくつもある珈琲の楽しみ方の入口を、一緒に開けてくれる人なんじゃないかなぁと思った。

実際ジュリは、みんなに美味しい珈琲を飲んで、珈琲を楽しむ機会をつくってくれている。

ジュリ自身はこだわって豆を選んで、焙煎をして準備をしてくれるけど、そのこだわりを前面に出さず、「珈琲どうぞ」と差し出してくれる。

普段から丁度いい温度で自分の好きをおすそ分けしている人なんだなぁって思った。

すごく素敵なおすそ分けだよね。


ハンドドリップのお湯の注ぎ方には、ある程度の慣れは必要みたいだけど、改まって凄い道具をそろえる必要はなく、コーヒーサーバーは1000円くらいで買えるし、お湯を注ぐケトルもティーポットでだって代用してもOK(ジュリは最初そうだったらしい)ってことも聞いた。

道具を揃える過程も楽しみつつ、まずは一杯、自分のために珈琲をゆっくり淹れてみたいと思った。


―――――そんなジュリとの会話から1カ月。

今日、私は自分のために、ゆっくり珈琲を淹れて
豊かな時間を過ごすことができたよ。

誰かの好きが、自分を少し豊かにしてくるって、とっても素敵だね。


好きのおすそ分けをもらって、日常を少し豊かに感じたお話しでした。





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まろん
ありがとうございます。ロックンロールと生クリームとマンガと物語に使いながら、自分の中のことばを探っていきまます。