
血液ガスの読み方⓪基本①代謝性アシドーシス
今回は血液ガスの読み方について増井 伸高先生の名著『POCTハンター』を
参考に頭の中を整理しながら綴ります。
参考文献
:増井 伸高(2024年)『POCTハンター血ガス・電解質・Cr・hCG
×非専門医』中外医学社
増井先生の書籍は心電図ハンター、骨折ハンターなど名著揃いですので
今回の記事をご覧いただき気になった方は是非手に取ってみてください。
目次
1.はじめに
国家試験の勉強では血液ガスをフローチャート的に読むだけで、優先順位は学べません。これでは患者さんを前にして動けないと思いました。そこで増井先生の本を読み臨床での読み方について勉強し共有させて頂ければと考えアウトプットとして記事を書いています。医学生の仲間やコメディカルの学生さん、そして医療界の先輩の方々、温かい目でご覧ください。
2.血液ガス 基本の見方
正常値
・pH7.35-7.45 7.35未満→アシデミア 7.45超→アルカレミア
pHの絶対値が酸性寄りをアシデミア、アルカリ性寄りをアルカレミアと言いう。
・pCO₂約40Torr
40Torr未満→呼吸性アルカローシス
40Torr超→呼吸性アシドーシス
・HCO₃⁻約24mEq/L
24mEq/L未満→代謝性アシドーシス
24mEq/L超→代謝性アルカローシス
呼吸によってアシデミアに向かう変化を起こしているものを呼吸性アシドーシスその逆を呼吸性アルカローシスと言う。 例えるならば『湿度100%の時の加湿器(変化を起こしているもの)は アシドーシスやアルカローシス、湿度100%(絶対値)はアシデミアやアルカレミアになる。』
判断方法
pHアシデミア(7.35未満):
呼吸性アシドーシスor代謝性アシドーシス
pCO₂≻40Torrなら呼吸性、HCO₃⁻<24mEq/Lなら代謝性
pHアルカレミア(7.45超):
呼吸性アルカローシスor代謝性アルカローシス
pCO₂<40Torrなら呼吸性、HCO₃⁻>24mEq/Lなら代謝性
代償
呼吸性の変化は代謝性で、代謝性の変化は呼吸性で代償される。
例えば代謝性アシドーシスは呼吸でアルカローシスの方向へもっていくことで代償しようとする。逆に呼吸性アシドーシスは代謝性にアルカローシスへ傾けることで代償される。
その際に『代償OK』という範囲は以下の式で求められる。
①代謝性アシドーシス・代謝性アルカローシス
代償後pCO₂=実測HCO₃⁻+15 (+16でもOK)
例)代謝性アシドーシス(HCO₃⁻<24mEq/L)の場合HCO₃⁻=15mEq/Lならば予測pCO₂15+15=30Torr(実測pCO₂が30Torrなら『代償OK』ということになる。)もしこの時実測pCO₂=35TorrであればpCO₂を+5(アシドーシス)する変化が存在する→呼吸性アシドーシスの合併を疑う。
②呼吸性アシドーシス(pCO₂>40Torr)の場合
代償後HCO₃⁻=24+0.1×ΔpCO₂(急性)
HCO₃⁻=24+0.4×ΔpCO₂(慢性)
例)急性呼吸性アシドーシス pCO₂=60Torrの場合ΔpCO₂=60-40(pCO₂の正常値)=20Torrなので代償後HCO₃⁻=24+0.1×20=26mEq/L(実測HCO₃⁻=26なら『代償OK』)
※Δ=正常値からの差
③呼吸性アルカローシス(pCO₂<40Torr)の場合
代償後HCO₃⁻=24‐0.2×ΔpCO₂(急性)
HCO₃⁻=24‐0.5×ΔpCO₂(慢性)
例)急性呼吸性アルカローシス pCO₂=30Torrの場合ΔpCO₂=40(pCO₂の正常値)-30=10Torrなので代償後HCO3⁻=24‐0.2×10=22mEq/L(実測HCO₃⁻=22なら『代償OK』)
代謝性なら15を足すだけ。
一方で呼吸性は覚えることが少し多め。次のゴロで。
呼吸性アシドーシス≒呼吸性焦るドーシス→『いよいよ焦る』アシドーシスなら係数は『いよいよ=1と4』。
呼吸性アルカローシス≒呼吸性歩くローシス→『にこにこ歩く』アルカローシスなら係数は『にこにこ=2と5』。
次からは各論に移りたいと思います。
3.代謝性アシドーシス(HCO₃⁻<24mEq/L)
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