随筆: ハロウィンの日に「お接待」や盆踊りをしたら!
1 ハロウィンのお知らせ
今から10年ほど前、私は山口県の小さな町のある職員住宅に住んでいた。ある日、掲示板に「今年から子どもたちのためにハロウィンをしたいと思います。子どもたちがお菓子をもらいにお宅に伺います。協力できる方はお知らせください」との趣旨の張り紙を見た。
「とうとう地方の小さな町までハロウィンが来たんだな」と思った。日本でも都会では随分前からハロウィンを祝い、派手な化粧をし、思い思いの奇抜な衣装を身に着けた若者が通りを練り歩く姿は、すっかりおなじみになっている。かつて学校の運動会でよく見た仮装行列のノリである。
2 子どもには「お接待」
私の妻は子どもにお菓子をあげる時、子どもたちが「Trick or treat」(お菓子をくれないと、いたずらするぞ)という文句が嫌いである。「まるで、大人を脅しているように思える」と言うのである。子どもがお菓子を貰うのであれば、私が今住む小さな町では「お接待」という伝統行事がある。
「お接待」とは、5月の初め頃、子ども達が各町内の地蔵めぐりをして、この日のためにお供えしてあるお菓子をおすそ分けしてもらうのである。各地蔵には町内の役員の方がおられて、子ども達がきちんと手を合わせてお祈りすると、「ご苦労さま。このお菓子をどうぞ」と言って渡してくれる。私はこの光景がほほえましく思えて好きである。
「お接待」のような行事は各地方にあるだろうと想像するのだが、ネットで調べると四国では、「お接待」とは88ケ所の寺をめぐる巡礼の旅をしている人に、「ご苦労様」と言って振る舞うお茶やお菓子のこと言うようである。こちらも心温まる話である。
3 ハロウィンの日に「お接待」や盆踊りを!
ネットの百科事典「ウィキペディア」に依れば、ハロウィンとは「ケルト人が起源とする祭りである。10月31日は死者の魂が訪ねて来るため、死者の機嫌をそこねないように食べ物や飲み物を用意しておく伝統から来ている」との趣旨が述べてある。これは、日本のお盆と同じ発想である。お盆になると、日本では墓参りをし、盆踊りをして死者の霊を迎える。
以上から、ハロウィンの日には、子どもには「お接待」を行ってお菓子を分け与え、若者はハローウィンに奇抜な格好をするなら、その格好で季節外れの盆踊りを全国の都市で行い、死者の霊を慰めたら良いのではないかと思う。
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