随筆: 「ミカン狩り」と「紅葉狩り」の違いは?
1. どうして「紅葉狩り」と言うのだろう?
11月の下旬、友人から、「(広島県の)宮島まで紅葉狩りに行ってきました」と、写真が付添付されたメールが届きました。写真を見ると、あの有名な大きな鳥居の姿が、真っ青な空を背景にして映っていました。
その時ふと、「紅葉狩り」って、「ミカン狩り」や「リンゴ狩り」のように、実際にミカンやリンゴを手に取るように、紅葉を取るわけでもないのに、どうして「狩り」という言葉を使うのだろうと思いました。
ひょっとして、美しい紅葉した葉っぱを取って集めることを言うのだろうか、それとも「狩り」という言葉の意味が拡張して、比喩的な言葉として使われているのだろうかと想像しました。
2. 「紅葉狩り」という表現の由来
さっそくネットで調べてみました。調べている内に「なる程、そうなのか」と思う記事を見つけました。(下記に引用します。)
「平安時代の頃の貴族は、歩くのは品がないと見なしていました。そのため牛車で出かけることが多かったのですが、牛車で山の中を進むのは困難です。
そこで、山へ紅葉を鑑賞しに行くときは歩いていましたが、品がないとされる歩くという行為ではなく、狩りに見立てて、紅葉狩りと呼んだという説があります。」(以上が引用です。)
この私の疑問は、NHKの「チコちゃんに叱られる」という番組の「チコちゃん」が好きそうな質問だなと思いました。調べてみると、2021年11月6日の放送で取り上げてあることが分かりました。それによれば、ほぼ上記に引用したものと同様な趣旨の説明がされていました。
3. 「狩り」と言えば、ボーイハント(boy-hunt), ガールハント(girl-hunt)のhuntは?
辞書で調べてみると、この2つの言葉(boy-hunt, girl-hunt)は和製英語であるとのことです。手持ちの国語辞典には、この2つは和製英語として載っていますが、手持ちの英和辞典には項目すら載っていません。このhuntが付く言葉として英和辞典に載っているのは、foxhunt(動詞で「キツネ狩りをする」)のように文字通り「狩り」をする意味であります。
比喩的なhuntの用法には、job-hunt(動詞で「職探しする」)や、bargain-hunt(動詞で「特売品あさりをする」)などが載っています。また、人間に関しては、manhunt(名詞で「犯人追跡」)という言葉が英和辞典に載っています。
英語の母語話者(native speaker)が、boy-hunt, girl-huntという言葉を聞いたら、どんな意味に解釈するのでしょうか。
また、boy-hunt, girl-huntを「少年狩り」「少女狩り」と表記すると、なんだか猟奇的な印象がして、私はもうこれ以上は述べることは遠慮します。
4. まとめ
「紅葉狩り」という言葉は、「狩り」という言葉の意味が拡張して、比喩的な意味で使われているのかと思ったら、平安貴族の生活上の事情や美的感覚から由来していることが分かりました。当たり前の結論ですが、言葉にはその背後に、それぞれ歴史があるんだなと改めて思いました。
5. 参考資料
引用したのは下記のHPより
「紅葉狩り(もみじがり)とは?なぜ「狩り」というのか?その意味や由来を解説」
https://magazine.tr.mufg.jp/90872#:~:text=%E5%B9%B3%E5%AE%89%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E9%A0%83%E3%81%AE,%E3%81%A0%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E8%AA%AC%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
NHK「チコちゃんに叱られる」 2021年11月6日放送
https://xn--h9jua5ezakf0c3qner030b.com/16872.html