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名刺代わりの小説10選

note始めたら書きたいなと思っていたテーマで、早速書いてみます。


メアリー・ホープ・オズボーン『マジック・ツリーハウス』シリーズ

マジック・ツリーハウス 第1巻恐竜の谷の大冒険 (マジック・ツリーハウス 1) | メアリー・ポープ・オズボーン, 食野 雅子 |本 | 通販 | Amazon

Amazonで検索して、思わず「懐かしい~」と口に出してしまいました。
私が小学生の頃にスタートしたシリーズ。
新刊が出る度に読んでいましたが、今でも多くの人に愛されている作品なのですね。
嬉しいです。
読書が知の冒険であることを、やさしく、わくわくするような物語で教えてくれた作品です。

フランシス・ホジソン・バーネット『小公女』

Amazon.co.jp: 小公女 (ポプラポケット文庫 405-2) : バーネット, 秋川 久美子, 横山 ひろあき: 本

こちらも、小学校高学年くらいに出会った作品。
辛く悲しい現実に直面しても他者への心配りや気高さを保ち続けるセアラに、憧れを抱いていました。
大人になった今でも、お手本のような存在です。
自分のあり方を見直すために、定期的に読み直したい本です。

ミヒャエル・エンデ『モモ』

モモ (岩波少年文庫(127)) | ミヒャエル・エンデ, ミヒャエル・エンデ, 大島 かおり |本 | 通販 | Amazon

「限りある時間をどう生きるか」「豊かさとは何か」を問いかける、かけがえのない作品です。
お好きな方も多いのではないでしょうか。
子ども向けだからと安易な主題にせず、一生涯考え続けるべき問いを与えてくれるエンデ。
子どもながら、「この作者は信頼できる大人だな」と思った記憶があります。笑
もちろんメインの物語も大好きなのですが、その間に挟まれる小話も素敵。
ジジがモモのためだけに聞かせた、ロマンチックな物語とか。

夏目漱石『こころ』

こゝろ (角川文庫 な 1-10) | 夏目 漱石 |本 | 通販 | Amazon

高校生になるタイミングで初めて読みました。
高校の先輩でもある父に、「うちの高校はみんな入学するときにこれを読むんだ」と勧められたのがきっかけです(本当にみんな読んでいるのかは謎)。
この作品を通じて、人の内面がいかに捉えどころがないか、思い知らされたように思います。
他者が何を抱えて生きているか、手に取るように理解することはできないのだな、と。
当時は「入学前の晴れやかな気持ちのときに、なぜお父さんはこんなに苦しい結末の本を勧めるの…?」と思ったものでした。
しかし、義務教育を終え、様々な人との関わりが増える時期だからこそ、読むべき作品だったのかもしれません。

司馬遼太郎『燃えよ剣』

Amazon.co.jp: 燃えよ剣 全2巻 完結セット (新潮文庫) : 遼太郎, 司馬: 本

いやー、燃えよ剣には本当に泣かされました。
遠くの存在だと思っていた歴史上の人物がこれほど生き生きと描かれているのですから、登場人物たちに感情移入してしまうのも当然です。
短期間に四周くらい読み、隊士たちの台詞を暗記してしまいました。笑
隊士たちの「声」が私の中で勝手に作り上げられて、心に刻み込まれていたのだと思います。
物語を思い返すと、沖田総司の「うふ」と微笑する声が聞こえてきます。

柚木麻子『らんたん』

Amazon.co.jp: らんたん : 柚木 麻子: 本

日本の女子教育を推進してきた女性たちを描いた『らんたん』。
私は伝記や史実を基にしたフィクションが好きで、小学生の頃には図書館でよく伝記マンがを借りていました。
本ではありませんが、大人になってからはビオピック(伝記映画)も観るようになりました。
なぜ伝記に惹かれるのか、『らんたん』を読むことを通じて理由を自覚したように思います。
どうやら、先人たちの強かな生き方をたどることで、励まされたい、自分を鼓舞したいという気持ちがあるようです。
『らんたん』では、彫刻家の本郷新の描かれ方も素敵でした。

サマセット・モーム『月と六ペンス』

Amazon.co.jp: 月と六ペンス (新潮文庫) : サマセット モーム, Maugham,William Somerset, 瑞人, 金原: 本

伝記小説でいうと、19世紀末に活躍したフランス生まれの画家、ポール・ゴーギャンをモデルとした『月と六ペンス』も外せません。
ストリックランドという画家の生涯が、作家である「私」の目線で綴られています。
「上手いとか下手とかではない、とにかく描かなければならない!」という衝動のままに生きるストリックランド。
「私」の冷静な視点で描かれているからこそ、その衝動の強烈さがより際立っているよう思います。
ちなみに、私はゴーギャンの絵画がとても好きです。
それは別の投稿で書けたら、と思います。

原田マハ『モダン』

Amazon.co.jp : 原田マハ モダン

ニューヨーク近代美術館、通称MoMAをめぐる5つの短編集です。
原田マハさんの作品はいろいろ読んでいるけれど、今のところ『モダン』が一番自分にしっくりきています。
「美術館」という場所、空間に惹かれるからだと思います。
美術館という場所には様々な人たちが様々な形で関わっていて、それぞれが物語を紡いでいる…というコンセプトが好きです。
読むと無性に美術館に行きたくなります。
MoMAにも一度行ったことがあるけれど、また行きたいなあ。

プラトン『饗宴』

Amazon.co.jp: 饗宴 (ワイド版岩波文庫 316) : プラトン, 久保 勉: 本

現代のニューヨークから、一気に古代ギリシャへ飛びます。笑
しかも、小説ではなく、対話篇ですが…。
大学では西洋美術史を専攻した私。
大学入学前に、先生からお勧め図書として紹介されて読みました。
プラトンは『饗宴』の中で、ソクラテス(ディオティマ)に、愛が求めるべきものは絶対的な永遠の美(美の本質、美のイデア)であると語らせます。
私は今でも、『饗宴』ないしプラトン哲学をきちんと理解できているわけではありません。
しかし、この本と出会った大学入学直前の私は、真の美を追求する知の旅へ漕ぎ出したぞ~と愚直に気持ちを高ぶらせていました。笑
美術史や美学をこれから学ぼうとする若者に『饗宴』を勧める、先生の心意気に感動したのを覚えています。

ヘルマン・ヘッセ『知と愛』

知と愛 (新潮文庫) | ヘッセ, 健二, 高橋 |本 | 通販 | Amazon

神学者ナルチスと彫刻家ゴルトムントの交流を描いた物語。
学び、考え抜くことで真理に至りたいという知への願望と、心赴くままに人を愛し人に愛され生きたいという愛への願望が、それぞれナルチスとゴルトムントという二人の人物によってわかりやすく象徴されています。
とはいえ、どちらの願望も、本来は一人の人間に内在しているもの。
どちらかのみを選び取り、どちらかを完全に捨て去るということはできないはず。
ヘッセは作家人生を通じて、人間が内面に秘める相反する願望、割り切れない感情を描いているように思います。
矛盾を抱え、悩み迷いながら生きる人間を見つめるヘッセに、個人的に親しみを感じています。
『知と愛』では、高橋健二による訳もとても綺麗です。
こんな風に美しい言葉を巧みに使えるようになれたらな。

#名刺代わりの小説10選

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