ときめきが咲く青いボンネット
放課後、友達2人と掃除場に行く途中、戸も窓も全開だった美術室から見えたボンネットを文化祭で展示されていたやつだと思いながら通り過ぎる。
展示のとき2年生だと書かれていたような気がするが、誰が作った作品なのかは覚えていない。文化祭の盛り上がりと人混みが苦手でよく見ることが出来なかったことを悔やむ。
それでもあのボンネットは目に焼き付いている。落ち着いた青にはしごレースが付けられていて、顎下で結ぶであろうリボンの光沢がとても美しかった。
文化祭と今日、美術室を通り過ぎたあの一瞬、他では感じられないときめきが咲いた。自分が知らぬうちに隠した本当に好きなものが日の目を浴びて花が咲いた。そんな感覚だ。
ときめきが咲いたからといって自分があのボンネットを着けたいのかはわからない。でも、かわいいなって、美しいなって心の底から思った。