【長編詩】masturbate
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無為にしたくないと思いながら、あっという間に、泥のように形を無くし、けれども完全に溶けきることのない多色の沈殿物のような、、、それを、そういうものを日々と呼んで、僕は、なんだか、毎日、吐けないのにむりやり吐こうとしているみたいだ。体内に溜まった毒素をひたすら嫌悪するだけの生活。舞台に、(指をさして)きみとかきみとかきみとか、そういうきみたちが観客の舞台に、僕が立ったことは一度もないけれど、生来、自分、舞台中毒なのは分かる。眼鏡カチカチ、ガラス玉みたいに澄んだ碧眼、そして、なにもかもを見通すことができるような慧眼、って夢想するだけ、で、ペンなんかまるっきり持つことなく、塵が残ったままで散乱したような頭脳で、物語を考えて、紙に書き起こすことのない脚本を拵えて、最後は、夢落ち、機械仕掛けの神様が降りてくる、みたいな自慰行為。僕の知らないどこかで、何の連関もなく、いくつかの生命が生まれ落ちて、そしてまた何の連関もなく、僕も、堕ちるように眠って起きれば、また空気の淀んだひとり部屋のなか。
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獣声、、、それで、山彦がだんだんと遠退いてゆくように、薄れてゆく、あったはずのちから。
喩えるなら、磨かれた鏡で、自分の姿を見るような惨めさ。透明なものを無為に眺めながら、事後にくる全身倦怠感を、人生に対する諦めと思い込んで、最後くらい綺麗な死にかたをしたいな、とか何度も何度も思って、また、また、結局、泥のように眠って、朝になる。
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すべてを失って、思い出すのは、ただひとつ、自分の、叫び声みたいな、匂いだけ。