4 恋≒

「喩えば、僕と君の心臓が切れない脈で繋がっていて、お互いなにも言わずとも、まるで共鳴するように、分かり合えたらいいのに。」
彼は、心から純粋な顔をして呟いている。

分かり合えたら?
分かり合えたら?
分かり合えたら?????

違う。彼はきっと、ただその相手が、彼そのものになればいいと思っていた。
 
彼は彼自身にしか恋出来ない。
彼の恋だと思っているものは、永遠に単なる近似値だった。

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