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風何(ふうか)
2024年11月5日 18:53
まるでわたしの手指が独立した生物のように、っていうのはあながち大袈裟な比喩じゃないかもしれないですね。(ともだちがいないから、誰に話しかけるでもなく。ひとり言以上、誰にも吸われない空気みたいな)事実、その仕草は、わたしの脳髄をほとんど経由することなく表出してた。わたしの行動は、ドーパミン。自分のことに自分で責任を取れるひとになりたいって思いながら、放出していた。百点、百点、また百点って繰り返し殴
2024年10月5日 14:09
左脳が揺れるように痛んで、何かを拒否するように頭を振れば振るほど痛くなって、けれども僕は、そのときになって初めて、僕が今まで、痛みでしか嘆いたことがないのに気が付いた。海底から急浮上するように。海底から急浮上して、顔を出して、広がる水平線を目にするかのように、そこから始まればよかった、そこから広がればよかった、人生みたいななにか。と夢想しながら、僕は変わらず、嬉しくも悲しくもなく、誰にも宛
2023年12月3日 16:20
どれだけ僻んだって、きみは海。砂浜の砂を少しだけ濡らして、歪んだ月の光を、その淀んだ水面に映し出す、ただ僕に疎らな詩を想起させるだけのもの。僕はきみのことが好きだけれど、きみを、本当の意味で好きになることなんてないのかもしれないね。みんな、生まれたときから詩人で、目の前にあるものを、象徴的にしたがっている。それはきっと僕も同じで、砂浜で微かに輝く貝殻を拾い集めるみたいに、そして、その音に神経を研
2023年11月29日 20:07
虚ろに、窓の外にある夜を見つめて、嫌いな人の話をしながらしか、恋ができない。きみの寝息が聞こえる午前2時、ただ後ろめたさから、夜空に平和を願って、そして、その願いが、いつか、ふとした瞬間に叶ってしまったとしたら、そのときは僕たち、もっともっと広い世界の話をしよう。いっしょに空を見上げて、大きな世界の前で、いつまでも一番の被害者でいよう。
2023年11月27日 19:16
「ふと思い付いたんだ。ある日、絵本作家の幽霊と友達になって、けれどもただ、絵の描き方、物語の作り方ばかり教えてもらっているような、そんなつまらないひとりの少年の話を。」嘲笑にすらなれない仄かな笑いを、いつかの発射残渣のように忍ばせて、揺蕩う水面みたく緩やかに進行する、物語未満のもの。喜劇だ、と呟いて、ひとりでに、にやにやにやにや笑っていた。眩暈に襲われるかのように、追っていたページの文字が、つぎ
2023年11月22日 19:10
Ⅰ対話するってことは、人に銃口を向けるってことなんだけどなあ。でも快感なのかもしれない。空気を貫いた先、きみの眼の上で、紅く、触手みたいに延びた彼岸花が咲いて、僕は、初めて、僕がきみに与えた影響力について思った。それは愛だね。けれども、きみのことを心から綺麗だと思うのと同時に、きみは、僕にとってただの作用点でしかないこと、僕の一生のうちに起こる幾つかの現象のひとつでしかないこと
2023年11月9日 13:21
もう今なら、誰でも好きになれる気がする心からの優しさでひとびとを想ってそうして、角を取るように自らを研磨しそのまま身体ごと消えてゆくこと磨くことがすり減らすことだなんて、考えもしなかったよ輝かないまるい石なんてつまらないだけだとそんなことにも気づかないまま、大人になってしまって、わたしは、もっと心から、人を嫌いになるべきだった。
2023年10月28日 04:33
夜にだけ小説を書きたくなるようなそういう不定形の生だったとしても。昼に満たされていたことを忘れ去り、棚に上げるように劇的に、夜が去ってゆくのを惜しんだのなら、世界一の不幸者になって、僕は、無造作に、欠け落ちた詩を描く。たとえ、本の形をした物語しか知らなかったとしても。四等星みたいに綺麗な小説が描きたい。恒星が周囲を燃やすようにきみたちを、傷つけていたい。
2023年10月23日 20:16
すぐ頭上を走ってゆく電車も、嗚咽して俯いている自分の身体も、ぜんぶがぜんぶ、このわたしの今いる空間とは関係がないみたいで。知ってる。あなたたちも、きっと、どこに行けばいいのか、分からなかったのね。ぐるぐる、叫ばないまま泣き喚いて、迷走するように逆流して、ただ高架下のアスファルトを少し溶かすくらいの影響力。どうしてか、信号機の緑があたたかく、やさしくて、寒いってわたしの代わりに、終電とか、
2023年10月15日 09:47
簡単な概念ほど、簡単に否定したくなってしまう。ずっとずっと馬鹿みたいに笑ってるきみより、わたしのほうがえらいよ、って、いつか叫ぶのが、机から発せられた魔力にいつも縛り付けられてるわたしの夢。だってわたし、すごーくすごーく深く考えて、きみよりもはるかに難しいことを考えて、それで、ずっと、みんなみんな死ねって思ってるから、世界の重力すべてが集約された教室を、パズルみたいに、わたしの頭のなかで、ぜん
2023年10月13日 19:29
映らない。僕の姿はなにも映らない。曇った夜に見た湖は、なにも透き通ってなんかいなくて、それは、津波のように暗く淀んでいて、けれど、それでも湖の名残であるみたいに、水面は緩やかに凪いでいた。自分の存在を確かめられなくなったら、簡単に死んだような気分になれるから、僕は、夜の湖で、生きたくないけれど、死にたくもないまま、観念的な自殺をする。夜景と認められないこと、かわいそうって言える人になりた
2023年10月10日 19:43
躊躇うという感情。こんなにも鍵穴の形をじっと見ていたことなんて、いままでなら、ありえなかったかもしれない。煤けたみたいな色をした新宿駅に夜がやってくるように、公団住宅にも、白夜じゃない夜がやってくる。僕がこうして昼間中、ずっと仕事をして、燃料を補充するように食事をして、夜、魂を一旦放棄するように眠りにつく以前、それは僕が、人間じゃなかったころのことだけれど、僕は瞬いても瞬いても消えない星で、けれど
2023年10月9日 12:57
形も大きさも違う氷が数個転がっていて、何かの拍子にそれらは砕けて、いつか溶けて水になる、水になると元あった形なんて関係なくなって、もともと他の氷だったかどうかも関係なくなって、あたかも自然なことであるかのように混じり合い、溶け合い、いつか誰かに取り分けられて、小さな容器に等分になるように振り分けられて、つまり、みんな同じ人間だって言うのは、そういうことを指して言っているのでしょう?みんなみんな幸せ
2023年10月8日 12:08
貴方が欲しがっているのはきっと、いつだって、病院の待合室みたいな会話だけだったよ。オルゴールの音がして、貴方は、わたしのことを、どこかにある星のように見ていた。どこかから流れてくる音楽のように感じていた。唯一性なんてどこにもなく、貴方もわたしも、幽体としてしか、他人を認識することができなくて、お互いの血液がどんな風に脈打つのかも知らないのに、「好き」というただその言葉だけで、鎖のように繋ぎ止め