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風何(ふうか)
2023年4月30日 13:32
愛されたいんだ、愛なんて知らないまま。あなたが描いて、わたしの心臓は、まるでわたしのものであるみたいに、はげしくはげしく脈打って、それで、赤く塗りすぎたんだな、と思った。からだじゅう、血がめぐっていた。もみじよりも深い赤。見知らぬ風景よりも深い赤。けれど、それでも、夢うつつで、あなたに愛されているのが分かる。あなたの、笑顔も怒声もなにもかも、漂白されたみたいに愛おしいんだよ。泳ぐような筆先、発
2023年4月20日 07:29
自分以外のせいにできる。小宇宙みたいな眼球のなかで、光が瞬いて、夢を見ていれば、夢のせいにできるんだよ。僕が僕である必要がなく、きみもきみである必要がないこと。潜在意識のなかで、今まで見たこともないような世界を冒険して、それで、眠っているうちに死んでしまいたいね、僕たち。涙なんてどこにもないみたいに、乾いた瞼を閉じて、なにも成し遂げなかったこと、気付かないまま、微睡むように逝ってし
2023年4月17日 09:53
瞼の裏側で、星がちらつく発光するように、あらわれては消え、あらわれては消え、を繰り返しきみも、発現してすぐ、僕の闇のなかにのまれていった。嫌いだったよ、ずっと。もうそれを、口にすることはできないけれど。中核にあったはずの心象は、すでに色を失ってしまったけれど。それでも、無彩色を綺麗と言って、愛とか嫌悪とか、叫んでくれよ、僕の代わりに。感情は、一介の電気信号に過ぎないのだと、地球のど
2023年4月15日 09:30
清潔に創り直されたきみが、遥か遠くみたいな頭の片隅で、微笑んでいる。冷たい空気が、頬を凍らせ、肺を満たしていって、綺麗なのはぼくでもきみでもないのに、綺麗になったような気がしていた。遠くを見ているようで、見ていない。それが冬の夜空だろうが夏の夜空だろうが関係なく、それが夜の空だろうが朝の空だろうが関係なく、呆けたようにただ、なにも考えず黄昏ていようよ。
2023年4月10日 07:41
超越的な存在になるために優しくなろうとしている。理解しようとするくらいならさ、相対性の外側で、踏みにじってしまえよ、すべてを。誰も、誰の歯車にもなれないから。言葉を使うことでしか優しさなんて表現できないのに、簡単には言葉にできないだとか気取って、神様みたいに詩を書いて、肯定的な言葉が、他人を蝕んでいることにも気付かないまま、それで、自らの歯車を噛み合わせて、僕たち、他者を殺し
2023年4月2日 17:53
夕陽が射した公園で黙れ、黙れよ、と心臓が引き裂かれるみたいな痛さで、僕は叫んでいて、けれども、もともと誰もしゃべってなんかいなかったこと。僕以外、誰もいない。滑り台の上に覗いた赤い夕陽が、僕の言葉をぜんぶぜんぶ吸い込んでいって、誰にも、もう嫌いと言うことができない。理解したくも、されたくもなかったはずのに、それでも、分かりたかったんだろうか、僕は。「嫌いなところを言葉にできるってこ