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風何(ふうか)
2023年1月26日 19:52
きみが流したはずの涙が、瞬く間に蒸発してゆく、青い空と、そこで白く輝く太陽の光が、まるで神聖であるかのようにきみを照らしていて、その光景をぼくは、ただ見ていたのだ、あのとき。ぼやけていった、はっきりと映らない、きみの表情は、記憶のなかで霞んでいった。「一粒の雨も、降ってなんかいないから、だから、誰も傘を差し出してはくれない」、何の疑問を持つこともなく言い放ったきみのこと、なにもかも綺麗に思っ
2023年1月9日 18:37
夜、三十七度五分の両手を握り合わせて、きみのことを思い出す、きみの、あの体温のことを思い出す、暗い暗い瞼の裏を見つめて、「あのときのきみの手は、冷たかったのか、熱かったのか、」浮遊するみたいな意識と一緒に、血の流れる音がだんだんだんだん激しくなってゆくのを感じながら、けれども、それでも、ただただ小さくうずくまっているだけでもぼくは、ひとり、眠りにつくことができる、毛布のなかで突然変