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詩まとめ

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詩のまとめです。感情が滲み出てくるような詩を書きます。
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2022年7月の記事一覧

【詩】憧憬

好きな本のページを捲るのを躊躇うみたいに、眩く輝く一等星を愛おしく思うみたいに、あなたが好き。好き、好き、好き、好き。けれども、どんなに言葉を尽くしても、あなたは一介の芸術品でしかなくて、わたしはあなたの表面しか愛すことができないから。あなたの思想、価値観、優しささえもぜんぶがあなたを飾り立てる一片の要素でしかなくて、それはとっても表面的で、じゃあわたしはあなたの中身を一生愛することなんてできない

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【詩】茜

朝日が昇る
夕日が沈む
また朝日が昇る
わたしはずっとそんな景色に目を奪われてばかりいる

つまりは、意味があるって、こういうものの対極を指して言うのでしょう?

発せられる言葉すべてが理解されるためにあって、結論を出すための言葉しか許されないのだとしたら、理解は感性を破壊する凶器で、注釈は暴力で、だって綺麗なものが綺麗な理由なんてどうして必要なんですか?

空が赤く焼ける。空が血を出したみたいに

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【詩】鏡

好き、好きだったんだよ、その記憶のなかだけで生きてゆけたなら、わたし、鏡なんて気にも留めずに済んだのに。わたしの世界にわたしなんて必要なくて、あなただけがわたしの目の前に佇んでいればそれでよくて、そうしてわたし自身があなたの鏡になる。姿形は違うけれど、あなたの仕草、表情、それから感情をどこまでも反映する。あなたが喜ぶとき、わたしも喜ぶこと。あなたが悲しむとき、わたしも悲しむこと。模倣して、模倣して

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【詩】神様になれ

今日も誰かが惚けたように世界が綺麗だと言うから、嗚咽が止まらないのになにも吐くことができないぼくは、その誰かに倣うように世界が綺麗だと言う。けれどもそれはきっと嘘ではなくて、ぼくたち、吐きたくても吐くことができないのだから、そのぶんだけ世界は本当に綺麗になっていて、かき氷もサイダーもラムネ瓶も、太陽が反射するための余白を作ることができる。だから、世界のぜんぶ、吐瀉物で埋め尽くされていたなら、きっと

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【詩】幼年期

ぼくたちはあの頃、手を繋いで、まるでひとつになったかのように、どこまでも行けるような気がした。きみが「秘密だよ」と笑いながら言うから、ぼくたちの嘘はきっと嘘じゃなくて済んで、大事に大事に守られている宝石みたいに綺麗な秘密になった。そして、「きみは覚えていますか?あの日のことを」なんて言ってみると、あの日世界にいたのは、ぼくたち、たったふたりだけだったような気さえしてきて、あのとき、きみの目に映って

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【詩】魔法

泣きながらぼくは、この世界で一番綺麗な死に方は何かを探し求めている。
海の底に沈んでゆく、大火に燃やされたまま灰になる、ガスで汚れない体のまま死んでゆく。想像の中でだけ、ぼくは自由に綺麗に死ぬことができて、その想像はぼくのなかで血液と一緒に流れてゆく。眠るのが心地いいのはきっと死ぬことに似ているからだ、そう思って夢見るだけでぼくは炎天下のなかでも歩くことができていた。できていたはずなのに、そんなご

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【詩】崩壊

壊れてしまいそう、ぼくは小声で呟くようにそう言うのだけれど、ただそれだけで、ぼくの声は誰にも届かず消えていく。消えていってぼくはほっと息を吐くようにまた呟き続ける。「壊れるほどのものをあなたは抱えているつもりなの?」誰かにそう言われるのが怖くて、自分がなにもない空っぽな存在なのだと言い当てられるのが怖くて、自分の身体の60パーセントが水でできている、そんな当たり前の事実さえもぼくのことを糾弾してい

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【詩】洟

なぜ泣いてるのと訊かれて、その答えを答えようとするとき、わたしたちには言葉しかないのだ。涙がどこかに向かうには言葉を交わさなければいけなくて、所在ない感情を理屈で説明しなければいけないと泣きながら知ったとき、それはきっと、分かり合うことを宿命として人間を創った、神様の嫌がらせなんだと思った。
涙と一緒に世界中の悲しみが蒸発したらいいのに。けれど実際は、塵が積もっていくようにじわじわと胸を侵していく

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【詩】歩く駄作はまだ瀕死

嫌い、嫌い、嫌い。ハートを投げかけるように高い声で口遊むと、それはキャッチーなフレーズになって、周りの人たちにも伝染していき、わたし、やっと人だかりの隙間に隠れるように、なにかが嫌いだったことを忘れられる気がした。けれどそれはほんの一瞬の出来事で、しばらく経つと、わたしはまた思い出したように何かを創り始めるから、この数秒のあいだに、わたしの感情はまた歌になり、詩になり、物語になって、雨が降って地面

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【詩】溺死

特に意味もなく、あなたの発する言葉そのものを愛せたならいいのにね。年に一度降るか降らないかも定かではない粉雪みたいにはらはらと降って、分裂して、いつかどこかの地面で消えていくのだとしても、あなたの言葉を幻想的だと思うことができれば、あなたの吐いた優しい嘘も、逆に、人を傷つけるために吐いた嘘も、等しく意味を持たないものになって、宙に浮かんでは消えてを繰り返すその言葉たちをただただ見惚れたように眺めて

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【詩】希釈されて、溶ける

シャワーで身体を丹念に洗い流すと、わたしの身体のあらゆるところに付着していた哲学も一緒に洗われてゆき、そのぶんだけわたしは昨日のわたしよりも綺麗になる。抜けた髪の毛はどんどん排水溝に溜まっていくのに、さっきまでわたしの一部だった自身の哲学は、いとも簡単に排水溝の網をすり抜け、流されたお湯に希釈され、どこかに溶けていく。そのことが寂しくないと言ったら噓になるけれど、あなたに嫌われるよりはいいかな、そ

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【詩】涙になりたい

きみの涙になりたいと思った。きみが本当に泣きたいとき、泣けないようにするため、ぼくはきみの涙になりたいと思った。
物語には涙が必要で、涙のない物語は多くの人が退屈するものだから、だからきっと、涙を流せないきみの物語はいつしか消滅し、そして、きみはどんなに悲しくても、涙を流せず、鏡に泣き顔が映ることもないまま、年老いて消えていき、ぼくもまたきみのなかで綺麗なまま消えていく。そうして、ぼくだけがきみの

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【詩】きみが好き

きみが好き
本当のことは何一つ言わずに、数多の言葉を尽くして自分の周囲を塗り固めるように嘘を吐くきみは、どこか遠くにあるかもしれない一片の星のよう。きみが口にする誰かに対する罵倒も、きみが口にするどんな愛の言葉も、ぜんぶがぜんぶ嘘だとわたしには分かっているから、わたしは心の底からきみに好きだと言うことができるし、だからこそわたしはきみのことしか愛せない。
嘘だけが、何も信じないことを肯定してくれる

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【詩】希死念慮

夜空に広がる星々が綺麗に思えるのも、真昼の空に広がる青空が綺麗に思えるのも、遠くにいるかもしれない誰かが綺麗に思えるのも、すべては抽象的だから。ぜんぶがぜんぶとてつもなく遠くにあって、具体性に欠けているから。見たくないものを見なくて済んで、それで、あなたの綺麗だと思うものは綺麗なのですよ。綺麗なものには必ず理由があり、あなたの切望するような死という存在は、抽象性を孕んでいるからこそ綺麗なのです。

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