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風何(ふうか)
2024年6月22日 22:35
革命家は革命を起こしたかった。けれども、革命の起こし方を知らなかった。だからとある本を読んで革命家は、「恋」をしようと思った。けれどもいつしか、心から「恋」をするようになった。さながら、鳴かぬ蛍のように。さながら身を焦がすように。
2024年6月22日 13:51
余生。「まるでそうじゃない部分があったみたいな言い方をする。」余生。「まるでそうじゃない部分があったみたいな言い方をする。」僕はひとりでそう呟いて、ただ目的もなく冬の公園を歩き続けていた。さながら犬のように。逆説的に、それはきっと、満たされている人が創った言葉だ。僕はただ、日記を書こうとして、何度も挫折しているような僕のことを、無条件に面白いと言ってくれる、そんな誰かが、いつしか現れてく
2024年6月21日 20:53
「喩えば、僕と君の心臓が切れない脈で繋がっていて、お互いなにも言わずとも、まるで共鳴するように、分かり合えたらいいのに。」彼は、心から純粋な顔をして呟いている。分かり合えたら?分かり合えたら?分かり合えたら?????違う。彼はきっと、ただその相手が、彼そのものになればいいと思っていた。 彼は彼自身にしか恋出来ない。彼の恋だと思っているものは、永遠に単なる近似値だった。
2024年6月19日 18:55
誰からも愛されていないことには、疾うの昔から気が付いていた。夜7時、ひとりで残業をしながら、仕事場の誰かが少しだけ遠くで話していることに耳を傾ける。丁度、僕のことを褒めているみたいだ。少なくともそう聞こえる。もちろん、確証は持てない、持てないけれども、褒められているかもしれないと思いながら、僕は、ずっとそれを養分として生き長らえてきた、この二十五年間。与えられた仕事をこなし、束の間の充足を得て
2024年6月19日 18:52
遠くの席だったのによく目が合って、あの子は、僕に、他でもない僕に、笑いかけてくれた。綺麗な綺麗な笑顔で、ただそれだけで、その教室には、その世界には、僕とあの子のふたりしかいないような気がしていた。灯りを消した子ども部屋。暗順応してきてうっすら見えてくる丸い蛍光灯。まっさらな天井。まるでパレットみたいだ。自由に、あの子との光景を描き出す。そして、あたかも羊を数えるように、ぐるぐる、あの子に伝える言
2024年6月19日 18:41
その花火は、水のなかを足掻くように弾けている。それも長らくその光は、なにかを主張するように迸っていて、なかなか消えてはいかない。そんなこともあるのだと僕は思った。それは、炎タイプは水タイプに弱いという常識を軽く覆していた。拝啓、そのときだけ友達だった岩下くん。足首に、優しく撫でるような冷えた海水を感じながら、僕は、もう少しだけ生きてみようと思った。自分の周囲で、まだこんな珍しいことが起こってい