見出し画像

宮脇綾子の圧倒的な創造力

2025年1月某日
生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った
東京ステーションギャラリー


アップリケや刺繍の作品ということで、ほっこり系かなって思っていた。
なんだったら趣味の手芸の延長上みたいなイメージもあったりしたけど、
いやいや覆された。いい意味で。

対象への観察力とか、素材のチョイスとか、作品のボリュームとか、
なんかいろいろスゴかった。
近くで実物を観られて良かった~

布や紙を使ったアップリケって、ある意味制限があると思うんだけど、
自由な発想で多彩な作品を生み出した綾子さん。
作品でもあるけれど、暖簾や屏風など使えるアイテムとして個人のお宅で大切に使われてきたんだろうなあ~
そして豊田市美術館に行きたくなった(所蔵先のほとんどが豊田市美術館と個人)。

観察と写実


「あ」が綾子さんのサイン。たまに「や」も
結構ざっくりとしたステッチで布を留めている
よく見ること=観察
布の柄や素材のチョイスのセンスがスゴくいい。

スルメ。柄布でねじれポーズで
根っこは枯れ草をつかって
どくだみ。和柄の布が良い
たこ。渋い色、吸盤は柄もんの別布使いで
ウド。更紗の柄が素敵
玉ねぎ。インド?の刺繍の布みたいでゴージャス
柿。うまそうだな
椎茸。原木にぽこぽこ生えてる様。軸は絣で

ネギ坊主。細かいレース使い!よく思いつくなあ
日野菜。根っこの表現がリアル~


断面と展開


鳥たち。渋い色だけどいろんな素材を駆使して立体感と存在感
えんどう豆。白と銀でおしゃれ。キラキラ素材も効果的
黄色いスイカ。種はビーズで

かぼちゃ。ワタをはいろんなレースで。おもしろい


切った玉ねぎ
スキマも楽しむ。もりっと立体感がある芯の部分にさりげないレース使い


しゃけ。高橋由一もビックリ?身は絣、赤みは荒いリネン?


さしみを取ったあとのかれい
カレイの緑タオル地みたいなで意外!赤いかれいが映えるな~


紫キャベツ。はりえ日記より。
布の糸をほぐして断面を表現。シンプルなんだけど発想がすごいな~ほんとキャベツの断面にしか見えん



多様性


干しがれい屏風。干されてる鰈それぞれにキャラがある

ひの菜。朱赤が美しい。


フィルターのするめ。なんとコーヒーフィルターをするめに見立てた綾子さん。使用済みでコーヒー色になった部分があったりして、妙に味がある。背景が赤なのが効いてる。円空リスペクト。

小鯛の干もの。小鯛のフォルムが新種の生き物ぽくておもろい


ざるにのせた柿
デフォルメされてんだけど、めっちゃ特徴をとらえてるんだよな~


はりえ日記。
レースのひなげしがビビッド
いただいたカサゴ、根っこ出てきたネギ、トマトの断面はいろんな布をいっぱい使っている。たしかに、種とか筋っぽいのとか、赤に緑が混じってたりとか、結構複雑な構造なんだなあと改めて感じた

トマトの断面



たこと並ぶ魚たち。結構ラフなんだけどみんなちゃんとそれぞれの魚の形
吊った唐辛子。赤がフォトジェニック。リアルに藁で編み編み


ひなげし
黒い背景に映えるひなげしの花。レース、チュール、キラキラ


アネモネ。も好きな綾子さん。実際の色ではなく、好きな色で作っちゃう


素材を活かす


モノを大事に、端切れが大事

鹿皮のするめ。鹿革のテクスチャーがスルメにぴったりなんだそう。先っちょの吸盤もぬかりなく表現
曼珠沙華。赤字に白い花、白地に赤い花。対のよう
掘りたての馬鈴薯。枯れ草も使って渋っ
めざし。はストーブの芯を使って。ぶ厚っ
ごぼう。は酒袋で。葉っぱは藍型染めで

鰈の干もの
こちらもコーヒーフィルタで。コーヒーを楽しんだんだなあって痕跡も楽しみつつ


れんこん。絶妙なフォルムがチョー蓮根なんだよね~
びわ。この枇杷なんか好き。布の柄が洒落てて、しかも枇杷にピッタリなの。布のチョイスの勝利

かぶの花
ニットでモコモコ。赤タオル地に菜の花が映える。パキッと元気な色合い


模様を活かす


対象を観察して、ピッタリな素材を選んで組み合わせる。
だけでなく、布からインスパイアされて作品に仕立てることも。
さまざまな織り、染め、模様。
だから観ていて思いがけずおもしろい発見があるんだな~


印半纏がタケノコに!なぜかモダーンな仕上がりに!
藍染めの縞のタケノコも。皮や根っこイボイボもおもしろい

白菜。見立てが素晴らしい。
芯は絣、葉っぱは無国籍風な布、でチョー白菜


聖護院大根。白地の絣オンリーだけど、使い分けが細かい
メロン。藍染めなのにちゃんとメロン。配置がおもろい
ふたり。は向かい合うゴツい魚、派手派手な布かパンチあるぅ
熱帯魚。ビビッドな絞り染めがピッタリ
おこぜ。ギラっとした龍をオコゼに見立てる。ゴツゴツ感出てるぅ
パイナップル。これ好きだなあ。更紗の柄の動物と神?もそのままに。葉っぱは重ねてモリモリ感


模様で遊ぶ


赤い蟹。大漁旗がいい感じ。ビーズでブツブツ感を
鶴亀模様の鯛。めでたい尽くし。自由な発想の綾子さん
蓮根。大漁旗レンコン、いいなあ。細かい根っこもチョーリアル


伊勢えびドーン!なんの布だろ?紙かな?派手でいい


鮭の切り身とくわい
赤い花と蝶の柄布が鮭に!かわいいんだけど、ちゃんと鮭。8切れだと多いので5切れに調整。こういう判断大事なんだろうな~アーチストって


吊った干しえび。これも大漁旗かと。目がツヤっとした黒いビーズで、まさに海老の目


はりえ日記
字が綺麗。日々のあれこれが綴られている文章が良い。主婦目線とアーチストの目線がパラレル

いちじく。美味しそう。更紗のいろんな箇所を使っててすごい。いちじくにはここしかない!みたいな
ちまき。笹感がすごい背景の。ピンクが珍しい色味かも



線の効用


ガラス瓶の中のつる草
ガラスは銀のモール糸で。繊細な表現


枯れた花。からす瓜。メメントモリーーー
ぼうふらのいる瓶。ほぼ紐と糸で表現。あボウフラ1匹いた!
あっ、おじいちゃんだ。は孫のセリフとのこと。ジョン・レノンかと思ったのは私だけだろうか?
華。繊細。赤背景に白と銀の糸、そしてスパンコール

芽の出たさつまいも
根っこに興味津々の綾子さん。この作品も楽しくうねらせて作ったんだろうな



デザインへの志向


アプリケとマティスの切り絵の共通点、フォルムを追求

ピーマン断面模様屏風。輪切りのピーマンは紋のようだ
吊し柿図屏風。整然とつるされた柿。柄もんでそれぞれの干し具合を表現


長茄子。カラフル、チョーシンプル


縞木綿千柿図屏風
木綿縞乾柿型集
縞魚型文様集
このコーナー圧巻だったな~すごいボリュームだった~
柿というより、布の見本帳のおもむき。
布をゲットするたびに魚と柿を切り出したんだそう。
柿は、実の部分とヘタの部分の縞の方向を変えていて良いアクセント。


あんこうが3匹。
微妙なブサイク加減がおもしろいヤツ

ブロックチェックのヤツは笑ってるみたいで愛嬌がある


赤いヤツはちょい悪な感じ。お前食べちゃうぞ~って感じ


床山さんの櫛。
絶妙な配置で現物をオン。アップリケじゃあないけど、これはこれで貴重なコレクション
ちなみにはりえ日記には布で貼ってる


高枝切り。モダーンなデザイン感
そまの道具。フェルトでノコギリいっぱいーあったかそう。ベージュに赤黄色深緑


個人的に服を作るのが趣味なので、端布はいっぱい持ってるんだけど…捨てずに取っておこうかな!
あと、日々ごはんを作ってるけど、断面とかちゃんと見たことなかったな~もっと食材に感謝しようかな~などと思ったりもした。

いいなと思ったら応援しよう!