見出し画像

広いアジアの歴史と人物に思いを馳せる

2024年6月某日
アジア人物伝-歴史を織りなす人々-
東洋文庫ミュージアム


最近Eテレで放送中の「3か月でマスターする世界史」を見ている。
世界史をアジア目線でとらえた番組。
4月からスタートしていて、
メソポタミア、遊牧民、オリエント、古代ローマ、宗教、イスラム、東アジアの攻防、モンゴル帝国の繁栄、東西の文化交流、帝国の解体、ルネサンス、明王朝、大航海時代、ヨーロッパがアジアに変わって世界の覇権を握る…
ところまでが流れでわかるようになっている。

その興味の流れで、東洋文庫ミュージアムで開催中の「アジア人物伝」が急に気になって行ってきた。
学校で習ったあんなことやこんなことのオリジナル本が展示されていて、とっても興味深く観た。
何百年も前の出版物が、紆余曲折を経て現代の東京に集結してるんだねえ。
ミスター・モリソンと岩崎久彌に敬意を表する!

ということで、今日はちょっとアカデミックな気分で。おほほ


1.古代帝国の成立と広大な宗教圏の誕生(紀元前3500年頃~7世紀頃)

人類史上最初の都市国家はメソポタミアで誕生。現在のイラク辺り。チグリス・ユーフラテス川ね。
世界史の授業で耳にしたことがある。あるっちゃあるんだけど…
その後中国の王朝、インドのインダス川周辺で文明がおこっていく。

農業、青銅器、文字が発達。
自然崇拝が土着の文化を混じり合い宗教が成立。
仏教、ヒンドゥー教、儒教、ユダヤ教、キリスト教。
なるほど、アジアから始まったんだな。


『ハンムラビ法典』1904年

ハンムラビ(在位:BC1792-BC1750)
メソポタミア地域のバビロン王国。なんといってもハンムラビの法典が有名。
「目には目を」のパンチ力たるや。
こちらには守護神と王が描かれている。


『法華経』チベット語写本 書写年不明

ブッダ(前448頃-前368頃や前566-468など諸説あり)
ブッダとは、目覚めた者という意味だそう。
仏教球団は分裂していくけども、ブッダの教えは仏典となって伝わっていく。
なんだかスゴい存在感があるお経だなあ。


『中国の文献にもとづく儒教の解釈』1886年

孔子(BC551-BC479)
フランス人の新譜がまとめた儒教ガイドブック。


『帝鑑図説』

始皇帝(BC259-BC210)1572年成立 1606年刊
儒者によって暴君のイメージがついちゃったらしい秦の始皇帝。
術士が穴に放り込まれている…


『ヘブライ語訳新約聖書』1921年

イエス(前5頃-28頃)
新約とは、イエスを介して結ばれた神と人との新しい契約とのこと。ほえ~



『日本書紀』より推古紀 1610年刊

厩戸皇子・聖徳太子(574-622)
かなりスーパーなイメージの聖徳太子。
そんな風に語りたくなっちゃうカリスマ性はあったのかもしれない。

太子画像:14世紀後半頃写


『馬哈黙傳』林薫訳 1876年

ムハンマド(570頃-632)
イスラームの開祖ムハンマド。初めて日本語で描かれた伝記。


2.世界宗教と地域文化との融合と新たな社会階層の台頭(7世紀~13世紀)

それぞれの宗教が文化を結びつきながら、社会秩序が生まれる。
アジアの東は仏教圏、西はイスラームを信奉。
ユーラシアの草原地帯絵はテュルク(トルコ)系騎馬民族が勢力を拡大。
シルクロード交易が発展。

日本では仏教が貴族文化とガッツリ結びついた。
やがて武士が台頭していく。


『歴代君臣図像』15世紀成立、17世紀刊

武則天(624?-705)
中国史上唯一の女性の皇帝。でも正統な王朝とは認められていないのだとか。


『小右記』藤原実資 982-1032頃(江戸時代写本)

藤原道長(966-1027)
この世をば わが世ともぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしを思えば
娘を天皇に送り込んで権力を握った道長。ついこんな歌も出ちゃうのね。
大河はだいぶ脚色入ってるけどまあドラマということで。
筆者はYOKO FUCHIGAMI…ではなく藤原実資。


3.モンゴル帝国によるユーラシア東西の統一からポスト・モンゴル時代へ(13世紀~15世紀)

モンゴルといえばチンギス・カン。
一時はユーラシア大陸の相当なエリアを勢力下にし、東西のヒト、モノ、文化、知識、技術の交流が活性化。
ところがなんやかんやで帝国は解体。
後継勢力は南や西へ進出しティムール帝国を建国。インドへと繋がる。
西アジアでは、テュルク系遊牧民がオスマン朝をおこす。



『元朝秘史』13-14世紀頃成立 1903年刊

チンギス・カン(?-1227)
クビライ・カアン(1215-94)
話し合って決めたリーダーを「カン」を呼んだ。
チンギスの後継者オゴデイが「カン」より上位の「カアン」の称号を使い始め、その後チンギスの直系は「カアン」となった、らしい。知らんかった~


4.強大な国家の繁栄と東西の接触(16~19世紀頃)

東の明、西のオスマン帝国、南のムガル帝国が切磋琢磨。
日本では安土桃山から江戸時代へ。独自の文化が成熟していく。

大航海時代、宗教改革など影響で、ヨーロッパ諸国とアジア各地との関わりが深まっていく。
軍事力を身につけたヨーロッパのアジア植民地化が進む…


『絵本太閤記』1797~1802年

豊臣秀吉(1537-98)
秀吉の天下統一サクセスストーリー。
まずは草鞋を温めるところから。
江戸幕府に絶版にさせられたりもしつつ、その後再版を果たす。


『国姓爺御前軍談』近松門左衛門 1716年

鄭成功(1624-1662)
人形浄瑠璃とか歌舞伎で人気な鄭成功のアドベンチャーストーリー。


『大南正編列伝初集』 1889年 フエ刊

グエン・フエ(1753-92)
ベトナムを旅行したとき、古都のフエを訪れた。
川沿いに歴代王朝の廟が点在していていい雰囲気だったなあ。
ただしぼったくりシクロ野郎もいたけど。
あとグエンさんて名字の人が結構いたような。


5.近代的な国家形成の軌跡(19世紀~20世紀)

西欧列強が世界へ進出。現代につながる国家が建設されていく。
いわゆる鎖国を解いた日本は急激にグイっと近代化。帝国主義へ…
中国では清朝が倒れ、中華民国に。
中東からバルカン半島、北アフリカまで抑えていたオスマン帝国は第一次世界大戦で敗北。解体されトルコ共和国へ。


『三十三年の夢』宮崎滔天 1902年

孫文(1866-1925)
この本の漢訳本が革命家・孫文の存在が中国でも知られるようになり、革命の機運が高まっていったのだとか。
亡命中の孫文を支援した宮崎滔天。なんか聞いたことある名前だなあと思ったら…
息子の宮崎龍介が柳原白蓮と駆け落ち→その後夫婦となった人だった。


『大演説』

ムスタファ・ケマル・アタテュルク(1881?-1938)
オスマン帝国を打倒してトルコの建国者。
6日間連続で計36時間にわたる大演説をその年内に出版したもの。熱いぜ。


●人物でふりかえる東洋文庫100周年 石田幹之助

1924年11月に設立された東洋文庫。
その基礎となった「モリソン文庫」に深く関わったという石田幹之助。


『廻国奇観』

エンゲルベルト・ケンペル 1712年
ドイツの博物学者ケンペルがアジアで見聞きしたことをまとめた本。
「椿」の漢字が惜しい。


『歴代将軍譜』

ティチング 1820年
オランダ商館長だったティチングによる日本の情報あれこれ。
11代将軍までのできごとなどが記されている。
このページはもちろん出島の様子。


『和漢音釈書言字考』

シーボルト他 1835,1841年
読める、読めるぞ!いろはにほへと~


『日本その日その日』

エドワード・モース 1917年
大森貝塚でおなじみのモース。
お雇い外国人として来日し、日本の考古学の基礎を築いた人。
こちらのエッセイは仕事とは関係なく、日々のあれこれを書き留めた日記。
モース本人のスケッチがいい感じ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?