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川瀬巴水inMOMOA

2023年11月某日
「生誕140年 川瀬巴水 版画の旅」展
茂木本家美術館


茂木本家美術館とは?
MOGI-HONKE MUSEUM OF ART=MOMOA。
キッコーマンの創業家のひとつである茂木本家が2006年に開館した地域貢献型美術館。
千葉県野田市、チーバくんの鼻の先っちょあたりにある。
創立者である十二代当主茂木七左衞門のコレクションを元に設立されたのだった。

キッコーマン関連施設が建ち並ぶなか、白を貴重にしたモダーンな外観の美術館がいきなり登場。
瓦が効果的に使われている外観。
表から見ても裏からみてもおもしろい。
展示室の形や内装がそれぞれ機能と個性があって、とってもユニーク。
はるばる行ってみてよかった~


裏からの眺め。白い円柱が並んでいるのが↓
こちらのお部屋。コラムコート
こちらにも瓦があしらわれている
上ってみたくなるステップを発見


さて展覧会について。
川瀬巴水をフィーチャーした展示会(後期)を鑑賞。
スティーブ・ジョブスが大好きだった版画家ということで有名になった感がある。
個人的にまとめて観るのは初めてかもしれない。

東京のいろんな場所をセンス良く切り取った絵師ってイメージ。
でもタイトルにもあるように、彼にとっては「旅」が創作のポイントになっていたんだとか。

全体的に、作品が光を放っているように感じる。
新版画ならではの摺りの技術なのだろうか?
版元の渡邊庄三郎の方向性なのだろうか?
とにかく、版画が発光しているかのよう。


東京二十景 芝増上寺
赤と白のコントラストが素敵。 傘でお姉さんの顔が見えないところが想像力をかき立てられる


東京二十景 神田明神境内
丸いライトがうつりこんじゃってる…
けど手前の空間と遠くの電灯と雲のもくもくコントラストがダイナミック


東京二十景 御茶の水
雪がすごい。なんかこう、湿った雪なんだろうな。


東京二十景 明石町の雨後
人の営みと、なにか意味ありげに眺める犬と。



東京二十景 荒川の月(赤羽)
またライトがうつりこんじゃってる… 陸がほの暗くなっているので、月の明るさが際立つわ~


東京二十景 馬込の月
巴水いわく「(馬込での生活は)さほど豊かではなかったが、一番おもしろい時代でもあった」とのこと。
明治時代以降、芸術家や詩人、作家が移り住んだ場所だったそう。ほえ~


旅みやげ第三集 出雲松江(三日月)
水面に映る倉の表現がすごいねえ。 暮れゆく空と三日月の共演。


旅みやげ第三集 房州太海
奥行きをうまく活かした構図。 陸→鳥居→海→対岸→空。 陸に木の影が差していて、人の存在感もある。


吉田の雪晴
大判の作品。 老人と子どもだけということで、戦時中(1944年)をあわらしているのだとか。
そんな時代背景もあって、富士山モチーフのこの作品は売れたらしい。


日本風景集 東日本篇
このころの川瀬巴水は、良い情景を写生して版画にして、見る人に同じ体験をしてもらいたいと考えていた。
いわば旅人代表。日本の風景の素晴らしさを伝えるため。
渡邊庄三は「君の芸術は旅によって完成されたと云って良いでせう」と語ったのだとか。

日本風景集 東日本篇 八之戸鮫
波の激しさと岩のゴツゴツ感が見事。 自然の荒々しさ。


日本風景集 東日本篇 小樽之波止場
小樽だな~って風景。水面がキラキラ。 2人の男は何を話し込んでいるのだろうか?


日本風景集 東日本篇 蔦沼之朝
青から緑のグラデーションが気持ちいい~


日本風景集 東日本篇 蔦沼之朝
青から緑のグラデーションが気持ちいい~
日本風景集 東日本篇 平泉達谷窟
平泉を訪れたことはないのだけれど、なんか行ってみたくなるなあ達谷窟。


日本風景集 関西篇 大坂道頓堀の朝
朝や~今日も商いしまくって儲けるで~


日本風景集Ⅱ 関西篇 紀州藩
熊野川支流の北山川の峡谷の風景。 黒くてゴツゴツな手前と光があって緑がまぶしい対岸と。
峡谷ってワクワクするよね。


東海道風景選集 三保の松原
さすが昔っから景勝地だっただけある。フォトジェニックな風景。


平泉金色堂
川瀬巴水の絶筆。 病床で筆を執り、色分けまでは自分でしていたそう。
その後渡邊庄三郎が完成させたと伝えられている。
つい雲水と川瀬巴水自身を重ねてしまう。


川瀬巴水の作家人生を追体験したような気分になった。ダイジェストだけども。
わりとじっくり観られるのもよかったな~
今回は時間がなくて行けなかったけど、カフェも気になる。オリジナルワインも気になる。
他にも近代絵画のコレクション展示もあり、小粒でピリリなチョイスでナイス。

コレクションすることにとどまらず、素敵な美術館を作るとこまで持って行った情熱とパワーに感謝と敬意を表するっ!

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