シュールの先駆け 形而上的に我が道を貫いたデ・キリコ
2024年5月某日
デ・キリコ展
Giorgio De Chirico:Metaphysical Journey
東京都美術館
去年から気になっていたデ・キリコ展。
あんまり良く知らないからこそ観てみよう!と心待ちにしていたのだった。
人生いろいろ~な感じで、その辺も含めておもしろい人ってイメージ。
シュルレアリスムに影響を与えながらも、シュルレアリストとはややこしい関係だったらしいし。
ただもんじゃあない雰囲気の面構えに、描く絵も一筋縄ではいかないって感じ。
ところで形而上ってどういう意味だっけ?
という気持ちもそのままに、不思議の世界へレッツゴー。
●SECTION 1 自画像・肖像画
大体斜に構えてる自画像群。
顔に圧があるから、フツーに描いても雰囲気あるなあ。
あまりに堂々としたたたずまい。
でも本人が大きすぎる、ルソー並みに大きすぎるよ!
弟とケンタウルスと林檎。
意味ありげなモチーフはともかく、構図がかっこいい。
●SECTION 2 形而上絵画
デ・キリコといえば、な形而上絵画。
やっぱり哲学からインスピレーションを受けたらしい。
だからなのか、こう、観る側にすごい考えさせる絵というか、問いかける絵というか。
どう感じるかはあなた次第、みたいな。
深読みしてもいいし感じるままでもいいんじゃあない?
●2-1 イタリア広場
建物の後ろから何かが飛び出してくるんじゃあないか?って思わせる雰囲気がある。
「バラ色の塔」って、なんだかヨーロッパっぽい言い回し。
全体的な色のトーンが好き。
バラ色の塔と構図が似てるんだけど、三角定規みたいのや、ぐるぐるなど、モチーフもりもり。
2-2 形而上的室内
緑、青、赤。そしてなぜだかビスケット。
また三角定規とぐるぐる。
手だけで「あのダヴィデね」ってわかるのって、ミケランジェロのすごさを改めて感じる。
ビスケット増えてる。
久しぶりにIZUMIYAのクッキーが食べたくなってきたぞ。
2-3 マヌカン
おでこの辺りの模様がおしゃれ。
キャンパスの絵が意味ありげ。
ミューズなんだ~ほえ~
三角定規が鼻みたいにあしらわれたキカイダーみたいな…
でも展覧会のメインビジュアルになっちゃうフォトジェニックっぷり。
マヌカンと古典絵画のミクスチャーーー
テンペラだからか、のっぺらぽうなのに温かみを感じるような不思議な絵。
そう、なんだか不安だよ!
赤い頭部は取り外し可能なんだ。
手前の三角模様の箱がいいな~と思ってたら、グッズ売り場でピンバッジを発見。ゲッツ。
このカップルお好きなのね。
とにかくいい雰囲気のお二人。
●SECTION 3 1920年代の展開
室外にある家具。よく考えたら「そこじゃあない」なんだけど。
妙に明るい色合いが一服の清涼剤のよう。
ハウスインザルーム。これも「そこじゃあない」。
●SECTION 4 伝統的な絵画への回帰
「秩序への回帰」から「ネオ・バロック」へ
西洋絵画の伝統への回帰。
ティツィアーノ、ラファエロ、デューラー、ルーベンスにヴァトー。
みんなビックリしただろうな~
コテコテバロック風だったり、ルノワール風だったり。
振り幅がおもしろい。
葡萄がいっぱい。粒が多すぎる。
描いてたらもっと描きたくなってきたのかなあ?
なぜか葡萄が岩場にあるのはデ・キリコぽい。
古典的なポーズを決める嫁。
クールベやドラクロワの影響が。
●SECTION 5 新形而上絵画
形而上絵画ふたたび。
集大成的な気分なのかな?
自分が描いてきたモチーフがちりばめられている。
でもなんだかポップな雰囲気になっている。
年を重ねるといい感じの軽さを身にまとう人がいるけど、そういう人っていいなあと思う。
このスフィンクス、全然誘惑する気なさそう~
オイディプスが微妙な表情になっちゃってるよ。マヌカン顔だけども。
これちょっと新境地っぽくない?
●彫刻作品
絵とはまた違ったカッコよさ。パンチ効いてる。
ボリュームと存在感あるわあ~
渋めのゴールドとシルバー。
ギリシャで生まれたイタリア人、ジョルジョ・デ・キリコ。
その後、ミュンヘン、ミラノ、フィレンツェ、パリ、ニューヨーク、ローマなどへ拠点を移していった。
それぞれの場所からインスピレーションを得ているからか、単に本人の性格なのか、ドラスティックに作風が変わったねえ。
でも、そうだよねえ~そうこなくっちゃ!
それがアーチストってもんだよ、きっと。