[創作]進路はつづくよどこまでも(原案)①
初投稿です。私が所属する文芸サークルに掲載予定の作品の原案を掲載させていただきます。拙文ですが、どうぞお楽しみください。
進路はつづくよどこまでも
場所
株式会社SAITO 面接室
人物
万丈大輝(ばんじょう だいき)
就活生。 船場大学文学部英文学科四年生。
伊藤
面接官。四十代。
三井
面接官。三十代後半。
リク
ナビサイトの精霊。 見た目は二十歳前後の男性。
マイ
ナビサイトの精霊。 見た目は二十歳前後の女性。
大杉
大卒の新卒エージェント。二十代。
お母さん
万丈の母。五十代。
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( 舞台は面接室。ステージの左手には椅子二脚、机一台配置。机の上には名札が二枚、面接用の資料が十枚程置かれている。右手には椅子一脚配置。右手からスーツ姿の伊藤、三井が順に入場。三井は鞄を持っている。二人はステージ左手へと歩き、左手の椅子に各自着席。三井は鞄を地面に置く。しばらくするとドアのノックの音が三回鳴る。)
伊藤: どうぞ。
万丈: 失礼します。
( リクルートスーツを着た万丈入場。右手の椅子に向かって歩き、椅子の左側に立つ。)
三井: お掛けになってください。
万丈: 失礼します。( 万丈着席。)
伊藤: 本日は株式会社SAITO の最終面接にお越しくださり、ありがとうございます。株式会社SAITO の人事部長の伊藤です。
三井: 同じく人事部長の三井です。
伊藤: まずは簡単に自己紹介からお願いします。
万丈: (緊張した様子で) はい…船場大学文学部英文学科四年の万丈大輝です…本日は…よろしくお願い致します…
三井: はい。よろしくお願いします。
伊藤: ではまず初めに万丈さんの自己PRの方をお聞かせ下さい。
(数秒ほど沈黙。万丈は緊張した面持ちで語り始める。)
万丈: はい…私の強みは…えー…あー…
(右手からリク、マイ登場。それぞれ紺色、水色を基調とした妖精のような衣装を身にまとっている。二人は万丈の後ろに立ち、リクはかしこまった様子でいる一方、マイは落ち着きのない子供のような振る舞いをしている。)
リク: (記者会見のような口調で) 変わって私がお答えします。万丈大輝さんの強みは主体性でございます。万丈さんは大学時代ご学友様とわんぱくウキウキサークルでの活動に従事し、当サークルの副代表を務めておりました。
マイ: (子供のような無邪気な声で) うそつき!うそつき!
伊藤: (何も変わったことが起こっていない素振りで) ほう。
リク: 当時のサークル内では二百人以上の会員が所属しており、わくわくスポーツ大会、通称「競ってWaKuWaku」を主催しておりました。しかし、サークルの代表が体調不良で長期離脱を余儀なくされ、代役のリーダーを誰にするかで内紛が起こっておりました。
三井: (同じく何も奇妙なことは起こっていないという様子で) なるほど。
リク: そこで万丈さんは持ち前の主体性を生かして代役に名乗りを挙げ、サークルメンバーを取りまとめただけでなく、昨年のアンケートよりも二十パーセント程サークルメンバーのイベントに対する満足度を向上させました。この様な万丈さんの主体性は、御社の理念である「まだここにない夢・クリエイションの その先へ、あったらいいなをValue from Innovation」と深く共通する点があり、御社を志望したのです。
マイ: サークルの副代表ってものは言いようだよね!(伊藤、三井はリクの説明の最中、話を聞きながらも手元の資料にメモを書いている。)
万丈: 自己PRは…以上です…
三井: ありがとうございます。学生時代はサークルの副代表として頑張っていらっしゃったのですね。
万丈: そ…そうです…
三井: では、弊社を志望した理由について教えてください。
つづく
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