ただの酪農家では収まらなかった私
酪農業の発展のために取り組んで来た事
というテーマで 講演依頼されているので
少し考えをまとめていきます。
そもそも酪農についてはど素人で嫁に来た私にとって 全く 酪農業界の発展の為に やってきた訳では無いけれど 結果 そういう事になってきたという事です。微力ではありますが。
だって これが大きな力だったら 今 この業界の危機をもっと前に なんとか出来ていたかも知れないもの。ほんとに微力だ。
そんな点を前提に 私が 私の中の何かに動かされてやってきた事を 整理しておこうと思います。
酪農家は何度も言うけど 質の良い生乳を生産するのが仕事です。
ただ私はそれだけでは、満足しなかったんです。
まず第一に、牧場の自然の中で生きる酪農家の力強い姿に惚れ込んだんだな。教科書を学んだだけでは身に付かない知恵と生き抜く力をいろんな場面で目の当たりにして これこそが 生きるうえで必要だと確信してしまったんだ。何よりも自分が自然の中で生活して、春夏秋冬感動し続けて。それは仔牛が生まれるところから親になるまでもそうだし、畑を耕して実り収穫までを通してもそうだった。牛が餌を食べて牛乳を作る事もそうだし、酪農家が1日も休まず仕事に明け暮れる日々そのものも 感動の連続だった。
こういったフロンティア精神が、これからの日本の教育に 必ず必要とされる!と確信してしまった。まずそれが一点で、酪農業の発展の為ではなかった。逆に酪農業の多面的機能の発掘にひと役買ったと言えば言える。
酪農業を知れば知るほど 奥が深くて 牧場は教材の宝庫だったから、教職挫折した私にとってはこの道こそと思えたのかも知れない。かくしてご縁がご縁を結び、日本中の同じ様にこの多面的機能に気がつき夢中になっている方々と知り合う事になった。点が線となり今は面にもなっている。
こういう仲間たちは、生乳生産も置き去りにしない。子供たちに牧場の体験を提供するには、現場をおざなりにせず努力している現場をそのまま見せて、真実を伝えるからこそ 酪農家としての仕事も自ずと 気が引き締まり 好循環で良いものが生産されるようになるのだよ。
ここまで来て やっと 酪農業の発展の為になったと言えそう。後継者が育ったのもそんな生き方を背中で見せてきたからだと言っても過言じゃ無い。
今でこそジェンダー社会と叫ばれて 性別でどうのこうの言わない世の中になってきたけれど 今もまだまだ男尊女卑が憚る農村社会の中では、私のように嫁が新しいことを始めるのは、全くもって信じられない快挙。影では女性が支え続けている農業であるのにも関わらず、面に出るのは難しい時代だったのです。
そこを可能にしたのが、家族の理解を得る裏技なんだな。
ここまで来るには 長い時間がかかったよ。
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