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白鳩語り

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「自分の気持ち」をテーマとした、フィクション小説シリーズの総称です。その時、自分が何を思ったのか、何を感じたのか。そんな心に渦巻く思い出を言葉にしていきます。(利用画像:写真ac)
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2024年9月の記事一覧

小説『失恋を経て』

小説『失恋を経て』

それはそれは。

遠い昔のこと。

私にとって「恋」というものが、とても大切なものだったことを覚えています。

なぜなら。

今の私が生きているのは、「恋」という衝撃が心を壊したからなのです。

分かりやすく言うと、失恋したからです。

おかしな考えかもしれませんが、私は「恋」というものを「一人の人間が成長するために経験するもの」だと考えています。

けして、恋を成就させるだとか、肉体関係を持つこ

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小説『鳥になりたい。』

小説『鳥になりたい。』

帰りがけのバスで、窓の外の青空を見つめる。

連なる田畑と家の数々。

その遥か上空で、鳥が飛び立っていく。

(……私も、鳥になれたらな。)

そんなことを思ってしまう。

昔はあんなに鳥が嫌いだったのに。

駅前の鳩に、ビビり散らかしてたこともあったっけ。

保育園のみんなで動物園に行った時は、孔雀なんかが怖くて、先生の後ろに隠れていたっけ。

なんでだろうな。

ただ。

その嘴が怖かった。

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