面白い大阪の政治34:二階と大阪(前編)
2024年3月下旬、「自民党のドン」二階俊博が次の衆院選への不出馬を表明した。主な原因はパーティ券のキックバックした分を報告しなかった「裏金問題」だが、ここでは大きく触れない。
彼の地盤である和歌山から大阪維新の会による改革を睨んできた老害として批判していこうと思う。
和歌山から睨みを利かせて
本拠地となる和歌山では紀伊半島大半のエリアを「二階道路」で繋げて便利にした功績があるし、名士としは言える分類であるが幹事長として大阪が維新に牛耳られていることを気にいらないのかボヤきながら口撃してくる。なので大阪してみればウザいジジイでしかない。
2019年の大阪府知事選挙
2019年4月、維新が公明との大阪都構想の調整に難儀したなか行われたのが松井一郎大阪府知事と吉村洋文大阪市長が立場を入れ替えて、府議市議選と同日に仕掛ける大阪ダブル選である。
それに対して二階は「いささか思い上がっている」と酷評し、反維新の候補の擁立を急いだ。
まず府知事選は目玉候補として俳優の辰巳琢郎を擁立するために何度も訪れたが、辰巳本人から固辞された。仕方なく次点候補の元大阪副知事・小西禎一を立てて熱烈に応援。3度も演説に駆けつける本気ぶりだった。
しかし小西というのはなんの魅力もない典型的な老害狸ジジイである。若さと市長時代の実績を持つ維新・吉村洋文に敵うはずもなくダブルスコアの惨敗である。
大阪市長選も本気?
そして大阪市長選挙にも注力していた。
なんせ地元の自民にとっては憎き維新が大阪市を潰そうとしているので何としても阻止するためには大阪市長の座を奪還したかった。その為の候補は半端な者ではいけない。しかし大阪府連に所属している大阪市内の国会議員や候補予定者、府議市議に声をかけても断られ続けた。痺れを切らした二階は2019年7月に参院選する予定だった柳本顕を恫喝し、参院選出馬を取り下げて無理矢理大阪市長選に出馬させたのだ。
しかし結果は松井一郎に惨敗。しかもこの行動が後に大きく響く事に…
この結果を二階は「(当時の首相)安倍と(当時の官房長官)菅が大阪に一度も応援に来なかったからけしからん」と的外れの批判していた。
2021年の衆院選
自身の選挙区での戦いまでは普通にしていた。そして余裕で当選。
しかし隣の大阪の小選挙区の自民候補は15人全員が日本維新の会の候補に敗れて落選したことに対してボヤきを入れていた。
「儲かりまっか?と言いながら儲かってないんならもっと政治をしっかりやれ」
と言っている。だが大阪で負けた原因の一つにかつて自分の派閥にいた大阪自民のエース・柳本顕さん(現在麻生派)を2019年に無理矢理大阪市長選に出させた上に使い捨てにしたことを忘れている。柳本さんはそれにブチ切れて公明党が議席を持つ彼の地元の選挙区に無所属で出馬するなんて言い出したんだよ。結局は党本部が比例単独で抑えこんだが、纏まりに何処か精細が欠けた選挙戦になり比例すらも重複候補者14人のうち2人しか復活できなかった。そして柳本さんは麻生派に派閥変更…
それすらも忘れているのか?
衰えが見える
しかし勢いに衰えが見えてきたのは、2022年になってからだ。
幹事長の職を無くしたからではない。大阪で相変わらず維新が強い事に対して抵抗することができなくなったからである。
この後のことは後編に続きます。