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全員倒れたキャンプ
サロマ湖は琵琶湖、霞ケ浦に次いで日本で3番目の面積を持ち、汽水湖としては日本最大。このように、一つでも誇れるものがあるのは嬉しいことなので、自分の中では、サロマ湖のキャンプには、その「日本一」の気概を持って行った。
サロマ湖のキャンプも、コムケ湖と同じく、水が貰えることと簡易トイレがあるだけ。よって、他の最低限に必要なテント、食料、燃料、照明道具、などは総て担いで行くので、ある意味、純粋なキャンプに近いと言えるかも知れない。
■キャンプした場所は
僕らがテントを張ったのは、写真中央、上から1/4あたりに白丸したところ。左がサロマ湖、右がオホーツク海、そして、下に少し歩くと湖と海が繋がる場所だった。アルバムに貼っておいた当時の観光ガイドのページが、こんな形で役立つとは思わなかったが、ご覧のように何もない。他にテントを張っている人たちも少なかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1691016491143-8f8BRzy5GJ.jpg?width=1200)
■ジェンカは拷問!
(記憶が正しければ)高1の時にもここでキャンプをして、その時は、誰かがカセットプレーヤーを持ってきて、みんなでワイワイ、流行っていたいた坂本九のジェンカを踊ろうとなった。TVの歌番組でも出演者たちが繋がって、実に楽し気に踊っていたから、これは楽しいに違いない!
♪レッツキッス 頬よせて
レッツキッス 目を閉じて
レッツキッス 小鳥のように くちびるを 重ねよう♪
♪レッツキッス てれないで
レッツキッス つつましく
レッツキッス はじめてふれる 君のくちびる♪
それに歌詞がちょっと刺激的だった。当時の僕らにはそんなチャンスも、そんな相手もいなかったけど。しかし、何と言ってもステップが超簡単で練習不要! 「レッツ」で両足で前にホップ、「キッス」でも両足で前にホップ、そして「頬よせて」では連続3回チョンチョンチョンと飛ぶ。それの繰り返しだけ。
「さあ、やろう!」と皆で輪になった所でカセットのスイッチが押されると、坂本九の朗らかに歌声が砂浜に広がった。
♪レッツキッス 頬よせて
レッツキッス 目を閉じて♪
全員笑顔でスタートした。
ピョン、ピョン、ピョン・ピョン・ピョン、それ!
しかし、この楽しい遊びには二つの設定誤りがあった。
ひとつは、全部ピョンピョン跳ねるのではないこと。
もう一つは、踊る場所がTVスタジオのような床ではなく、「砂浜」だったことだ。この「砂浜」で延々と踊るジェンカはきつい。段々としごきに思えてくるから「なんなら、あんたもやってごらん」と、ジェンカを口にする人に言いたいくらいだ。
若き青年は、前の女子の肩に手を置いてドキドキしている。後ろの女子から肩に触れられてドキドキしている。通常なら、こんなに滅多に経験できないドキドキ刺激があれば、いかなるしごきにも耐えられそうなものだが、砂浜で踊り続けるジェンカには、その程度の刺激で肉体は誤魔化されなかったのだった。
全員、1曲終えることなく砂浜に倒れ込んだ。「もうだめだ―!」と叫びながら。そして、大きな笑いが起きた。
実に可笑しかったけど、こうして思い出すだけで足がつりそうだ。
そういう訳で、高2のキャンプの時は誰も「ジェンカ」を口にしなかったけど、それは、とても賢明だった。
(まこと)