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高梁市備中町 白石慎也さん

東日本大震災をきっかけに農業をやろうと決意し、6年前に高梁市へ移住してきた白石さん。
白石さんに話を聞きに行くと、高梁市へきて農業・食に携わろうと思ったきっかけが2つあった。


元々は畳の営業をしていた白石さんだが、東日本大震災の時ちょうど関東から東北エリアの担当をしていた。
震災の数日後にその地の様子を見に行くと自衛隊の人たちが作業されていたり、瓦礫やご遺体がまだ残っている状態で今まで見ていたまちがガラッと変わってしまっていた。
知り合いの人や食堂で仲良くなったおばちゃんが亡くなり、とても精神的なダメージを受けたそう。
「人間ってやっぱり死んじゃうんだ」
と思い、
死ぬ前に自分のやりたいことをやりたい
と思ったのが1つ目のきっかけ。


「環境は自分だ」

白石さんは東日本大震災で荒れ果ててしまった見慣れたまちを見て、
「よくわからないけど苦しい感じがする」
そのように感じたそう。

このモヤモヤは何だろうと考えていたときに
環境は自分だ」
という言葉に出会った白石さん。
そのことを詳しく聞くと、
「昔の人たちは今みたいにスーパーに行けば簡単に野菜や魚が手に入らない状態が常で、今ここにある環境が明日の自分の糧になるものだからそれだけを大切にしていた。
スーパーに行けば簡単に食材が手に入る今、その感覚は薄れているけど、震災が起こったときに荒れ果ててしまった見慣れたまちを見てモヤモヤするということは潜在的な意識の中で
環境は自分だ」
という感覚がまだ残っているのではないか。」

この言葉に出会った白石さんは、
あ、これだ。
と、直感的に感じ
食に携わる仕事をしなければ
そう思い農家になることを決意した。
農家は農家でも何を育てよう?と考えたときに、
食べ物の中でも自分はトマトが好き
と、シンプルな理由でトマト農家になった。
これが農家になった2つ目のきっかけ。


トマトを作りたかったのにまた数字を作っていた日々

「人の口に入るトマトを作るというより数字を作っていた」

高梁市に来てトマト農家をスタートして、最初の頃は雪が降る中でのハウス作りや重機を借りて畑を耕したりと準備を進めていた。
お金を稼ぐために、夜と早朝のアルバイトをし、昼間はハウス作りをしていた白石さん。
夜は寝ていないし、昼はハウス作りで忙しく、よく脚立から落ちていたそう。
それでも何とかトマト作りができる畑が、環境が2018年にできた。

本格的にトマトの栽培が始まり、やっと農業ができて
これはいいな〜
と、思っていた白石さんだが、
でもなんか違う気がする…
という思いも出てきて「それ」が何なのか、しばらく考えながら約4年くらいトマトの栽培をしていた。

「それ」がどういうことか考えてみると、
この4年間はJAにトマトをおろすという販売方法をしていた。
それをやっているときに感じたことは、まず
自分が作ったトマトが自分ではなく、JA備北のトマトとして売りに出される
この部分が白石さんの中で
これってどうかな?
と、感じたそう。

もう一つは
 「あれ?」
と、感じるある出来事があったこと。
その出来事とは、トマトは植物だからもちろん病気とかトラブルで収穫量が減ったりしたときに
すごく自分がイライラしたり、
これで数字が減るんじゃないかと焦ったり、
家に帰って家族との会話中にカリカリしている自分に気づいたり。
こういった出来事から、
これが本当に自分のしたかった農業なのかな?
と、悩むようになった。
そのとき、サラリーマンをしていたときと何が変わったかなと考えたら、
全然サラリーマンの時と変わっていない、自分のやりたいことができていない
ということに気づいた。

とにかく数字を上げなきゃいけない
この地域でもっと上位にいたい
と、白石さんは今まで思っていたけど、そもそも自分がトマト農家になろうと思った時に考えていたことは、
食や環境のことを考えたい
消費者と繋がったりしたいな

そういった思いで農家を始めたんだとそのとき思い出したそう。



フルティカトマトの思い

自分が食べたいトマトをつくる

白石さんがトマト農家をしていく中で、
「白石さんのトマトを食べたい!!」
と、言ってくれる方がたくさんいたそう。
でも作っている桃太郎トマトは地元で消費されず、関西に出荷されてしまう。
それなら、
周りの友達や食べたいと言ってくれた方に、自分でこだわったトマトを食べてもらえるようにしたい!
そういった思いからフルティカトマトの栽培をスタートすることにした。

白石さんのもとですくすくと育つフルティカトマト

フルティカトマトを栽培するにあたってとてもこだわったそう。
うっすら赤色のトマト、真っ赤なトマトなど色別に収穫したトマトに1〜10の番号をつけて味をみていき、その中で一番美味しかったトマトの色や特徴を覚えて一番いいタイミングで収穫をできるようにたくさん研究した。

「栽培から販売まで自分が行っていて、大変なことや苦労もあるけどそれよりも自分の作ったトマトが直接消費者の方に渡るという感覚がすごく身近に感じることができて嬉しい」


今回白石さんのお話を聞いて私は、
私自身も震災をテレビで見ていたり、高校で環境について学び、土砂崩れや川の氾濫、環境が汚染されていくことを見ていく中で
なぜなのかはわからないけどモヤモヤする
悲しいな

と思うことがたくさんあった。
そのモヤモヤの原因がわかったような気がした。


こだわり抜いた白石さんのトマト是非食べてみてください。
※秋のトマトは夏のトマトより美味しいらしいです。
比べてみるのも面白いと思います。
https://shiraishifarm.stores.jp/


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