無関心オットと戦うヨメ!㉓〜気の遠くなる結婚への道のり 同棲編 〜
タイトル画像は先月撮ったコスモスです。
コスモスは秋の桜って書くんですよね。
バタバタしてる間にいつの間にかもう冬の入り口。
さて、前回は留学時代の素敵な出会いについて書きました。
たくましく生きる人生の先輩の言葉には重みがあります。何かに挑戦する事に対して、今更かなぁとか、もう遅いかなぁとか、迷ったり不安に思ったりしているときは、
この先の人生で今が1番若い
と、いつもそう考えて様々な場面で選択をしてきました。ありがとうサチコさん。
留学中の出会いや経験についてはまだまだ書きたい事がたくさんあるので、折を見て綴っていきたいと思います。
再びオットとの戦の話に戻りましょう…笑
書いてて頭痛くなるやつ始まりますっ☆
アスペルガー症候群(受動型)の特徴を持つオットについて、今まで色々なエピソードを書いてきましたが、ここまで受け身な彼とどのようにして結婚するに至ったか…
という部分を書いていこうかなと思います。
交際当初、オットには2年以内に結婚する意思があることがわかりました(来年か再来年、と発言した)
こちらの記事で触れてます↓
痺れを切らした私
半同棲をして2年ほどが過ぎた頃、私は究極にイライラしておりました…
だって…
だって!長年海外移住を目標に生きていて、もともと結婚願望のなかった私にとって、オットの
“2年以内に結婚を視野に入れている為、留学するなら別れる”
という言い分を間に受け彼と共に生きるという決断を下した事は、私にとってとても勇気がいる事だったのに。
のらりくらり変わらない関係と、全く見えてこない彼の考えにとにかく嫌気がさしていました。
その発言から2年経ってもそこには全く触れず、半同棲のまま進展せず、でも彼の身の回りの事(食事、洗濯、掃除、その他すべての雑用)は妻同然(いや家政婦?)のようにせっせとしていたのに、オットはそれを毎日当たり前のような顔でお礼も言わず!
いい加減そんな日々にうんざりした私は言いました。
「いつまでこうしているつもりなの?最初の頃にオットが結婚したいから留学するなら別れるしかないって言ってたから、悩んだけど納得して、私はそういう心づもりでいたんだよ。でもそれから2年経っても未だに私の家で半同棲のまま、今後の計画とか何も話せてないけど、私は一体どういうつもりでいたらいいの?」
『どういう…って?』
この後に及んでキョトンとしているオットに呆れました。
「今までずっと私は海外永住の為に生きていて、仕事をする理由や目的は全てその夢のためだけにあったからーー…」
『……』
理解してるのかしてないのか、オットの表情からは全く心の内が伺えず。
「もちろん、それを辞める決意をしたのは私だよ。オットの為とかオットのせいとかは全く思ってもいないし後悔もしてない。自分がそうしたいからした」
「ーーただ、オットが何を考えてるのか、今後どういう人生プランなのかが全く見えてこないのがモヤモヤするの。働いていても家にいても、自分は一体何を目的に、どこに向かって生きているのか、中途半端でハッキリしない事に憤りを感じる。自分の人生なのに、こうして人に聞かなきゃ今後のことがわからないのも嫌だし、私から聞かないといけない現状もどうなの?って思う。もっと最初のうちに話し合っておくべきだった」
話し合いが出来ない絶望感
今思えば、こんなに一気に喋ったところで、更にキョトンとされるだけです。
でもこの時はアスペルガーのアの字すら頭になかったので、彼の気持ちを知るには、自分の気持ちを全部伝え話し合うしかないと思っていました。
案の定彼は黙りこくって、それ以降何も話さなくなり、これだけ話しても反応のない彼への不信感や憤りは増すばかりで、行き場のない怒りが沸々と蓄積され、ついに私は爆発しました。
感情的に捲し立てるように大声でオットに怒りをぶつけました。
そんな状況になっても、一点を見つめ空虚な目をしたまま一言も喋らない彼を見て、怒りを超え、ただただ虚しくなり涙が出てきました。
彼にとって2人の将来の話なんて大したことじゃないんだ。あの時の結婚についてのオットの発言だってきっと、その時ただ思い浮かんだだけの、すぐ忘れてしまうようなどうでもいい事だったんだ。それを信じた私が馬鹿だったんだ。
2年間、私は大きな間違いを犯し続けていたのではないだろうかーー…
その考えが頭をよぎり、私は心底恐ろしくなりました。過ぎた時間は巻き戻せません。もしこの期間に留学へ行っていれば、それはそれは実りある2年間になっていたことでしょう。
私が話し合いを持ち掛けても、怒っても泣いても、オットは私に何か言うでも反応するでもなく、ただボーッとそこにいるだけで、そんな彼に私は絶望しました。
泣き続けしばらく経った時の事でした。
ただその場でじっとしていた彼が、ふいにスクっと立ち上がり、こちらの方へ近づいて来たので、もしかしたら何も言わないのは戸惑っていたからで、口下手な彼が私を抱きしめにきてくれたのだろうかと、絶望感のどん底でぼんやり淡い期待を抱きました。
しかし彼は、迷わずまっすぐ私を通り越し、私の後方にあったドアを開け居間から廊下へ出て行ったのです。
ーーえ…?
私は1人残された部屋で呆然としました。
なんと彼は、いつもシャワーに入っている時間になったので、ただ自分のルーティンを遂行すべくシャワーを浴びに行ったのです。
かすかに居間に届くシャワーの音を耳にしても、私は何が起こったのか全く理解できませんでした。
しばらく思考停止していましたが、次第に色々な考えが頭の中を巡りましたーー…
例え望みが薄くても、自分が傷つかない都合の良い解釈を最後まで貪欲に探し続ける、言わば防衛本能のようなものを人は兼ね備えているんだろうなとこの経験を経て思いました。
もしかしたら一旦この場を離れて冷静になる為にシャワーを浴びに行った?
シャワー浴びながら考えてる?
戻ってきたら、前向きに話し合いができるのかもしれない…
そんな私の淡い期待は、彼が居間に戻りすぐつけたテレビの雑音にかき消されました。
その雑音は私の脳内をかき乱し、正常に働かないよう攻撃してきているかのようでした。
次は私が呆然とその場に座り込んだまま、身動き一つせず地蔵のように固まっていました。
何時間そうしていたでしょうか、私は疲労感に襲われ、何も考えられないまま、シャワーも浴びず、顔も洗わず、歯も磨かず…服さえ着替えずにロフトにあるベッドに横たわりそのまま眠りました。ロフトの下からは、相変わらず雑音のようなテレビの音声が聞こえ続けていました。
眠っているのか起きているのか自分でも曖昧なまま、私はいくつもの悪夢を見ていたような気がしました。
それは本当に夢だったのか、私の頭をぐるぐると巡り続ける絶望感なのか…
ただずっと重苦しい気持ちを抱えていた事は、はっきりと覚えています。
きっと彼は私に怒っていてーー或いは面倒くさくてーーあからさまに私を無視しているのだと思いました。
でも今の私が思うに、彼はアスペルガーに加え恐らく場面緘黙症も患っているので、私は彼に対してNG行動を取り続けていたのです。
私が何を言っているのか彼にはさっぱり分かりませんが、いつもと様子が違うことは感じとっています。
私がいつもと違う雰囲気や表情で一方的に怒鳴り、泣き、取り乱している様子を目の当たりにした彼は、何か言おうにも、イレギュラーな状況に何も考えられず、脳内が完全にフリーズしてしまっているのです。
それから彼は何事もなかったかのように過ごし、普通に話しかけてくるので、私は絶望したまま疲れ切り、彼との話し合いを諦めました。
もうこれ以上彼に失望し傷つきたくない私は、ずっとその話を避けていましたが、このままオットが話し合いをする気がないのならもう勝手に行動しようと思いました。
強引に彼を実家から連れ出さなければ、一生このままだと悟ったからです。
強行手段
彼の口癖は、そのうちでした。
しかし私は彼にそのうちが来たのを見たことがありません。彼から何か行動を起こす事がまずないからです。
高校の頃の同級生に、リョウタロウという当時不動産会社で働いていた友人がおり、私はその頃一人暮らししていたアパートも彼に仲介を頼んだ場所でした。リョウタロウの彼女も私の友人で、リョウタロウカップルとは卒業後もよく会う仲でした。
そこで、私はリョウタロウに相談する事にし、事情を全部説明しました。
全てを理解したリョウタロウは、
「敷金礼金、仲介料を無料に出来るから、それを適当にキャンペーン中だからということにして、期間限定だからとりあえず見に行くだけ見に行ってみないかと誘い出してみたら?」
と提案してくれました。
そうしよう!と私はその作戦に賛成し、更に内見していく中でリョウタロウがなんやかんやサービスを小出しに提案していきオットをその気にさせようという事になりました。
こうして私はオットに何も告げず勝手に内見の予約を取り付けました。
「なんか敷金礼金仲介料無料キャンペーン中らしいよー、どんなとこあるか試しに今日行ってみよう!見るだけでも楽しいし♪」
という普通なら魂胆が見え見えの提案に、表面上の言葉をそのまま鵜呑みにする特性を持つオットは、何の疑問も持たず了承しました。
リョウタロウはたまたま担当になった初対面の他人ということになっているので、私もリョウタロウもお互いの演技に笑いを堪えつつ、1件2件と内見を進めていきました。
「ここらへんは坂道が少ないので、車高が少し低い車でも安心です。一階は全て車庫になっており2階から上が居住スペースになります。外に出る事なく共用スペースからそのまま車庫に降りることができるので雨の日も大丈夫ですよ」
普通なら、何故部屋じゃなくて毎回駐車スペースの話がメインなんだ?と思うところですがこれにもオットは何も疑問を持たずに聞いていました。
でもちゃんと部屋の話も上手にしてくれました。
「こちらは2LDKにプラス、ロフトがあります。このロフトスペースに、趣味のラジコンサーキットを作ったり、コレクションしている物を飾って趣味のスペースに活用しているというお客様も過去にいらっしゃいました(大嘘)」
『へえ、いいねそれ』
「ロフトなのでラジコンの音も下の階の方に響きにくいですからね」
オットの趣味や性格を事前に説明していたので、リョウタロウはオットが食いつくようなオススメポイントをゴリゴリに押してくれました。そんな甲斐もあって、オットは次第にもしここに住んだら、とポジティブな想像をしながら内見するようになりました。ここなら駐車場代半年間無料に出来ます、更に今決めて頂けるならシリンダー交換サービスします、など、リョウタロウは次々とお得なサービスを提案してくれました。オットの満更でもない様子に、私とリョウタロウは目配せをしました。
友人と連携プレー
「あの、ここって今決めないと無くなっちゃいますかね…?」
と、事前に2人で打ち合わせした猿芝居が始まりました。私がここだ!と思った物件で、そう聞くと決めていたのです。
「このエリアは人気なので、基本的にどの部屋も検討している間に他の方に契約されてしまうって事がほとんどだと思います。運もありますけど、キープとかは出来ないのでー…」
「そっかあ…ちなみにこの部屋は人気?」
「このお部屋は先日空いたばかりのお部屋ですが、日当たりも良好で、バス・トイレ別、そしてキッチンも広いですしー…高確率ですぐ別の契約が決まってしまうと思います。」
そんな猿芝居を少し続けると、オットはうーんと悩み始めました。
「今決めなきゃ後から絶対後悔するよ」
私はそんなオットにすかさずそう言いました。
見るだけと言って連れ出された事をもうすっかり忘れているようで、オットは真剣に悩んでいました。
「まあ…ここ職場も近いし、駐車場も屋内だし、収納も大容量だし。いいか」
ついにオットは同棲する事を承諾し部屋を決めたのでした。(私の職場は遠いのですがね!私の希望など少しも入っていませんがね!)
ーーリョウタロウ!グッジョブすぎる!
私は心の中でガッツポーズをしました。
次回に続きます。